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ふたりが結ばれる世界線があればいいのに/大河ドラマ『光る君へ』第7回

「邪魔しちゃった」

本来なら、トレンディードラマかよ!とツッコミたくなる台詞だが、すでにかなり直秀を好きになっている自分がいて、「まだ退場しないよね? 退場しないよね?」とドキドキしながら観ている。

まひろに気を取られ過ぎて、盗みに入ったときの矢傷を道長に気づかれてしまった直秀。どうなる……。予告でフラグが立っているし、先日『あさイチ』にも出演していたので心配である。

それにしても、彼が運動神経抜群なのは分かるけれど、打毬ができるなんて私は聞いてないぞ(誰も聞いてない)。あの競技、どう見ても一瞬にして技を得られるとは思えない。謎めいた彼の正体がはっきりすることはあるのだろうか。それとも、謎は謎のまま、彼はさらりと消えていくのか。直秀の早い退場は避けてもらいたい。


***

道長にはもう会うまいと心に決めるものの、気になってしまうまひろ。一方の道長は、あんなに熱烈な文を送ったのに音沙汰がなく、半ばあきらめている様子。しかし偶然の再会から二人きりに。乙丸は気の毒だったが、乙女な展開である。矢部太郎さんと本多力さん、いつもお疲れさまです。このふたり大好き。

まひろが散楽のために書き下ろした物語は、右大臣一族を面白おかしく書いたもの。自分の一族を風刺する彼らや、暴力で民を抑え込もうとする一族の者たちを冷静に見る事ができる道長。今のところ本人にまったくその気はないが、いずれ頂点に立つ男は器が違う。

諦めようとすればするほど、惹かれあうふたり。この後一方は政治の表舞台へ、もう一方はベストセラー作家へ。まひろにとって、物語は自分を保つための手段。見聞きしたものや自身が経験したことが、やがて『源氏物語』という形になるのだと想像すると、すべてのシーンに意味があるのだと思えてくる。

ききょう(清少納言)との対比は今回もおもしろかった。ファーストサマーウイカさんの清少納言は「陽」。ふたりは陰と陽、月と太陽。秋山さんの実資といい、今回の大河の登場人物は個性が光って皆いい。孤独や虚しさの中で、自分の存在を肯定しようともがく道兼も。きっと、兄弟の中で一番素直だから利用されやすい。最近は、誰からも好かれる道隆の方がクセモノではないのか?と感じるようになった。自分の手を汚さないのは父親と同じ。やさしいことばをかけて、道兼を完全に掌握した道隆はちょっと怖い。

さて、前回あたりから色気を醸し出し始めた佑@道長。打毬をする彼を目で追ってしまったのは、私だけではなかった。黒木華さんの視線の演技にハラハラ。倫子、もったりしている(斉信談)けど狙った獲物は逃さないタイプと見た。

これまでの劇中エピソードを思い返して感じるのは、「倫子最強説」。前回、蜻蛉日記をまひろが貸すと言った際、彼女は「字を読むのは苦手だから」と断った。あれは、すでに自分は持っている、あるいは内容を知っている、色々な書物もたくさん持っているから断ったのではないだろうか。同じ貴族でも、身分の異なる相手への気遣いにも取れるし、まひろへの牽制球にも取れる。倫子は賢い。もしこの先、まひろと道長に何かあったら早い段階で勘づきそう。でもそれを口にはしなさそう。

「ふふふふふ」

あの笑みは微笑ましくもあり、怖くもある。
どっちなんだ、倫子。

毎回終わるたびに、「史実と異なっていいから、まひろと道長には結ばれてほしい」と願ってしまう。さらにいつもの悪いクセで、別々の道を歩んだケイトと尾高を重ねてしまう。吉高由里子×柄本佑の化学反応、NHKでも最高じゃないの。

でも悩むなあ、直秀と道長。私なら悩む。どっち? どっちにする? こちらにその権利はないのに、自分を真ん中に置いて必死に考えている(笑)。こういうのもハラ・ハラ・ハラ、コンプラ違反?

まひろ、道長、直秀のトライアングルをまだ観ていたい。ここに倫子も加わるのか。恋の行方が気になり過ぎる。でも数日経った今一番気になるのは、小麻呂の行方。猫さまーーー。誰か探してあげて。


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