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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #25 【23日目】他の誰のためでもない自分のための巡礼、ベルシアノス・デル・レアル・カミーノへ

こんにちは、ナガイです。今日はレディゴスからベルシアノス・デル・レアル・カミーノ(Bercianos del Real Camino)へ向かいます。
前回の記事はこちら。

天気予報(ベルシアノス・デル・レアル・カミーノ) やや曇り 最高気温17℃ 最低気温5℃

5時半起床。体力が回復してきたのか起きる時間が早くなってきたが、まだ乾いた咳が出る。過去に風邪を引いた後に急性気管支炎を患った時と経過や症状が似ており、その時は治るのに少し時間がかかったため、もし今回もそうだとすると厄介だ。どこかで薬局があったら薬を買おう。
6時半前に出発。今朝も冷え込みはそれ程でもなさそうだ。

村を抜けるとすぐに街灯がなくなり真っ暗になる。ライトを照らして歩くのも久しぶりだ。

7時前にテラディジョス・デ・ロス・テンプラリオス (Terradillos de los Templarios)の村を通過。昨日の当初の宿泊予定地だった村だ。ただし、思ったより村同士が近く、距離的に大した違いはないので、どちらに泊まるかはアルベルゲの好みなどで決めてよさそうだ。

7時を過ぎて辺りが明るくなってきた。今朝は薄い雲が空を覆っており、遠くの方が霞がかって見える。これはこれで神秘的な雰囲気が醸し出されて悪くない。

7時半にモラティノス(Moratinos)の村を通過。

村の出口付近に休憩場所があったので小便と簡単な朝食を済ませる。

なんだか先ほどより霞が濃くなっている気がする。ふとピレネーの風景を思い出す。あの時もこの世とは思えない美しい光景だったが、この立ち込める霞も何だかこれ以上先に行ってはいけないような恐れすら感じる幻想的な景色だ。

8時過ぎにサン・ニコラス・デル・レアル・カミーノ(San Nicolás del Real Camino)の村を通過。霞が晴れてきた。

8時半過ぎに石碑の前を通り過ぎると、遠くにサアグンの町が見えてくる。ブルゴス以降では一番大きな町だ。

残り383kmの道標を通過する。改めて残り半分を切ったのだと実感する。

9時半過ぎにサアグンの町へ到着。鉄道のサアグン駅を横目に見つつ町の中心部へ向かう。

すぐに薬局があったので入り、Google翻訳も使いながら症状を説明して薬を購入。9.80ユーロ。

近くにカフェがあったので休憩する。ケーキとアメリカーノを注文。3.20ユーロ。

この上の部分がキャラメリゼされたロールケーキのようなスイーツがめちゃくちゃおいしかった。あまりにおいしかったので店員の男性に何という名前か尋ねたところ、Borrachoというケーキだそうだ。

テラス席に座っていると昨日も同じアルベルゲに泊まっていたデービッドとピーターがやってきて、「この二手に分かれた道はどっちに行けばいいか分かる?目印が見当たらなくて」と聞いてきた。Googleマップを開き、町の出口の方向からして「多分こっちかな…?」と言いながら顔を上げると、カフェの角にひっそりと道標が立っているのを見つけた。思わず大声で二人に「見て!」と言い、二人も「うわ、目の前にあるじゃん!」といった感じで驚きと喜びの声を上げた。全員で大笑いし、「ブエンカミーノ!」と言い合って彼らを見送った。いい大人達がこんなことで大はしゃぎしているなんて、なんて馬鹿馬鹿しくて、なんて楽しいんだろう。

おいしいものを食べ、笑って気分も良くなったので少し町を散策してみることにする。

町の中心部にある広場周辺ではフリーマーケットが開かれており、たくさんの人で賑わっていた。

町の北部にあるサン・ロレンソ教会。ため息が出るほど美しい造形だ。

町の西部にあるサントス・ファクンド・イ・プリミティーボ修道院は白を基調としていて、色んな角度から見たくなる面白い造りをしている。すぐ近くにあるサン・ベニート門やサン・ティルソ教会と相まって神聖な空気感に包まれた一角だ。

町を出る前にスーパーで水だけ購入しておく。0.89ユーロ。

11時過ぎにサアグンを出発。もう少し留まりたい気持ちもあったが、今は歩きたい気持ちの方が強い。

朝とはうってかわってすっきりと晴れた天気だ。午後からは再び曇りの予報で気温もそれほど上がらない見込みのため、焦って歩く必要もない。巡礼にはベストなコンディションだ。

地元の人だろうか、男性がランニングスタイルで後ろから走ってきて追い抜きざまに親指を立てながら「ブエンカミーノ!」と言って去っていった。すぐに小さくなっていく背中に「Gracias!(ありがとう!)」と声を掛ける。本当にこういうやりとり一つ一つが歩くエネルギーになる。サアグンで休憩を取ったカフェでも先に席を立って出発する見ず知らずの巡礼者の男性が「ブエンカミーノ!」と声を掛けてくれた。だから自分も他の巡礼者や地元の人には積極的に挨拶することを心がけている。

12時過ぎにカルサダ・デル・コト(Calzada del Coto)の村を通過。

空には絵に描いたような雲が浮かんでおり、ここが現実の世界ではないかのような錯覚に陥る。

村を出たところで巡礼路が二つに分岐するポイントがある。ここを左に進む。

12時半過ぎに高速道路の上を通る橋を渡る。

今ようやく自分らしい巡礼ができるようになってきていると感じる。前半はつい他の巡礼者のペースに合わせてしまったり、知らず知らずのうちに自分の限界を超えてしまって体調を崩したりしていたが、折り返して後半に入った今、やっと自分に合った巡礼のペースや楽しみ方が分かってきた。そして、これは他の誰のためでもない、自分のための巡礼なのだと思った。

13時前にテーブルやベンチのある休憩場所があったので朝食の残りを食べつつ最後の休憩を取る。

13時半にベルシアノス・デル・レアル・カミーノの村の手前にあるアルベルゲへ到着。ここも最近できたのだろうか、新しくてきれいなアルベルゲだ。受付の女性の接客が丁寧で好感が持てた。宿泊代は14ユーロ。

シャワーと洗濯を済ませ、アニータから片言の日本語で「アナタハイマドコデスカ?」と音声メッセージが来ていたので「ベルシアノス・デル・レアル・カミーノだよ。今どこにいるの?もうレオン?」と送ると、「今夜レリエゴスで、明日レオンだよ」と返信があった。彼女達のグループはしばらく前から少し先を行っており、アニータとはブルゴスのアルベルゲで見かけたきり会っていない。

14時半過ぎにアルベルゲ併設のレストラン兼バルでハムとチーズのボカディージョとオレンジジュースを注文。7.30ユーロ。

夕方までベッドの上でゆっくり過ごし、19時に再び併設のレストラン兼バルへディナーを食べに行く。一皿目にミックスサラダ、二皿目に豚ロースのソテー、デザートにアイスクリームを注文。パンと水込みで13ユーロ。サラダの玉ねぎが辛かったこと以外はまずまずだった。

夕食を終えて部屋へ戻り、22時就寝。

歩いた距離
今日26.3km 合計421.9km 残り358.5km

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