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【卒制】就活氷河期とのリアルな悪戦苦闘『燻し銀の花』0~5章の最後まで更新!

☝️0~5章の途中までは こちらから

🌸燻し銀の花 ――『揺るぎなき夢』の大切さ――
5章 三角形の紙・女王様ペンギン・就職活動の鬼門


☆完結編☆


 株式会社スプリットコンプリメンタリーの次に上手くいったのは、IT企業の株式会社双極だった。

 「親友の隆斗からプログラミングを学べば、入社前からプログラミングの基礎を習得できます」の一点張りで一次選考を通過した。つかみが相当良かったらしい。

 電話で「三次選考を免除するから二次選考に来ていただきたい」と呼ばれたボクは世間がコロナウイルスの流行で大騒ぎをしているなか、新宿にある本社に出向いたのだった。

 株式会社双極ではプログラマーの募集をしていた。

 正直、プログラミングの知識ゼロのボクが、ここまで歓迎されたことは最後のチャンスに違いなかった。

 コロナ騒動の最中だった。だけど、新宿の駅前は観光客や会社員で溢れ返っていた。

 黒い頭がジャングルの木々のように映った。駅方向と逆方向に動く黒い木々を掻き分けながら、うろ覚えの道を間違えずに進むのは至難の業だった。

 スマートフォンのナビ機能が通用しないから尚更だ。スマートフォンの画面に表示された地図に目を落としていると逆方向に流れるジャングルの熱帯樹に呑まれかけた。

 真っ白なマスクをつけた顔面が次々に押し寄せてくる光景はホラーだった。

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