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ニューヨークタイムズ 化学物質過敏症 Canaries


アメリカの代表的な日刊新聞ニューヨーク・タイムズ (The New York Times)で、化学物質過敏症を発症した方々の暮らしが掲載されています。

掲載写真のタイトルは、「Canaries」(カナリア)。

化学物質過敏症の罹患者は、炭鉱のカナリアに例えられることがあります。

かつて、炭鉱での採掘作業時に、炭鉱内でのメタンガスなどの有害ガスの発生を報せるために、炭鉱員は、カナリアの入ったカゴを持って炭坑入りました。

カナリアは、炭鉱の有毒ガスに、人間よりも早く不調を示し、苦しみ、鳴くことできなくなったり、力を失って亡くなったりします。

人間に感知できない量の有毒物質を感知するカナリアは、その身をもって炭鉱員に、その場の危険を報せました。

環境中の微量の有毒物質で体調不調を起こすカナリアを模して、化学物質過敏症の罹患者の姿は、カナリアと呼ばれています。

「Canaries」では、香水、掃除用具、車の排気ガス、建築資材、殺虫剤、雑誌や本などの印刷物など、上げきれないさまざまな日常のありふれた化学物質によって、化学物質過敏症発症前の暮らしを失ってしまった人の姿が映されています。

突然、化学物質過敏症を発症した写真家のThilde Jensen氏は、化学物質過敏症の発症によって、それまでの写真家としてのキャリアなどが断ち切られました。

テントとトレイラー、時には、遮るものもない空の下での生活を2年間続けたThilde Jensen氏は、それまで快適に暮らせていた日常の生活が、ある日、突然、「有毒な戦場と化した (became a toxic war zone 」と述べています。

「Canaries」に映されている人々の暮らしは、化学物質過敏症の人々の現実です。

防毒マスクをして過ごす子どもの姿。

人の輪に加われずに通り過ぎる人。

ショーウィンドウの前に座り込む人。

雪の積もる山の中で、ビニールを掘立のように張り、その入口で携帯用のシャワーを浴びる人。

化学物質過敏症は、人里を離れて暮らす人にとっても、人の生活する場所で暮らす人にとっても、孤独な病いです。

その過酷な生活に、結婚生活は破綻し、友人や家族が離れていきます。

This life often carries a long trail of loss.
Marriages fall apart, friends and family pull away.
EXPOSURES
Everything Makes Them Sick


Everything Makes Them Sick 
The New York Times


Thilde Jensen 


フォトグラファー

デンマークに生まれ、1997年にニューヨークへ移住、その6年後、重度の環境病、化学物質過敏症を発症する。

http://thildejensen.com/index.html 

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