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【ワーホリ体験談】オーストラリアの労働観~good day,mate.~

私は、大学2年次を休学し、ワーキングホリデーという形でオーストラリアへ滞在した。

理由は3つ。

◼️英語を身に付けたかった。
英語英文科に所属していたが、その「コスパ」には疑問を持っていた。だいたい、日本語で英語を学ぶってどうなのだろう、と。赤ちゃんのように、英語が当たり前の世界に飛び込み、赤ちゃんのように拙い英語を話し、いづれ幼稚園生のように会話で人と意志疎通する。100%英語を話さないと生きていけない世界に自分を連れていきたかった。

◼️旅したかった
大学時代というものは、人生の中の本当に限られた自由を満喫することが許されている世界である。特に日本においては。大学一年生の時に、なんだか自分が鳥かごの鳥のような感覚を覚え、この鳥かごを外から見たら、一体どんなことを感じるのだろう。そんなことを「なんとなく」感じた。本能的な、衝動的なものだった。

◼️自分を変えたかった
私はかなり不器用な人間。今でも本質は変わらない。あの頃といえば、サークル活動にも本気になれず、授業もつまらなく、退屈だった。彼女もできなかった。そんな退屈に甘んじている自分も好きではなかった。
ワーキングホリデーは「心の洗濯」と時に呼ばれる。それは、主な渡航者の大部分が「プチ日本脱出」をすることができ、リセットして日本に帰ることができる、という一面を端的に捉えた言葉だった。

本質的には、「海外フリーター」に他ならない。大学生が、「海外フリーター」になる。変身願望。
自由は自由なうちに最大限利用したかった。

思えば、なかばすがるようにオーストラリアへ行った。

得たものは、大きかった。英語は話せるようになった。オーストラリアを横断縦断し、エアーズロックに登り「人の悩みの小ささ」を考え、ちょっとした恋もした。

帰国後、「面白いヤツ」になった。面白いことを言うヤツではなく、面白いことをしたヤツ。友達は増えた。

そして今、またオーストラリアのことをふと、考えた。

降りてきたのは、「労働観」の違いだ。
エピソードから書こう。

スーパーで買い物をしていた。会計でお金を出す際に、未熟な私はお札を「パサッ」っと放り投げて出した。店員が言う。「あなたの行いはとても失礼よ」

はっとして、すかさず謝罪した。と同時に、オーストラリア好きだな、とも感じた。日本のコンビニにおいて、お札を「パサッ」っと置く人は少ないにしても、いるだろう。そんな時、店員は「今の行為、私を不快にしたわ」と言うだろうか。

絶対に言わない。お客様にたてついてはいけない。お金を払う方が偉い、そんなお客様にたてついたら、逆ギレされて、今後の売上が減るかもしれない。


オーストラリアでは、お客様と店員が対等なのだ。売る側と買う側の合意に基づき、契約をする。過度な売り手のおもてなしは不要。

ちなみに、オーストラリアの最低賃金は高い。確か、10年前で13ドル(ざっと1300円)だった。いわゆるバイトでこの金額。
ホテルでアルバイトをしたが、時給20ドルだった。更にスペシャルオファーというのがあり、夜にチョコレートを配りにいく仕事をすると、25ドルもらえた。3ヶ月で約75万ほど稼いだ。

エピソードとしてうまく起承転結で書けているか、今若干不安である。

伝わればいい。

もう1つエピソードがある。本当に小さなことだ。
レストランで、料理を食べた。ステーキ屋さんで、そこでは調理するシーン、すなわち肉を焼き上げる様を見ることができる。あえて見せていたのだと思う。

コックは、超楽しんでいた。「ウッホーイ」と吹き出しにするならそんな感じで、ノリノリで肉を焼く。
一緒に食べた両親(遊びにきていた)は、心底びっくりしていた。「日本じゃあんなヤツいないな笑」と言っていた。「なんか、悪くないな」と言いたげだった。

基本的に、オーストラリア人はルーズである。遅刻もそんなに気にしない。ビールを昼間からビーチで飲むことを愛する。口癖は「good day, mate」だ。深い意味はない、「友よ、よい1日を」くらいの軽い言葉。

日本はいい国だ。道は綺麗で、奉仕心に満ち、地球ピカ一のマナーのよさ。日本人のそんな国民性は世界中から愛され、信頼され、学ばれている。

オーストラリアは、そうでもない。「lazy」つまりだらしがない、怠け者だと少し西洋からいじられている。オーストラリア人は、そんな自分たちを愛している。「楽しんだもん勝ちだぜ、お先に」と。

歴史的には、そこには西洋からオーストラリアに「軽犯罪人」を送り込んだことが少なからず関係している(と私は考察している)のだが、とにかく、オーストラリアの労働観は精神衛生的に、心にいい。

じゃあ海外へいけばいい、と簡単に言われてしまいそうだが、そう簡単な話でもない。

ふと、そんなことを書きたくなったのだ。
楽しんだもん勝ち。思ったことは客だろうと言っていい。仕事は生きる手段。金を得る手段。稼いだら、ビーチで飲もうぜ。

good day ?mate ?

オーストラリアから、そんな声が聞こえてくる。



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