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小説のセルフ出版は売れない?

昨日、八幡さんの記事を読みました。

2012年からAmazon Kindleでセルフ出版を開始したけど、十年経っても「売れなかった」という内容でした。
僕も商業デビューするまでKindleでセルフ出版をしていました。僕が初めての著作「しろいくまとくろいくま」を出版したのが2013年なので、八幡さんの少し後ですね。

いくら売れたら、「売れた」ことになるのかわかりませんが、ランキングの上位に長くいたら「売れた」と定義しても良いんじゃんないですかね。
自慢するわけではないのですが(そう書いても、自慢話と取られちゃいそうで怖いのですが)、一般小説のKindle作家(商業出版しておらずKindleで主に出版している作家のこと)の中で、僕はもっとも「売れた」方だと思います(多分)。
他の人の売り上げが見られないので、冊数やランキング、レビュー数から、あくまで推測するしかありませんが、僕は25冊を出版していて、レビュー数は全作品合計で1000を超えています。僕が知っている限り、同じぐらいレビュー数をもらっている人はなかなかいません(ゼロではありませんし、僕が知らないだけで、たくさんいたらすいません)。
これは、一般小説の中の話で、ラノベの世界ではもっと売れた人が何人もいます。

先へ進まないので、「売れた」ことにして話を進めさせてください。決して自慢話をしたいわけではないので、ご安心を。
最初から「売れていた」わけではありません。以前からそこそこ売れた状態でしたが、大きくはねたのは「ふたりの余命」からでした。
ふたりの余命」が評判になり、他の著作も読んでもらえるようになりました。
ふたりの余命」は、書き終わった瞬間に「すごい作品ができた」と思えた作品で、たくさんの人に読まれたときは、自信を持てる作品なら、多くの人にも伝わり、読んでもらえるんだと実感したものです。
もちろん、読んでもらえるかどうかは運もあります。どんな名作でも、人の目に触れなければ読まれることはありません。Amazon KIndleのSEOを十全に理解して活用している人はほとんどいないと思います。どうしたら、自著が多く表示されるかは僕にも分かりません。

でもひとつだけ有効な方法があります。それは多くの著作を出版することです。
たくさん出版すれば、それだけ検索にヒットする確率は上がりますし、少しずつ固定のファンができてきます。著者名を知ってもらえれば、著者専用ページである著者セントラルでフォロワーになってくれるかもしれません。フォロワーさんには新作が出版されるとお知らせが届きます。
そうして読んでもらえる素地ができたところに、優れた作品を出版すれば、ヒットする可能性は高まります。

僕の場合は、多くの小説を出版して少しずつ読者が増えたところに、「ふたりの余命」を出して、多くの方にレビューをつけていただいた結果、他の著作も読まれるようになりました。

「売れた」といっても、売上はずっと安定しているわけではありません。ヒット作が出れば、まあまあの売上になりますが、徐々に落ちていきますので、売れ続けたかったら、ずっとヒット作を出し続けないといきません。
Kindleの売り上げだけでずっと食べていくには、コンスタントにヒット作を書き続けないといけません。なかなか難しいことです。

ヒット作を出し続けないと食えないのは、商業出版でも同じですが、商業出版の場合は、初版が刊行されれば印税が入ります。Kindle本は読まれなければ、一円にもなりませんので、見通しをつけるのが難しいです。
八幡さんが仰るように、Kindleだけで売れ続けるのはとても難しいのが現状だと思います。あとは、どこまで「売れたい」かによるかと思います。

僕は「売れたい」というより、多くの人に小説を読んでもらいたい気持ちが強いです。自分が書いた小説で、ひとりでも多くの方が楽しんでくれることが、なによりの報酬だと思っています。お金を稼ぎたいなら、小説を書かずにもっと他の仕事をした方が効率が良いですよ。

7月18日にポプラ社より刊行される「夏のピルグリム」は、「ふたりの余命」と書き終えたときと同じぐらい「すごい作品ができた」と実感できる作品です。
心に傷を負った中学生の夏子が、ひと夏の巡礼の旅を通して、さまざまな人に出会い、成長していく物語です。
多くの人に喜んでいただける作品だと自負しています。
もしよろしければ、お手に取ってみてくださいませ。

著者初の単行本形式の小説「夏のピルグリム」がポプラ社より発売中です。「ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作です。よろしかったら書店で手に取ってみてください。善い物語です!





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