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フィットネス尿もれを防ぐには(骨盤底筋のマネジメント)

さて、昨今のフィットネスブームもそこそこに
パーソナルトレーナーのお兄ちゃんの私ですが、さまざまな質問をいただくことがあります。

・お腹を凹ますにはどんな腹筋をやったらいいんですか?
・運動中に尿もれしちゃいます
(私絶賛安全地帯系トレーナーなので割とオープンに相談していただけてま す)
・腹筋をすると腰が痛い
・スクワットをすると太ももが太くなる

などなど・・・

そんな時、こちらの写真のような「インスタ映え」する腹筋やスクワットだけやれば良いのでしょうか?
また、男女で骨盤の構造の違いがあることも考慮に入れなければなりません。
今回は予防策について考えてみましょう。

まず、SUI(Stress urinary incontinence) について

よくあるフィットネスでの尿もれの原因の大半を占めているかもしれません。個人的な感覚もありますがこのタイプの方は腹直筋(6パッ
ク)の部分が膨張するような腹筋の使い方をされている印象です。
腹圧性尿失禁Stress urinary incontinence (SUI)は努力性の運動、つ まり運動中に不意に漏れてしまう現象で、
エクササイズに一生懸命取り組む方は尿失禁を経験する確率が一般人 と比べて3倍になると言われております。


また、挙筋裂孔Levator hiatusが一般の方よりも広くなる傾向にあるようです。



IAP とはIntra abdominal presssure(腹腔内圧)と呼ばれお腹の中の圧力のことを指します。


こちらの写真のAのように適切に体幹部の筋、骨盤底筋を含めたユニットが働くとお腹の中の圧力も一定に保たれ、背骨の位置も適切に調整されます。
しかし、写真Bのように骨盤底筋が下がりやすい位置をとるいわゆる「反り腰」の方は適切に骨盤底筋が働いてくれません。
このIAPがうまく機能しないと、床反力(重力に対して拮抗する力)が利用できず効率が悪い動作になってします。特にBの図は矢印方向へ背骨が誘導されてしまってますよね。そら腰痛くなるわ〜です。(だいたい超内股になったりオラオラ歩きが多い印象です)
衝撃をクッションで和らげることに頼るのではく利用し推進力に変えてこそ「身体が変化した」と言えるし、包括的にその人が健康である状態と言えるでしょう。

ここまでの骨盤底筋についての説明について簡単にまとめると以下のスライドのような感じです。笑

こちらの写真のようなアクティブストレートレッグレイズというテストがあります。一般的に腿裏の柔軟性だったり腹部の筋肉が適切に働いているか?ということをチェックするものになります。某測定ツールでも積極的に採用されているテストです。

が、様々考察があります。。。(筋肉が硬い、腹部の筋の連鎖不良以外に「硬さ」を防御反応と考えると筋以外の感覚器も考慮しなければならないと思います。眼球運動や前庭機能にも影響がある部位かと)
脱線しましたが、どうやら単純に「脚を上げる」という動作でも骨盤底筋が活動するようです。骨盤帯に痛みを持つ女性は特に骨盤底筋の働きが小さくなるようです。

一応、肥満と腹圧性尿失禁の関連性はあるようです。確かに、肥満の場合必然的に蓄積した腹部の脂肪によって腰椎が前弯することに伴うIAPの変化や、栄養学的な要素(慢性炎症による疼痛)など「ただ運動」させること以外にも介入すべきところがあるように思えます。

Kari Bo (2020)の論文のイントロでも主張されておりましたが、運動に対して心理社会的側面から尿失禁など不安なイベントが生じることによって「負の情動経験」がすり込まれ運動の機会が減ります。

運動は糖尿病の予防の他にも慢性的な不調にも効果的なもので、場合によっては自己効力感を高め生活の質を高めることに繋がり医療費の軽減にも繋がります。
さて、このKariさん(2012)の主張ではピラティスとかヨガが尿失禁の予防にならないしエビデンスが不足しておりますよん。それはそれこれはこれで「膣トレ」しなさいとおっしゃられております。

今回参考にしたArjun K. Nambiarら(2022)のガイドラインによると膣トレ器具は承認されたものならええし、膣トレ自体は推奨するやで的な感じでした。
が、しかし現場の経験から呼吸のトレーニングや体幹部のエクササイズ、ちょっとした骨盤底筋のキューで大体は改善しております。(直接よーなったやで〜と言われます)が、骨盤底筋の働きが感じられないのであれば一考の余地ありでしょう


どのようにトレーニングすべきか?

めっちゃBoさんの文献を使用しておりますが

はい。腹直筋などの表面上の筋肉を使用することで骨盤底筋の働きを阻害していることがエラーとして挙げられております。
しかし、どーーーーしてもシットアップしたい人々が存在するんですよね。。
トレーニー系の方に特に多い印象です。(一部かもしれんけど)

お尻にエクボを作ってしまう「バッドグリッパー」という大臀筋の過剰収縮も。。。。。よくあるやつです。
早い段階で「ヒップスラスト」やりがちなんですヨね。

お尻は「しぼるな!」

また、

There may be several explanations why a voluntary PFM contraction is difficult to perform: • the PFM have an invisible location inside the pelvis; • neither men nor women have ever learned to contract the PFM and most people would be unaware of the automatic contractions of the muscles; • the muscles are small and, from a neurophysiological point of view, therefore more difficult to contract voluntarily; • the common awareness of these pelvic and perineal areas of the body may be associated with voiding and defecation, and straining at toilet is common. Tries (1990) suggests that there may be a lack of sensory feedback during PFM training (PFMT) in some women, causing: • problems with feedback from the correct muscles because other muscles are used instead of the PFM; • insufficient kinaesthetic feedback due to low intensity contractions in weak PFM; • lack of or reduced sensation, which may limit the sensory incentive that normally leads to a motor response or reflex preventing leakage. Motor re-learning depends on sensory feedback ( Tries, 1990 ).

と、わざわざクソ長い引用文を載っけましたが骨盤底筋の収縮感が感じられないクライアントも実在するわけです。
しかしながら、骨盤底筋は実際に体表から確認できるものではなく運動イメージが欠如しやすい部位であることは間違いありません。

そこで感覚運動系のフィードバックがいるぞ。となるわけでここで
「ヨガブロック」を使った以下のような姿勢で「骨盤底筋がヨガブロックに乗っている感覚はありますか?」という問いかけのもとセッションを進めていくわけです。
呼吸と合わせて骨盤底筋を「床から持ち上げる」という方法でエクササイズを行なっていきます。

Prague Schoolより引用した骨盤底筋エクササイズの一部。

個人的に、PRIのペルビスの内容でもカバーできると思ってはおりますがクライアントに対して「なるほど!」と思ってもらうためにも一つ使える手段かな〜と思っております。

もちろん「樋」?だったっけな?を作ることが腹横筋と内腹斜筋のポジションどりがうまくいって大体骨頭と股関節の関節窩の適合性に必要な内閉鎖金と外閉鎖筋などのローカルスタビライザーが働きやすい状態が作れることも忘れず。(あんま書くと怒られそうなのでこのぐらいで)

とりあえず久々に書いたのでほどほどに。。。笑

本当はスポーツメンタルや知覚認知心理学系の記事を書きたかったんですが。。。
アイデア浮かばず失念。色々と雑ですが無料なんでw
またのお楽しみに。。

Bø, K., & Nygaard, I. E. (2020). Is physical activity good or bad for the female pelvic floor? A narrative review. Sports Medicine, 50(3), 471-484.

Bø, K., & Herbert, R. D. (2013). There is not yet strong evidence that exercise regimens other than pelvic floor muscle training can reduce stress urinary incontinence in women: a systematic review. Journal of physiotherapy, 59(3), 159-168.

Frank, C., Kobesova, A., & Kolar, P. (2013). Dynamic neuromuscular stabilization & sports rehabilitation. International journal of sports physical therapy, 8(1), 62.

FLOOR, O. S. O. P. (2014). Chapter Female pelvic floor dysfunctions and evidence-based physical therapy| 7|. Evidence-Based Physical Therapy for the Pelvic Floor: Bridging Science and Clinical Practice,

https://www.rehabps.com/DATA/Pelvic_floor.pdf

Stuge, B., Sætre, K., & Hoff, B. I. (2013). The automatic pelvic floor muscle response to the active straight leg raise in cases with pelvic girdle pain and matched controls. Manual therapy, 18(4), 327-332.

Nambiar, A. K., Arlandis, S., Bø, K., Cobussen-Boekhorst, H., Costantini, E., de Heide, M., ... & Harding, C. K. (2022). European association of urology guidelines on the diagnosis and management of female non-neurogenic lower urinary tract symptoms. Part 1: diagnostics, overactive bladder, stress urinary incontinence, and mixed urinary incontinence. European Urology.

 

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