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DUNE 砂の惑星の感想

さきほど、『DUNE 砂の惑星』2021年度版を観た。正確には2020年度版だが。

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ドゥニ・ヴィルヌーヴの最新作である。
私は、彼の前作の『ブレードランナー2049』がマイ・フェイバリット映画であり、ウルトラに愛しているので、それはもう楽しみにしていたのである。

IMAXで観た。客入りは8割ほどで、上々。
外国のお客様も多かったのが印象的である。

で、今作は『ブレードランナー2049』の2時間43分という長尺に匹敵する、2時間35分の超大作で、お金も180億円くらいかかっている。500億円〜600億円を稼がないと、成功と見なされない制作費である。
そして、今回は、タイトルに『パート1』とつく。『パート2』は、現時点では一切動いていない。成功したら作るというスタンスで、然し、ガッツリ次回へ続く…的な終わり方である。『ロード・オブ・ザ・リング』の1作目みたいな感じで終わると思って頂けたらいい。
ゼンデイヤは、予知夢シーンではよく出るが、実質10分くらいしか出てこない。
『ロード・オブ・ザ・リング』も、『旅の仲間』という副題は初めは伏せていた。今作もそうである。続き物だとわかれば、お客さんが引いてしまうからである。
『ロード・オブ・ザ・リング』は、1〜3をまとめて撮っている。総製作費は2億7000万ドルの340億円、追加撮影は無論あったが、まとめて撮ることで予算を大幅に削減できた。1本づつ作れば、400億〜500億円近くかかっただろう。
1年ほど、ニュージーランドに役者をぶち込んで撮りきった。
『DUNE』もそうしたらいいのだが、生憎ヴィルヌーヴは前科者、『2049』は赤字映画だから、危険過ぎる賭けだからか、まずは1本と相成った。

ヴィルヌーヴは聡明かつクレバーな人である。そして、交通整理力が極めて高い。『2049』では、狂信者を抱えたオリジナルの続編という難題を、オリジナルを模倣したまさにレプリカント映画として作成、その上で、あの濃厚なスローシネマの演出や、タルコフスキーオマージュ、そして自分の印を刻印し、見事な作品にした。

今回は、デビッド・リンチの失敗や、ホドロフスキーの頓挫を見てきたからだろうか、出来ることをやろうやのスタンスで、無理に1本にしなかった。2本に分けて、物語を原作未読の一見さんでも理解しやすいようにしている。
リンチ版は、そもそもリンチの映画が意味不明だが、無論デューンも話の筋がわからない…。

さて、物語は散々他の方があらすじを書いているので、私は面倒くさいから、思ったことだけを書く。

今作は、すごく丁寧に作られたSF世界を堪能する動く画集みたいな映画である。物語に、面白さなどは一切ない。そもそもが1960年代の小説で、多大な影響を後世に与えたとはいえ、貴種流離譚をベースとしたシンプルな物語なのだから。

『2049』の画面レイアウト、またガジェットは恍惚とするほどだが、今作もそれに比肩する素晴らしさである。モダン建築の装いを持ったそれぞれの居住区も良いし、なんといっても宇宙船などの乗り物のメガトンぶりに驚く。途方も無いデカさが表現されている。そこにヴィルヌーヴお得意の、相棒ハンス・ジマーのスコアが重低音で延々響いているわけだ。圧倒されっぱなしである。
そして、衣装の見事さである。特に女性陣の衣装は美しくて、作中のメランジよりもきらきらと金銀砂子。
私は、アラステアを思い出したりした。

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キャラクターで良かったのは、ポールの母ジェシカと、ハルコンネンだろう。ハルコンネンが出てくるシーンは、どれも良い。カーツ大佐のようなビジュアルだが、マーロン・ブランドよりはもちろん軽い。然し、ああいうビジュアルを作り込んだ悪役は、やはりいいものだ。

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また、ジェシカは終始息子のポールと行動を共にするが、ほぼヒロインである。レベッカ・ファーガソンは本当に美しい。
母と息子はヴィルヌーヴ的なテーマでもある。
このジェシカとポールの掛け合いは面白い。

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そして、サンドワームの襲撃である。初回のサンドワームが襲撃シーンは、緊迫感があり、とても良い感じである。ここが私的には一番のハイライト。ヴィルヌーヴは、「サンドワームは1年かけて作り上げたんだ。」的なことを語っていたが、嘘だろう?ヴィルヌーヴ、どう考えてもそんなに時間をかけたほどのものには思えないのだが……。
サンドワームは3回出てくるが、3回目のサンドワーム、小さくね?

この作品は、なんと言っても、やはり壮大なものを、壮大な環境で楽しむことをこそ目的として作られた作品である。であるから、コロナ禍で配信のみにしようとしたスタジオに対してヴィルヌーヴがマジギレしたのは当然の話である。

正直、パート2はなくてもいいな、と思う。あったらあったでもちろん観るが。けど、数年前に話していた、『ブレードランナー』の世界で、全く新しい人物を主人公にしたノワールを撮りたい、という話、それを実現させてくれ!

然し、最近はボンド映画も撮りたいと言っていたから、案外、次のボンド映画はヴィルヌーヴになりそうだな〜と思う今日このごろ。

今作は、間違いなくIMAXシアターで観るのがお勧めですね。



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