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僕に家ができた|ザ・ピーナッツバター・ファルコン|Review

『The Peanut Butter Falcon ザ・ピーナッツバター・ファルコン』
タイラー・ニルソンとマイケル・シュワルツ監督・脚本、2019年製作
レビュー2022.08.02/映画★★★★★

いい映画だった。エンドロールを流れる曲を最後まで聴いていたいと思える映画だった。

ダコタ・ジョンソン Dakota Johnson ――きれいな女優さんだ。初見でそう思った。ググると、メラニー・グリフィスの娘らしい。母の面影を感じるほど母のほうの記憶が定かでないが、いい育ちであろうにもかかわらず嫌味のない笑顔をしている。

役中の彼女は、主人公たちの行動に同調して旅に連れ添うのが現実的ではないね、ってコメントがあったけど、彼女なりに現実に幻滅していたから、しばし逃避行してみたかったんだと思うよ。キスシーンはいらないけどね。

シャイア・ラブーフ Shia Saide LaBeouf ――「トランスフォーマー」シリーズの主演男優。少年時代は「アイ・ロボット」でいい演技をしていた記憶がある。頼りなさを少し感じさせる成長途上の役柄のイメージだったが、本作では見た目も含め、クレジットをみるまでタイラーが彼だと気づかないほど大人の男になっていた。

自分の痛手をさらしだしてザックと包容する友情シーンがよかった。それまでは虚勢を張ったりザックを見下したりする部分を残していたが、完全に対等になった瞬間だった。信頼感ってこういうことだよね。相手がダウン症だろうがなんだろうが、その瞬間はふたつの個だった。

ザック・ゴッサーゲン Zack Gottsagen ――どうやらデビュー作のようだ。役柄にピッタリの彼の体型がいい。薄汚れて伸び切ったブリーフ一枚で街を走る姿がソーキュートだ。

悪役プロレスラーに憧れるのは、納得のいかない日常の破壊願望からだと類推できる。にもかかわらず、タイラーに”おまえはグッドガイだ”と何度も言われたあとのまっさらの余韻が心にしみる。俗な気兼ねをいっさいしなくていい、こんな役柄のような友だちが欲しいな。

最後にレスラーを投げ飛ばすのは、ザックの怪力はフェイクじゃないぜと視聴者のミスリードを正す意味合いなのだと解釈した。

それにしても米国のロードムービーにはカントリーがよく似合う。エンディング曲は女性ボーカルのハモリ具合が絶妙だった。「Running For So Long (House A Home)」という曲らしい。サントラがほしくなったよ。

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