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普段の生活に謎解きを【読書感想文】

最近読んだ本の感想を書いてみる。
あまり壮大な謎解きミステリーは読むのがしんどいので、短編で日常の中でちょっとした謎解きがある本ばかり読んでいる。
そんなジャンルを「コージーミステリー」や「ライトミステリー」というらしい。


ほたるいしマジカルランド

大阪北部にある遊園地で働く人たちのお話。
楽しい空間をお客様に提供する従業員さんたちにも色々な悩みがある。
遊園地の園内の様子を読んでいると、大阪府枚方市にあるひらパーを思い出す。
自己肯定感を持てずに周りからどう思われているかで行動をしてしまい、旦那さんと子どもと別れることになり、ひとりになってしまった八重子さんの「目の前のことをやるしかない」「他人からの評価や肯定をあてにすれば、どこかで行き詰まる」という言葉が今の私には刺さった。

答えは市役所3階に~2020心の相談室~

コロナ禍でうつうつとしたしんどい気持ちを市役所のカウンセラーさんに相談する話。
カウンセラーさんがお悩みを解決するというよりは、相談者さんが自分の気持ちを吐き出して、自分自身と向き合っていく。
単純に悩みが解決してすっきりする小説かと思ったら、相談者がカウンセラーにあえて言わない事情などを「こうではないか?」と解き明かす、謎解き要素もちゃんとあって面白かった。
短い相談時間の中でそんな分かるものなのか。
確かに誰かに相談するときは自分の都合が悪いことは言わないような気がする。
私にも身に覚えがある。

ときどき旅に出るカフェ

会社勤めをする瑛子さんが近所で喫茶店を見つけた。
その喫茶店の店主は以前一緒に働いてた円さん。
偶然の縁から始まる交流、お客さんが持ち込む悩み。
海外を旅して見つけたメニューを提供する喫茶店でとても美味しそう。
瑛子さんの独身あるあるな思いや考え、なんとなく他人を羨ましいと思ってしまう気持ちなどが、とても共感してしまう。

スープ屋しずくの謎解き朝ごはん

スープ屋しずくの店主の麻野さんが、お客さんたちのお悩みを解決してくれる話。
ちょっと話を聞いただけで、矛盾点や疑問点に気づく麻野さん。
そんな麻野さんにも重い過去がある。
だからこそ色んな方の悩みに向き合えるのかもしれない。
4巻の「まだ見ぬ場所のブイヤベース」で麻野さんが「やりたいことがなくても、別にいいのではないでしょうか」と悩む理恵さんに声をかける話がとても良かった。
麻野さんの言葉ひとつひとつが優しい。
そんな麻野さんに惹かれていく理恵さんの恋も応援したくなっちゃう。
スープ屋しずくのスープの描写が美味しそうで、読んでいるとお腹が空いてくる。
空腹時は注意な本である。

横浜コインランドリー

ブラック企業を辞めた茜さんが、近所のコインランドリーで働く話。
洗濯物を持ち込むお客さんがなかなか個性的で、ちょっとお悩みを抱えた訳ありな方も多い。
そんな悩みを店長の真奈さんが洗濯を一緒にしながら寄り添ってくれる。
真奈さんとお客さんの関わりを横で見ながら、茜さんは自分自身の心の傷も癒していく。
コインランドリーは利用したことがないが、ちょっと行ってみたい気持ちになった。
真奈さんや茜さんみたいな店員さんがいたら通うのに。

レジまでの推理~本屋さんの名探偵~

個性豊かな書店員さんがお客さんが持ち込む謎を解いていく話。
文章の途中に書店用語みたいなものが注釈で書かれているのが面白い。
ネット販売が強いのでリアルな書店は潰れていく。
書店で実物の本を眺めていると予想外な出会いがある。
私もできるだけ、リアルな本屋で本を購入したいと思った。
最後の話は「それあり!?」と思ったが…。

まとめ

今回読んだ本は「悩み」がテーマな気がする。
どの本を読んでいても思うが、悩みを誰かに相談したりして何かしらのアドバイスをもらったとき、結局そのアドバイスを参考にして行動するか、何もしないかは自分次第と感じる。
物語の登場人物たちみたいに限られたページ数でお悩みが解決する訳ではないが、私も彼らのように前を向きたい。

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