ハトシが食べたい!
皆さんは、長崎の郷土料理「ハトシ」をご存知だろうか。ヒトシでもない、フトシでもない。
ハ・ト・シ!
ハトシを知ったのは、25年ほど前のこと。仕事で長崎を訪れた際に出合った。エビのすり身を食パンに挟んで揚げており、もともと「卓袱料理」の一品として出されていたものだと聞いている。それがだんだんと一般家庭や飲食店で食べられるようになり、今では蒲鉾屋などでも商品が販売されている。
誰に向かってというわけではないが、私は「エビ好き」を公言している。普段は白エビ(芝エビのことをこの辺りではこう呼ぶ)を食べているが、エビならなんでも好き。特に好きなのはパッチンエビ。ウチワエビってやつ。スーパーで見かけたら即買いである。
そんな人間なので、ハトシを食したときは感激した。エビのすり身がたっぷりでうまい。ビールといっしょにいただくのも最高。長崎出張の楽しみは、ハトシと魚(長崎は魚がおいしい)を食べることだった。しかし長崎を訪れる機会がなくなり、もう何年もハトシを食べていない。
それが先日、急に食べたくなり、もう頭の中がハトシのことでいっぱいに。されど近所で手に入らない。エビをすり潰すだけでも面倒なのは分かっている。しかし「とにかく今食べたい」という欲望に負けた。
さっそくレシピを検索し、こちらの公式サイトを発見。覗いていただければ、つくり方の詳細が記載されているのでどうぞ。
レシピではエビの他に、はんぺんとカニカマも使うとのこと。買い出しに出かけ、エビは多めに購入した。
このレシピは、エビを食感が残るぐらいの大きさでカットすればよく、はんぺんはパッケージの袋の中で潰しておけばよい。「まさにズボラな私向けではないか!」という理由でチョイス。フィリング(詰めるもの)さえつくってしまえば、あとはサンドイッチ用のパンに挟んで揚げればよいのだ。
そうよ、フィリングさえつくればこっちのものよ。ふふん。
だが、この認識は間違いだった。
まず、売られていたサンドイッチ用食パンが10枚入りだったため、本当は6枚でつくるところを、10枚使い切ろうとしたのが失敗のはじまり(セコい性格が見え隠れ)。エビは多めに買ったし、フィリングの量が想像していたより多く見えたのでイケると考えたのだ。
ところが、熱を入れるとむきエビは縮むことをすっかり忘れており、いざパンに挟んで揚げると、耳のギリギリまでフィリングを詰めたつもりが、端っこはスッカスカに。しかも挟んだ段階で厚さがあると思っていたのに、できあがったらかなり薄かった(爆笑)。
はて?
はて?
これはハトシと言えるのか?
いや、もう何でもいい!
ハトシもどきでもいい!
とにかく食べたいのだ。
だが、揚げたてのハトシにはさらに難題が待っていた。
パンがけっこうな油を吸う!
なんだか「愛が地球を救う!」みたいな一文になってしまったけれど、油をおそろしく吸うんだよ。油を上手に切らないと、胸やけしてしまうので要注意。
パンの耳はカリッカリ。好みかもしれないが、最初にカットしておいた方が良いかもと思った。ここも油をずいぶん吸うようなので。
***
以上の学び(←失敗とも言う)から、ハトシをつくるコツをまとめてみた。全部個人の感想です。悪しからず。
初めてつくってみて、「ハトシ」はやはり手間がかかると改めて気づかされた。でも必ずリベンジするぞ。
ちなみに、農林水産省の公式サイトでもハトシは郷土料理として掲載されている。しかも著作権を守れば画像使用OKらしい。太っ腹。それだけ、郷土料理を継承していくことに危機感があるのだろう。
せっかくなので、ダウンロードしたハトシの画像を載せておこう。
もともと郷土料理には興味があるので、また何か頭に浮かんだらつくってみたい。そういえば、最近「しいたけ南蛮」をつくっていない。あー、でも原木しいたけの季節は終わるからムリか……。せめて画像だけでも。
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