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日芸卒論小説『燻し銀の花 揺るぎなき夢の大切さ』

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日本大学芸術学部文芸学科の卒業制作に書いた中編小説 『燻し銀の花』の全章をまとめました。
学科中トップ成績五人に贈られる日芸文芸学科の優秀賞を獲った実力を遺憾無く発揮した40000字の本格…
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【卒制】揺るぎなき夢を魂に灯して『燻し銀の花』終章含め全文公開!

☝️0~6章までは こちらから! 🌸燻し銀の花 ――『揺るぎなき夢』の大切さ―― 終章 燻し銀の花・ビッグバンの起爆剤・揺るぎなき夢  今日も彼は、ノートパソコンで小説を書いていた。 マイクロソフト・ワードの画面が深い夜闇の只中に光って一際目立っている。  どうやら、ファイル名は『燻し銀の花』のようだ。

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【卒制】夜の闇も虹色に輝くこの世界で『燻し銀の花』0~6章まで更新🌸次回完結!

☝️0~5章までは こちらから 🌸燻し銀の花 ――『揺るぎなき夢』の大切さ―― 6章  涙の創痕・虹色に輝く闇・永遠の命題に終止符を  この夜を自力で乗り越えるべきだ。 何もしなくても人生は過ぎ去っていく。それは甘えだ。大学院に進学もしない。就社も自分に合っていない。新人賞も獲っていない。二次選考にも載ったことがない。  たとえ、この夜が明けたとしても卒業後の未来には何もない。  無防備な人間を見ると無性に守りたくなる。本当に無防備な人間は、このボクだ。  枕が

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【卒制】就活氷河期とのリアルな悪戦苦闘『燻し銀の花』0~5章の最後まで更新!

☝️0~5章の途中までは こちらから 🌸燻し銀の花 ――『揺るぎなき夢』の大切さ―― 5章 三角形の紙・女王様ペンギン・就職活動の鬼門 ☆完結編☆ *  株式会社スプリットコンプリメンタリーの次に上手くいったのは、IT企業の株式会社双極だった。 「親友の隆斗からプログラミングを学べば、入社前からプログラミングの基礎を習得できます」の一点張りで一次選考を通過した。つかみが相当良かったらしい。  電話で「三次選考を免除するから二次選考に来ていただきたい」と呼ばれたボク

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【卒制】冬のインターンで芽吹いた恋『燻し銀の花』0~5章まで追加更新

☝️0~5章の途中までは こちらから 🌸燻し銀の花 ――『揺るぎなき夢』の大切さ―― 5章 三角形の紙・女王様ペンギン・就職活動の鬼門 *  株式会社テトラード。 スーパーマーケットの運営をしている会社だ。ボクが就職先にここを選んだのは、高校三年生からずっと、近所のスーパーでアルバイトをしてきたからだった。  冬のインターンシップで、たまたま可愛い女性と隣だった。  彼女は三角形の紙に「早川」と丸文字で書いていた。名前までは覚えていなかった。彼女の名前は何というの

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【卒制】入社式の日に就活氷河期の話『燻し銀の花』0~5章まで更新

☝️0~4章は こちらから! 🌸燻し銀の花 ――『揺るぎなき夢』の大切さ―― 5章 三角形の紙・女王様ペンギン・就職活動の鬼門  作家になる。 その一点張りでも良かったのだろう。だけど、ボクは会社に就職して安定した収入を得る道を捨てることがどうしてもできなかった。  本格的に就活を始めたのは大学三年生の夏休みからだ。大学四年生に交じって八月のインターンシップに参加した。  母親から「家庭教師に向いている」と言われたことがあり、教育関係の企業に絞ったボクは学習塾を運営

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【卒制】母校との繋がりは一生の楔『燻し銀の花』0~4章まで更新!

☝️0~3章は こちらから! 🌸燻し銀の花 ――『揺るぎなき夢』の大切さ――               4章 クオッカ先生・着物姿の人魚  高校を卒業しても同級生との関係を持つことができる上、プロ意識を高めることもできた。 母校のデザイン科の卒業生のみが出展を許される「すえ展」のおかげだ。作品を世間にさらけ出して、相当の評価を受けることは、プロになる上で重要なことだとボクはこの場で学んだ。  産業文化センターの一階にある大きな展示会場を借りて「すえ展」という名の企画展

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【卒制】高校卒業間近で察した恋心『燻し銀の花』0~3章まで更新!

☝️0章~2章は こちら 🌸燻し銀の花 ――『揺るぎなき夢』の大切さ―― 3章 新天地の巨人・逆ラブコール  それは唐突に訪れた。 高校生活で最後の席替えだった。窓側から廊下側の新天地へと机を腹の前に抱えて移動する。席替え後の新しい座席の位置をボクが勝手に「新天地」と呼んでいた。  窓辺の日向は、教室のほとんどが陽の光で滲んでいた。そこから移動した新天地は廊下側の日陰だった。 照明灯でほど良く翳っていて目に優しい。薄明のベールが教室全体に掛かっていて、周りを見渡しやす

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【卒制】高校時代の初恋ホワイトデイ『燻し銀の花』0~2章まで更新!

👆 0章~1章は こちらから。 燻し銀の花 ――『揺るぎなき夢』の大切さ―― 2章 投稿と登校・甘くて酸っぱい二層の嘘  中学生になり、本格的に小説を書き始めた。 まず、手をつけたのは当時流行っていたライトノベルだ。  宇宙災害のニュースを基に、SF系の作品を構想した。思いついたアイデアを一つひとつカタチにしながら、小説投稿サイトで連載した。そのことで頭がいっぱいだった。  気づけば受験生になり「小説の顔である表紙を自分で創りたい」という想いを胸に、ボクはデザイン科

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🌸日芸文芸の卒業制作に書いた中編小説『燻し銀の花』を一章ずつ更新 0~1章

👆 0章は、こちらから。 燻し銀の花 ――「揺るぎなき夢」の大切さ―― 1章 友との出逢い・夢との出会い  あの子との友人関係は思っていたよりも永く続いている。 今では一生の親友だ。それと同じで、アイツとの血縁関係もどちらかが死ぬまで切れることはないのだろうか。  歯を食いしばり目を血走らせて「謝り方が足りない」と叫んでいたアイツに愛などなかった。泣くまで理不尽な制裁を加えつづけるアイツはエゴイズムの塊だ。  人相の消えた獣の面で、愛情を微塵も感じないただの鞭で、幼

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🌸卒業制作に書いた最新作の中編小説『燻し銀の花』7つの読みどころを紹介

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🌸日芸の卒業制作で書いた小説『燻し銀の花』を一章ずつ更新! ❶ 0章