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【詩】もう一度

見知らぬ街を歩く夕暮れの時
遠くで聞こえる祈りのような詠唱の声
祭典へ行く人々とは反対方向へ
僕は混ざり合えず彷徨う異邦人

薄闇の中 道に立つ老人に
向けられる炯々と光る鋭い眼差しと
全てを見通したかのような意味あり気な笑み
耐えらずによろめく足で走り出す


日の落ちた空に浮かぶ街の灯り
背にして一人進むのは荒野のでこぼこ道
闇の中解け込んで行こうとする僕に向かい
なぶるように風が大きく吹きつける

舞い上がる砂埃 視界を塞ぎ
責め立てるように容赦なく襲いかかって来る
巻き込まれ翻弄されて歩みを止めた僕は
咳込んで目の痛みに涙を流す


そんなに責められないといけないのか
途中で手放した上に逃げ出して来たことを
背負う重さが苦しくて耐えられなかったんだ
応えられない期待につぶされそうで


寝転んで見上げる夜空に煌めき
大きく線を引いて流れる星にハッとする
それはウィンクのよう 瞬きは囁きのよう
微笑み声をかけてくれた人達の

一人で抱え込むのは悪い癖だ
誰にも助けを求めないままでいた僕には
手段は残っているはず まだ終了じゃないね
立ち上がって行こう 明けない夜はない





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