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エンハーツをHER2低発現の患者さんに使うときの注意点

HER2低発現 エンハーツ適応拡大のためのコンパニオン診断

エンハーツ適応拡大のコンパニオン診断は、再発乳癌で化学療法を施行後の患者さんでHER2低発現が確認された患者さんに対してエンハーツが2023年1月から適応拡大しました。この際にHer-2低発現とはHER2が1+、またはHER2が2+かつ遺伝子検査で陰性の患者さんです。このHER2の発現を見る検査はベンタナultraViewパスウェーHER2(4B5)と言う検査法しか認められていません。また、HER2低発現の患者さんにエンハーツを使用する前に、再度この検査を実施することが保険適応の要件になっていることに注意が必要です。

下記に学会からいただいた資料を添付します。

2023年3月27日にトラスツズマブ デルクステカン (T-DXd)(商品名エンハーツ)が、「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌」に適応拡大されました。T-DXdを保険診療下でHER2低発現乳癌に使用する場合には、同3月3日に薬事承認され, 4月28日に保険適用が承認され、5月1日より実施可能となったコンパニオン診断薬を用いた免疫組織化学(以下、IHC)検査 による「HER2低発現」のHER2判定が必要となります。本IHC検査の要点・留意事項は以下になります。

1.HER2低発現乳癌とは
「HER2 IHC 1+」または「IHC 2+かつISH陰性」の乳癌です。

2.HER2 低発現乳癌に対する保険下でのT-DXd 使⽤のためには
a.コンパニオン診断薬ベンタナultraViewパスウエーHER2 (4B5) (以下CDx)によるHER2低発現の確認が必要です。 b.CDxによるHER2低発現の判定結果は2023年3⽉27⽇以降のものが必要です(つまり、当面、新たに CDx を⽤いた HER2 再検査が必要)。 c.CDx を⽤いた HER2 再検査の医学的な対象は、過去の HER2 検査で陰性(IHC 0, 1+, 2+かつ ISH 陰性)で、かつ、今後 T-DXd の使⽤を考慮する場合です。 d.CDxによるスコア判定は厳密に行う必要があります。特に、低発現の診断には注意を要する。 e.T-DXdの適応は、従来のHER2陽性とHER2低発現の両者となるため、T-DXd使⽤においては事実上 ISH検査は不要です。

HER2低発現乳癌の検査費用
HER2低発現乳癌へのT-DXd保険下投与には、当面、ほとんどの症例に対し、CDxによる再検査が必要です。CDx再検査は2023年4月28日に保険適用が承認され、同5月1日から保険診療として実施可能となりました。


したがってエンハーツをHER2低発現の患者さんに使う場合ほとんどの患者さんが再検査が必要ということです。ご注意ください。

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