見出し画像

ブレードランナー2049とルヌガンガ

私は『ブレードランナー』、『ブレードランナー2049』が大好きだと常に言い続けているが、私は、基本的に常に、ああ、この場所『ブレードランナー』っぽいなぁ、と思うと、写真を撮ったりしている。
大抵の人は『ブレードランナー』感というと、あの、『FINAL FANTASYⅦ』のミッドガルめいた、工場地帯やネオンなどを想像するのだろうが、個人的にはそれよりも、例えば河原町のBALの上階から見える周囲に連なるビルの屋上のダクト、若しくは古びたショッピングセンターの立駐の柱、それから高速道路上から見える点滅したライト、などにそれらを感じさせる。
要は、私にとっては、『ブレードランナー』か『ブレードランナー』ではないか、は常について回る問題なのである。

『ブレードランナー』は、日本人が好き過ぎる建築家のフランク・ロイド・ライトのLAにある作品、エニス・ブラウン邸が主人公デッカードのアパートメントの内装に使われており、それは続編の『2049』のKのアパートのキッチンの内装にも引き継がれている。これは、ドゥニ・ヴィルヌーヴのわかっている仕事であり、御客様がどこを刺激すれば感動するのか理解しているトンデモナイジゴロだということである。

エニス邸は売りに出されていたが、ウルトラに高いのだ。


『ブレードランナー』にはブラッドベリビルなどのLAの有名建築が登場したりして、もはや建築の映画でもある。

『ブレードランナー2049』で監督のドゥニ・ヴィルヌーヴが求めたものは、前作の2019年から30年後、気候変動の中でも頑健に耐え続けている
ブルータル(粗暴で荒々しい)な建築、ブルータリズムだったが、私の趣味はこっちである。
とにかく作品の虚無、孤独性と合致していて、この荒々しい世界を作り上げたプロダクトデザインのデニス・ガスナーは最高の仕事をしている。
私は、正直なところ、毎年アカデミー賞美術賞をデニス・ガスナーにあげ続けてもいいのではないかと思う者だが、
さて、無論今作におけるシド・ミードのデザインしたあの荒涼たるラスベガスも捨てがたい。

とにかく、マクラが長くなったが、『ブレードランナー』の続編に必要なのは、建築なのである。
私的には、是非ともジェフリー・バワの建築こそが、『ブレードランナー』の世界に相応しいものだと思っている。
当然、自然と半分同化したバワ建築は、あの木々が死滅した世界には向いていないものであるだろうけれども、どうも、ジェフリー・バワの建築の匂いは、『ブレードランナー』的豊穣を持っているような気がしてやまない。

ジェフリー・バワはスリランカの建築家で、超大金持ちで、かつゲイである。ちなみに、兄貴のべヴィス・バワもゲイである。
どちらも天才的なセンスを持っており、ジェフリー・バワの自然と調和した建築群は、日本でもヘリダンスカンダラマなどは有名で、森と同化したような、どうかしたようなデザインが大変に魅力的なリゾートである。

完全にトニー・スタークあたりが住んでそうな雰囲気を醸している。

私の人生の夢のリストにルヌガンガに宿泊、というプランがあるが、まぁ無理だろう。
仮に、金銭的には可能でも、家族を説得できるポイントが少なすぎる……。
ジェフリー・バワの建築はスリランカ各地にあって、宿泊できるホテルが多いが、その中でもやはり、
①ルヌガンガ
②ブティック87
③№11
があまりにも美しく泊まりたい場所である(全て宿泊可能)。


朽ちていく建物と、噎せ返るようなガーデン。全て自然に飲み込まれていく。
№11はバワの事務所兼お家で、ここは宿泊可能だ。
光源が如何に部屋に作用を与えるのか考えられたレイアウトだ。

そして、兄貴のべヴィス・バワもまた、庭師的な仕事でブリーフガーデンなる噎せ返るような庭を作り上げた。このブリーフガーデンはGoogle上でルヌガンガなどにも近いが、レビューは賛否両論である。然し、それも当然で、彼と恋人のオーストラリアの藝術家ドナルド・フレンドとの思い出がたっぷりと染み込んで、庭自体にもその関係性が行き届いたような、完全に個人的世界が構築されているからである。と、色々な文献を読んで識った気になっている私は、無論、行ったことはない。
つまり、全ては自分を突き詰めたものこそが本当で、人の顔色を伺うのは駄目なのである(ヴィルヌーブはOK!)。

いきなりこんな仁王像。嫌だな。
然し、すごい庭である。広大で、男色の世界が広がる。

まぁ、藝術家とはすべからく男性を愛しているのである。逆もまた然り。異性にしか興味のない人間は藝術家の資格を有していないのである。

ゲイであるドナルド・フレンドの絵画は艷やかだ。どぎつい作品も多いが。まぁ、日本では完全に無名であるが、天才である
南国の匂い

さて、建築家ジェフリー・バワと親しい藝術家にラキ・セナナヤケがいるが、彼の仕事場でもあり、宿泊できる施設もあって、これもまた、ジェフリー・バワとは性質が違うが、然し美しい施設であり、なかなかアグレッシブかつアヴァンギャルドな場所がある。(彼は数年前に亡くなったが)
ラキ・セナナヤケは、バワのホテルの造作物などを数多作成しており、何故か上半身半裸の男である。

森の中に住む、みたいな。
落ち着かないよ…。

つまり、私が言いたいのは、スリランカには夢みたいに美しいホテルがたくさんあり、ホテル大好きな私としては、泊まりたーいってなもんであるが、然し、何よりもその建築の美しさ、静謐な佇まいに、藝術が咸興されてやまないのである。
私は、いつも『ブレードランナー』或いは『ブレードランナー2049』を思う時、建築を思い、建築を思う時、彼らに思いを馳せるわけである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?