ふたりに大きな転機が近づいている/大河ドラマ『光る君へ』第28回
倫子vs明子、こわい!
(以下、ドラマの内容と史実を含みます)
定子と皇子のことで頭がいっぱいの一条天皇。政が滞り、天災も続くなかで、「一帝二后」を何としても進めたい道長は疲労困憊だ。
一方のまひろは、無事に女の子を出産。今から漢詩を子守歌代わりにするとは、そりゃ乳母も困惑するだろう。ほほえましい場面なのに、将来、母娘にひと悶着あるのではと予感させる演出である。この親子は、いずれすれ違っていくんじゃないかという不安……。
宣孝が娘につけた名は「賢子」。自分の子ではないけれど(劇中では)、かわいくて仕方ない様子だ。
案の定、道長に挨拶ついでに「子が生まれた」=「まひろが出産した」と報告する。寝取られた男 vs 寝取った男の対面は、案外あっさりしていた。結婚の報告をした際のギラギラとした宣孝はおらず、穏やかで、ただ家族が増えたことに喜びいっぱいだ。
「あなたの子ですよ」と、もっとエゲツなく分かるように言うのかと思っていた。宣孝が去った後の道長くん、まひろが出産したことは理解したようだが、それ以上のことには気づいていない気がする。それどころではないほどの疲れが、彼にはあった。
癒しを求めて高松殿のところにやって来たのに、明子は彰子入内に焦りがあるのか、いつでも子どもたちを政治の道具に使えるように躾けてあると言わんばかり。ついに道長は倒れてしままう。
倫子はさすがの貫禄だ。一方で、明子の道長に対する執着が一段と増しそうで心配になる。
危篤に陥った道長は、夢の中でまひろのに呼び戻される。
「逝かないで」
悲田院でまひろが倒れたときと同じ。
「逝くな」
2つのシーンがきれいに対になっている。もっとも、グッジョブなのは「道長危篤」をまひろに知らせた宣孝だけど。
求める女の名前をつぶやいたのは、夢の中だけなのか。「明子にございます!」と、明子は強めに主張した。うわごとでまひろの存在を知ったからか、それとも嫡妻・倫子に圧倒されたゆえの自己主張なのか。まひろが女の闘いに巻き込まれるフラグ。そもそも道長の心には一人しかいないのだから、酷だよなあ。明子と倫子がまひろの存在を知る(思い出す)のは時間の問題だ。
もし賢子と道長が親子と知ったとき、2人の妻はどういう態度を取るのだろう。少なくとも倫子探偵は気づきそうなもの。今後ますます栄華を極めていく道長。だが、どこかで孤独と闇を背負うことになるのかもしれない。
この回では、中宮・定子の最期が描かれた。清少納言とのやり取りには、主従関係を越えた絆を感じて涙、涙。帝の寵愛を受けながら、「子を産む」という呪いに精根尽きて旅立った定子。儚く果てた彼女の傍らで、左大臣(道長)への恨みを爆発させる伊周。「いやいや、お前のせいだよ!」と、画面の前で全員激しくツッコミを入れたよね。
賢い定子は、政治のことも見えていたからこそ、自身の存在に苦悩した。それでも帝を愛し抜いた彼女の強さと儚さを、見事に体現してくれた高畑さん。ここでお別れだけど、定子はこの先『枕草子』の中で華やかに生き続ける。
(ここからは重要な史実を含むので、読みたい人だけどうぞ)
ところで、やつれている道長もさることながら、幾度と板挟みになる行成も胃がもたない。そんな彼が今回、「一帝二后」の件で揺れる帝に猛プッシュ。普段のやわらかいイメージから一転、力強く進言する姿はかっこよかった。
行成は最後まで退場しないのか気になってあちこち調べたら、驚愕の事実を知ってしまった。なんと、道長と同日に亡くなるという。え、これ本当なの? 今でも勘ぐっているのだが、不思議な縁を感じるふたりである。帝と道長、両者の橋渡しを担う行成の最期に、そんな運命の巡り合わせがあるなんて。事実はドラマより(?)奇なり。でもこれ、ナレ死になるんじゃ……。
数日前には、賢子を含む4人の新たな出演者が発表された。賢子が大姫なのが感慨深い。2年前の大河で「今日から葵になりました」「紫式部がいい」と言い放った、あの大姫が……。確かあのとき、「2年経てば、同じ場所に紫式部が降臨するから!」と、ネットで盛り上がっていたような。狙っていたのかな? また、新たなオリジナルキャラも登場する。これって直秀、周明のポジション? 最後までいるのか不安になるけど、楽しみにしておこう。
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来月はNHKの巡回展に行きたいと思っている。ただ、ちょっとこの天気予報にげんなりしている。最高気温40度という予想を初めて見た(笑)。
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