制作の拠り所『構成案』で情報を整理する

テーマと目的を設定することで、文章を書き始められるようになりました。

ゴールを設定することで、文章を終えられるようになりました。

文章の中身は、脳内の編集者の力を借りてブラッシュアップ。脳内の編集者は、コンセプトをもとに編集していきます。

どうやって目的を達成するか、どのようなコンセプトにするかは、読者の「気持ちの変化(パーシェプションチェンジ)」を想定しましょう。

このページでは、テーマ、目的、ゴール、コンセプト、そしてパーシェプションをすべて管理し、編集する際に活用できる便利なツール、『構成案』をご紹介します。

構成案があれば、書きながら筆が止まったり詰まったりしてしまうことが減り、「どっちの文章がいいかな!?」みたいな悩みにも答えを得やすくなります。

そもそも、構成案ってナニ!?

構成案とは、文字通り構成の案です。文章を書く際、どんな流れにしようか、どんな見出しをいつ入れようか、そういった文章全体の構成をまとめておくものです。

会話において、本来はオチがない話を、オチを考えながら話されるのは、正直言ってキツいです。つまんねー。得てして、即興でひねり出されたオチもお寒いものです。
でもきっと、話しているほうもツラいはず。

これは文章も同じです。テーマと目的をもってスタートし、ゴールに向かって走り切るのがライティングだとするなら、構成案はスタートからゴールまでのナビゲーションのようなもの。
これがないと、ダラダラと文章を続けてしまい、いつまでたってもゴールまでたどり着けません。
いわゆる、書きながらオチを探っている状態。読むほうも書くほうもツラい。

書き始める段階で、文章全体を、どのように開始して、どのような展開をたどり、どのように終わらせるのか、決めておけば良いのです。その「どう決めたか」を記録しておく場所が、構成案です。

構成案の具体的な使い方

構成案ができたら、あとは肉づけしていきましょう。(作り方はこのページの後半で説明します。)
矛盾なく作られた構成案があれば、説明不足の箇所に文章を追加したり、適切に言い回しを工夫したりと多少肉づけしていけば、それだけで文章として成立してしまいます。

肉づけしながら、一定の区切りごとに構成案を見直すと良いでしょう。一つの見出し内を書き終わるごとに、その見出しを通して達成したい「読者の気持ちの変化」をジャマしている章/見出し/文はないか、確認していきます。

例えば、あなたがどうしても挿入したい、最高のワンフレーズを思いついたとします。ですがそれを入れることで、本来伝えたい内容がブレてしまわないでしょうか。
文章全体の調和=ちゃんと目的を達成できるか、が一番大事。
脳内の編集者があなたの文章を読み返して編集するとき、構成案は立ち返る場所になります。一度書いた素敵な文章を思い切って削除するためには、何かしらの理由や拠り所が、どうしても必要なのです。
「ここに、とても素晴らしい一文がある。しかし、これは構成案によると、本来の目的には不要だ。よって、削除する!」
こうして、あなたが思いついた最高のワンフレーズは消え去り、その代わり文章全体はより良くなりました。

構成案の作り方と構成案の実例

このページを作る際に用意した構成案を、下記に載せておきます。

【テーマ】構成案(文章を書く前に構成案を作ること)
【目的】構成案の便利さを知ってもらう。あわよくば、作りたくなってもらう
【ゴール】構成案の仕組みと作り方を説明し終わること
【コンセプト】文章力をアップしたい人にとって、良い文章制作に必要な要件がまとめられている構成案は、文章の作り方を根本から更新できるツールである。
【1.導入】(なんじゃ、構成案って?)
興味をもってもらう。構成案ページの概要。これまでやってきたことの羅列。リンクも入れとく。
【2.構成案の概要】(なんじゃ→ほーん、ちょい気になる)
ナビの例え入れる。テーマと目的をもってスタートし、ゴールに向かって走り切るのがライティングだとするなら、構成案はナビゲーションのようなものです。オチがない話を、オチを考えながら話されるのは、正直言ってきつい、つまんねー。話してるほうもツラい。そうならないためのもの。
【3.構成案の使い方】(ちょい気に→便利そうじゃん)
目的のジャマになる章や見出しはないか。立ち返る。矛盾がない構成案に肉付けしていけば、それだけで文章は成立する。
好みの味付けが、文章全体の調和を乱しているかも。おぬしはマヨネーズが好きかもしれんが、なんでもかんでもかけるな。ちゃんとハーモニー奏でてる? っていうチェックを脳内編集者がするときに、立ち返る場所になる。
【4.構成案の作り方】(便利そう→作ってみようかしら)
こいつを晒す。いえーい!みんな見てる!?
文章の大目的から順々に細かくしていく。目的から逆算すると細かい仕様が決まっていくんだけど、構成案ってのは、その細かい仕様が決まっていく過程のある一地点を切り取って保存しているに過ぎないイメージ。
でも、その一地点を過ぎるとごちゃごちゃしちゃうから、「ここまでは絶対!」って決めた一地点を保存しておき、そのときの「絶対の決め」からずれていないかを確認しないといけない。←作り方から外れたから、小見出し作るか。
【5.締め】(作ってみようかしら→作れる、作ってみたい)
見出しの要約を羅列+しめの挨拶+いつもの

【テーマ】【目的】【ゴール】【コンセプト】
↑ここまでは、だいたい決まっているはずなので自動的に入力しましょう。コンセプト部分のみ、少し考える必要があるかもしれません。特に、タグラインを「文章力がワンランクアップする」とか、抽象的な言葉にはしたくないですね。具体的であるほど、カッチリしたページになります。

【1.導入】(なんじゃ、構成案って?)
【2.構成案の概要】(なんじゃ→ほーん、ちょい気になる)
【3.構成案の使い方】(ちょい気に→便利そうじゃん)
【4.構成案の作り方】(便利そう→作ってみようかしら)
【5.締め】(作ってみようかしら→作れる、作ってみたい)

↑文章の大きな目的から、順々に小さな目的へ細分化していきます。すると、見出しの構成と「読んだ人の気持ちの変化」は、だいたいこのようなものに決まっていくでしょう。

大きな目標を達成するためのマイルストーンを決める作業に似ている気がします。
「1年以内に引っ越しする」という目標を決めたら、
・部屋探しは引っ越し3か月前まで。
・5か月前までには引っ越し先候補を決めて、不動産屋さんと話をしたい。
・賃貸への連絡は2か月前まで。
・引っ越し業者への依頼は引っ越しの2か月前まで。
・電気ガス水道ネット郵便への連絡は引っ越しの1か月前まで。
・上記に並行して引っ越し資金を〇〇万円貯める。
・だから今月は〇万円貯める。
・今すぐにやらないといけないのは、不動産屋さんを何件か見て回ることと、毎月〇万円の貯金。
というように、次々と細かい目標が決まっていきます。

文章制作に話を戻すと、文章の大きな目的が設定されることで、中くらいの目的が決まり、それをもとに小さな目的が決まり、さらに一文一文の役割が決まっていく……という感じです。

構成案では、「大きな目的」と「中くらいの目的」までを決めておくと良いでしょう。小さな目的を決め、それを達成していくことや一文一文に役割を与えていくのが、実際のライティングであり「構成案への肉づけ」です。

構成案は、目的までの逆算を「切り取った一場面」に過ぎない
目的から逆算することで、細かい目的が決まっていきます。完全に「全部が決まり切った状態」とは、ライティングまでも完了し、文章ができあがった状態のこと。
本来、大きな目的を立ててからライティングが完了するまでは、ロジカルに進めていけばシームレスにつながっていきます。
構成案とは、大きな目的を立て、細かい要件が決まっていき、文章ができあがった状態になるまでのシームレスな一連の過程において、ある一地点を切り取ったものに過ぎません。

ですが「構成案」という一地点を過ぎて実際にライティングを始めると、ごちゃごちゃしてきます。だから「ここまでは整理した」という「構成案という一地点」を保存しておき、ズレていないかをたまに確認したほうが良いのです。
実際、上記に載せた当ページの構成案と、現在のページ原稿ではかなり変化が生じています。追加したり削除したり並び替えたり、ごちゃごちゃしてきたからです。
ですが構成案に立ち返ることができるおかげで、本来の目的を見失ったり、見出し内で迷走したりすることはありません。

まとめ

・構成案とは、文章をスタートからゴールまで導くナビのようなもの。
・構成案に肉づけすることで、ライティングが完了する。
・自分が書いた文章を編集するとき、構成案を参考に添削する。
・大きな目的と中くらいの目的を整理しておくことで、構成案が作れる。
・構成案はライティングが始まってから真価を発揮し、情報整理に役立つ。

構成案があるとないとでは、大違い。構成案を作るために時間を割くことが、結果的に文章の整理に役立ち、制作時間の短縮にもつながります。
少なくとも、成果物のクオリティアップは間違いないでしょう。

文章に限らず、制作の悩みは構成案を使って考えたりコミュニケーションをとったりすることで解決できることが多い、と感じています。気になった方は、ぜひ一度お試しください!

それでは、みなさんに良きクリエイターライフがあらんことを。

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