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姉の結婚

『姉の結婚』という小説を読みました。私の姉の話ではありません。そもそも私に(義)姉はおりません。笑

『姉の結婚』というタイトルですが、短編集で、内容も主人公も全然違うものです。表題作は最後に載っている作品。

ただ共通しているのは主人公の女たちのリアルな日常と叫びがテーマ。

叫びとは主にお金。

25年前に初版が発売された小説なので、金銭面でも社会的風潮も違うのですが、それでも夢と見栄がときに「あるある」、ときに「そこまでする?」。

たとえば

友人知人の結婚ラッシュでご祝儀貧乏の若い夫婦。収入は夫(24)の手取り15万の給料のみ。生まれたばかりの息子の世話に追われ、憐れまれず、でも家計を逼迫しないご祝儀を捻り出す姿がわからなくもない。

でも、「子供が小さいし、なかなか出られないので欠席します」と言って結婚式を欠席し、別でお祝いを渡すのも手だと思うのは私だけだろうか…(薄情?)


手取り13万5千円のOLが、世田谷、駅から5分以内、バス・トイレ別、今でいうタワマン(家賃8万)に住むべく切り詰めて切り詰めて生活。たまに会社の同僚とステーキを食べると、慣れなくてお腹を壊すところはちょっと笑ってしまいました。

他にも、収入が不安定でクレジットカードの審査に通らない物書きさんがやたら羽振りのいい大学生のいとこに嫉妬するところや、

何も買わず、家族旅行も行かず、ただ少しずつ増える通帳の貯金額を見るのだけが楽しみな父親を見て辟易としつつ、お隣の豪邸を羨ましく思う学生など

いる!ある!と思うことが多かった。

いつの時代も明るくも自分だけのささやかな見栄が支えになって生きている部分ってあるよな、と思います。

私も日本語教師なりたての頃はそうでした。

読んでみるとどこか自分ごとに思う、不思議なお話でした。



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