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ワルシャワ滞在雑記2

いつも何も記録を残さないので今回の滞在では日記を書きたいと思っていた。だから雑記1と数字をつけて、せめて1週間に1度ほどは投稿を続けようとしていたのだがあっという間に1ヶ月以上が走り去り明日日本に出発である。
時間は有り余るほどあったのに、覚えていることだけメモして、また帰国後掘り下げたいものは都度書いていきたいと思う(フラグか)。

カメラロールの日付を頼りにいつ何をしていたのか辿れるのはありがたい。Googleマップのタイムライン機能とか。しかし最近は写真を撮ることも億劫になっていて、思い出せないけど大事な瞬間を過ごした、というのが無数にあるんだろうなと思いながら、この夏の滞在を振り返る。


6/19
初日。カメラロールを見返すと、イスタンブールの無料観光から庭で果物を収穫する義父の後ろ姿。スグリ、チェリー、ブルーベリー、そして猫の写真。義実家でとりあえずゆっくりビタミン補給をしていたらしい。

色づき始めたブルーベリー

6/20
夫と猫。床の板を剥がしコンクリートこんにちはな写真。義実家は夫の母方の義祖父が戦中戦後に文字通り自分で建てた家。玄関の柵には弾痕が残っている。さすがに色々なところにガタが来ていて数年前から業者に頼んだり自分たちで修繕を行なっている最中だ。床が数箇所沈んでしまっていたので、手作りの木材タイルを剥がしコンクリートのかさ増しを行う。

義父と義祖父がひとつずつ切り出した木造タイルの床

6/21
義母と夫とIKEAへ。女児向けモデルルームに謎日本語の本が飾られている。サメのぬいぐるみがタコに食われているディスプレイに喜ぶ義母と夫の姿。

侵略されとる

6/22
夏の醍醐味、庭でBBQ。義父の勇姿とおこぼれを貰いにきた猫たち。満足してそれぞれ思い思いの場所で寝る猫たち。夏らしい空。

付け合わせはそら豆とイチゴとフェタチーズのサラダ

6/23
バケツ2杯分取れたチェリー。コンポートにして飲んだ。庭の伸び切った植物の剪定。切った枝にじゃれつく猫。夜は夫の親友夫婦と実験音楽のライブへ。5組ほど演奏したが、1曲40分超え、ずっと電子ノイズ、みたいなのが2組ほどいて疲弊。トリのバンドがもう少しロック調だったので救われた。

観客は地べたにでかいクッション敷いて
ほぼ寝ながら聞くスタイル

6/24
庭に植える花を買いに行く。帰宅後昨日のコンポートで作ったキシェルというお菓子を義母が作ってくれた。片栗粉と果物ジュースを混ぜたとろみのあるもので、プリンやゼリーをドロドロにしたような食感。フルーチェに粉っぽいざらつきが残ったような、と言えば伝わるだろうか。初めて食べたのはインスタントだったせいかざらつきが好みではなかったのだが、今回義母が手作りしてくれたものはとても美味しかった。

もりもり
kisiel(キシェル)今回は夏なので冷やしたが
寒い季節なら葛湯みたいに温かいままでも

6/25
眼科に検診へ。昨年の夏、夫がこちらでレーシックを受けたのだが、あまりの快適さに私もぜひ受けるべきだと激推しされ、検査だけでもと冬に同じ病院へ連れて行かれた。海外でそんな無保険で、、と抵抗があったのだが、日本で受けたところで保険適応外だし私立病院といっても日本よりポーランドで受けた方がかなり安いぞという説得に負けた形だ。冬の検査の結果ではあいにく左目の形状がレーシック向きではないとのことでICLを薦められた。この夏に術前検診をして問題なければ滞在中に手術を決行という予定だった。その診察へ行き、無事にというかなんというか、7月に手術を受けることが決定してしまった。帰宅後はテラスで猫とみんなでだらけてる。人間用の椅子を強奪した猫に落ちる木漏れ日が美しい。

義母が追いやられた椅子

6/26
旦那親友が遊びにきて近所を散歩。旦那親友は現在デンマークに住んでいるのだがグアテマラ人の妻とそろそろポーランドへ本帰国するため、親から譲り受けたアパートの改装で行ったり来たりな生活である。業者が適当すぎて一向に進まず難儀している愚痴を聞いたり、近所のソファ張り替え業者に一緒に行ったり、公園でだべったりした。

6/27
庭のりんご収穫。コンテナに溢れんばかりに積み上がったがまだまだ枝には実がついている。数日後にまた2次3次収穫が必要だなと切り上げた。曲がりなりにも首都の一軒家にこんなに果樹が植えられているのは普通なのかと尋ねたら、まあ、義父は田舎出身だからね、あと義母の父(この家を建てた人物)は今は抜いてしまったが以前は裏庭から家の前の通りまでチェリーの並木を作っていたよと返された。今までの滞在でりんごを収穫した覚えがなかったのだが、今年の豊作ぶりは異常らしい。最終的にはお隣さんや友人に分けても使いきれない量になり、コンポートやジャム、パンケーキなどにして消費した。この日の夕食はトマトスープに米、りんごのプラツキ(パンケーキ)という組み合わせになった。
夕食後は夫の友人のお兄さんがやっているロックバンドのライブに誘われた。バンド名は「かつての金髪たち」。はて、と思いステージを見ると全員綺麗な禿頭で、センスに脱帽した。演奏もよく楽しめた。

小ぶりでみずみずしいというよりもぱふぱふした食感
Zupa pomidorowa(トマトスープ、米にかける)と
Placki z jabłkami(刻んだりんごを入れたほのかな甘みのパンケーキ)
みなかつては美しいブロンドを誇っていたのだ

6/28
義母には行きつけのエステサロンがある。40年来だかの付き合いで、オーナーは40代にしか見えない70代の魔女だ。義母も70代とは思えない肌をしている。私の実母は美容には無頓着だったので、私もサロンという場所は自分には関係のないものだと思っていた。だが初めてワルシャワを訪れた時から頼んでもないのに毎回一緒に連れていかれ肌をピカピカにされる。今回は春先から深刻な肌荒れに悩んでいたので願ったり叶ったりだったが、毎回このオーナーの時を止めた外見には驚愕するばかりである。顔もそうだけど美脚も凄まじい。70代が足を惜しげもなく出したスカートを履きこなしているという時点で押して知るべし容貌なのだ。

6/29
義母と夫と3人でワルシャワ大劇場へポーランド国立バレエ団によるドン・キホーテを観劇しに行った。このバレエ団には4名の日本人が在籍しており、内2名はそれぞれプリンシパル、ファーストソリストである。圧巻の舞いに惜しみない拍手が送られていた。会場はほぼ満席、夏休みなのでカジュアルな服装の家族連れも多い。義母はドレスアップした人々を見るのが華やかで好きらしいのだが、近年増えているラフな格好の観客たちに少しだけ残念そうにしていた。カジュアルに来れるだけ劇場文化が盛んなのも好ましいし、少しだけ着飾って出かける文化も素敵だと思う。
ワルシャワの多くの場所と同様、この劇場は1939年ドイツ軍による爆撃でファサードを残し大部分が破壊され、44年のワルシャワ蜂起中には民間人が多数射殺された場所でもある。再建は65年になされ、オリジナルの新古典主義のスタイルを尊重しつつ、内部には近代的な設備などが導入された。ホール天井の月面のような意匠が毎度印象的だなあと思いながら、幕が上がるまで眺めている。

蓮コラ苦手な人には厳しそうなホール天井

6/30
写真はないがGoogleマップのタイムラインによると夜に旧市街を彷徨いている。なんだっけ、あれか、小さなサーカスやショーをいくつかやるイベントに出かけた気がする。韓国の伝統民族舞踊とドイツのサーカスを見た。思い出した。夏休みになるとこうした文化的な催しが街の至る所で無料で開かれる。いいなーとしみじみ思う。

ストリートアートフェスと題された催しの案内
韓国伝統舞踏団、山をなす観客


とりあえず今回は6月中の出来事を振り返った。帰国後に7月8月の振り返りが、できたら、いいな。
なんとなく、6月はひたすら果物の収穫とリンゴの皮剥きをしていた印象で、7月8月は戦争に関連する博物館をいつも以上に多く巡り沈んだ気持ちでいたような印象だ。

また写真を交えて雑感を書きつけられたらと思う。

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