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早期の高リスクトリプルネガティブ乳癌で術前化学療法にペムブロリズマブを追加し術後にペムブロリズマブ単剤追加は死亡リスクを34%減少

早期の高リスクトリプルネガティブ乳癌(TNBC)に対し、プラチナ製剤を含む術前化学療法にペムブロリズマブを追加し、術後にペムブロリズマブ単剤を投与することは、術前化学療法のみの場合よりも死亡のリスクを34%減少できることが明らかとなった。フェーズ3試験KEYNOTE-522試験の重要な副次評価項目である全生存期間(OS)の解析の結果示された。

 2024/9月13日から17日にスペイン・バルセロナで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2024)で、英Barts Cancer Institute、Queen Mary University LondonのPeter Schmid氏が発表した。

 KEYNOTE-522試験では、ペムブロリズマブ投与によって病理学的完全奏効(pCR)率が有意に改善すること、無イベント生存期間(EFS)が有意に延長することの、2つの主要評価項目を達成したことがすでに発表されていた。OSについても有意に改善できたことが発表されており、今回詳細な結果が発表された。

 KEYNOTE-522試験の対象は、新規にTNBC(AJCCでT1c N1-2またはT2-4 N0-2)と診断された、ECOG PS 0または1の患者。2017年3月から2018年9月までに1174人が登録され、患者は術前化学療法にペムブロリズマブ(200mgを3週毎)またはプラセボを追加する群に2対1でランダムに割り付けられた。術前化学療法は、パクリタキセル80mg/m2を週1回、カルボプラチンはAUC 5で3週毎またはAUC 1.5で週1回投与し、これを4サイクル行った後、ドキソルビシン60mg/m2、エピルビシン90mg/m2、シクロホスファミド600mg/m2をそれぞれ3週毎に投与し、これを4サイクル行った。根治手術を行った後、術後療法としてペムブロリズマブまたはプラセボの投与を9サイクル、あるいは再発または受容不能な毒性の発現まで継続した。

 発表されたのは、事前に規定されたデータカットオフである2024年3月22日、観察期間中央値が75.1カ月の結果。ペムブロリズマブ群に割り付けられた784人のうち115人(14.7%)、プラセボ群に割り付けられた390人のうち85人(21.8%)が死亡していた。OSのハザード比は0.66(95%信頼区間:0.50-0.87)、p=0.00150で事前に規定された有意水準である0.00503を下回り、有意に延長できることが証明された。ペムブロリズマブ投与によって死亡のリスクが34%減少していた。5年OS率はペムブロリズマブ群が86.6%(95%信頼区間:84.0-88.8)、プラセボ群が81.7%(95%信頼区間:77.5-85.2)だった。ペムブロリズマブによるOS改善効果はPD-L1発現、リンパ節の状態も含め概ねのサブグループで認められた。

 アプデートされたEFSの結果は、ハザード比0.65(95%信頼区間:0.51-0.83)だった。5年無イベント生存率はペムブロリズマブ群が81.2%、プラセボ群が72.2%だった。

 pCRが得られた患者の5年OS率は、ペムブロリズマブ群が95.1%、プラセボ群が94.4%だった。一方、pCRが得られなかった患者の5年OS率はペムブロリズマブ群が71.8%、プラセボ群が65.7%だった。

 グレード3以上の治療関連副作用発現率は、ペムブロリズマブ群が77.1%、プラセボ群が73.3%(死亡の発生率はペムブロリズマブ群が0.5%、プラセボ群が0.3%)だった。全グレードの免疫系を介した副作用の発現率は、ペムブロリズマブ群が35.0%、プラセボ群が13.1%。長期間の観察でも安全性プロファイルは過去の報告と一致しており、安全性に関する新たな問題は認められなかった。

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