【卒制】高校時代の初恋ホワイトデイ『燻し銀の花』0~2章まで更新!
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燻し銀の花 ――『揺るぎなき夢』の大切さ――
2章 投稿と登校・甘くて酸っぱい二層の嘘
中学生になり、本格的に小説を書き始めた。
まず、手をつけたのは当時流行っていたライトノベルだ。
宇宙災害のニュースを基に、SF系の作品を構想した。思いついたアイデアを一つひとつカタチにしながら、小説投稿サイトで連載した。そのことで頭がいっぱいだった。
気づけば受験生になり「小説の顔である表紙を自分で創りたい」という想いを胸に、ボクはデザイン科のある高校に進学した。
これまで一途に夢を追い続けてきたボクは、いきなり青春の真っ只中に閉じ込められた。
デザイナーは女性の多い職業だから当たり前だ。クラスメイトは男子五人に対して、女子三十五人の強制ハーレム状態だった。
その上、中学校の美術部が消化不良だったこともあり、高校でも美術部を選んだ。
その結果、ボクは一人の女子にココロを奪われた。本気で恋をしたのは、あの子が最初で最後だった。
*
「これ、部活であげる義理チョコなんだけどさ、良かったら、余りそうだから、一つ食べる?」
ボクが初めて天空(そら)に話しかけたときの言葉を四年が経った今も一言一句憶えている。
確かあの日はホワイトデー明けの月曜日だった。「義理チョコ」と言ったが、アウトレットモールの店員にオススメを訊いて、お小遣いで買った正真正銘の本命チョコだった。ただ、本命チョコを女子にプレゼントする勇気が出なくて、たくさん買った。
ホワイトデーのチョコ、君のために買ったから全部あげるよ。そんな言葉がスラスラと口に出せるのならば、わざわざ偽装なんてしなかった。
そもそも、ボクは天空の彼氏ではない。彼女からバレンタインチョコすら貰っていない只のクラスメイトだった。
息を呑むほどに可愛くて恥じらいのある仕草に一目惚れしていた。
好きすぎて這い上がることができないくらいに深い恋へと落ちていて、教室のなかで一緒にいることすら息が詰まったのも、本命チョコをアソートで買って部活で配る義理チョコだと嘘をついたのも、すべて恋心のせいだった。
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