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既治療のHR陽性HER2低発現または陰性の進行乳癌に対する抗TROP2抗体薬物複合体Dato-DXdは全生存期間の有意な延長を認めず
第一三共と英AstraZeneca社は2024/9月23日、内分泌療法と少なくとも1件の全身療法歴のある切除不能または転移を有するホルモン受容体(HR)陽性HER2低発現または陰性(IHC 0、IHC 1+またはIHC 2+/ISH-)の乳癌に対して、抗TROP2抗体薬物複合体Datopotamab Deruxtecan(Dato-DXd)は、医師が選択した化学療法に比べて有意な全生存期間(OS)の延長を認めなかったと発表した。国際共同フェーズ3試験であるTROPION-Br
早期の高リスクトリプルネガティブ乳癌で術前化学療法にペムブロリズマブを追加し術後にペムブロリズマブ単剤追加は死亡リスクを34%減少
早期の高リスクトリプルネガティブ乳癌(TNBC)に対し、プラチナ製剤を含む術前化学療法にペムブロリズマブを追加し、術後にペムブロリズマブ単剤を投与することは、術前化学療法のみの場合よりも死亡のリスクを34%減少できることが明らかとなった。フェーズ3試験KEYNOTE-522試験の重要な副次評価項目である全生存期間(OS)の解析の結果示された。 2024/9月13日から17日にスペイン・バルセロナで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2024)で、英Barts Can
新規抗癌剤 抗TROP2 ADCのサシツズマブ ゴビテカン Triple negative乳がん新規抗癌剤 「ドラッグラグ」とは
欧米で新規の薬剤が承認されていても、日本では未だ承認されていないことの現象は「ドラッグラグ」と呼ばれていて、社会的な問題になっています。 この問題の代表的な薬が”サシツズマブ ゴビテカンです。米国では2021年4月、ヨーロッパでは2021年11月に承認されています。 全身療法歴のある手術不能または再発のホルモン受容体陰性かつHER2陰性(HR-/HER2-)(トリプルネガティブ)乳癌治療薬です。 2024年1月30日、日本での製造販売承認申請されました。このことから、順調に厚
乳がん治療におけるエンハーツ 抗HER2抗体薬物複合体(ADC)であるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の続き:::
エンハーツについて続きを書きます。 進行HER2陽性乳癌治療ではDESTINY-Breast03試験結果を受けて、 T-DXdがHER2陽性乳癌2次治療の標準治療として確立しました。 副作用の発現が多いため十分気を付けて使用する必要があります。投与法の工夫も必要と思われます。また、 DESTINY-Breast04試験の結果 HR陽性HER2-lowという新しいカテゴリーが治療戦略の中に入ってきました。ただ、HR陽性転移乳癌の治療が大きく変わるわけではありません。CDK4
乳がん治療におけるエンハーツ 抗HER2抗体薬物複合体(ADC)であるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)とは?
最近乳がん治療に使われるエンハーツという薬があります。抗HER2抗体薬物複合体(ADC)であるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)という薬の商品名です。最初はHER2タイプの乳癌に使われる薬として開発されています。ハーセプチンに、リンカーを介してトポイソメラーゼⅠ阻害作用を有するカンプトテシン誘導体を結合させた抗体薬物複合体(ADC:Antibody Drug Conjugate)です。トラスツズマブによるHER2シグナル阻害や、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)