ー拾肆話ー お別れ会
ー2024年4月16日ー
なっちゃんのお別れ会の日がやってきた。
俺はなっちゃんにお供えする金平糖と水を用意し、麗奈さんとボイスチャットを繋いだ。
俺「こんばんわ〜。麗奈さん、お久しぶりです。」
麗奈「久しぶり〜!神城さん、なっちゃん。」
俺「まずは…何と言うか先に伝えておきたい事がありまして…」
俺「改めて、お礼を言わせて下さい。」
俺「なっちゃん、麗奈さん」
俺「今回の件に関しては本当にありがとうございました。」
麗奈「いえいえ〜。全然大丈夫だよ。」
麗奈「とりあえず、みんな無事で本当に良かったよ。」
俺「なっちゃん〜!金平糖食べていいよ。
神社に帰ったらしばらく食べれないだろうから、いっぱい食べてな〜!」
麗奈「ふふ、なっちゃん一粒ずつしっかり食べてる。嬉しそう。」
いつも何気なくなっちゃんとはご飯を一緒に食べていたが
霊が食べ物を食べると、その食べ物はどうなるんだ...?
ふと疑問に思った。
後々聞いた事だが、霊が食べ物を食べても減ったり形が変わったり等はしないが
霊自身、”実際に食べている”らしい。
例えでいうと”食べ物の分身”を霊が食べているイメージなんだとか。
俺「そういえばなっちゃんって好きな音楽とかあるの?」
俺「今のうちだよ!神社に帰ったらしばらく好きな音楽とか聞けないだろうから、動画から流してあげるよ〜」
なっちゃん「チューリップの花とか、ん〜と、シャボン玉の歌とか好き!」
麗奈さんが通訳する
麗奈「チューリップの歌とかシャボン玉の歌が好きなんだって!」
俺「了解です!好きな曲可愛いなぁw」
久しく訪れる癒しの時間
俺はなっちゃんと麗奈さんといっぱい話した。
本当に楽しかった。今でもそう思う。
──そして麗奈さんは
俺にあの日の事を質問する
麗奈「そういえば、あの後お婆ちゃんの霊ってどうなったの?」
俺「除霊師さんが言うには、老婆の魂は仏の元へ送り届けたと言ってました。」
麗奈「仏の元へ?じゃあしっかり成仏できたんだね。」
俺「はい...ですが周りにいた”怪異”と呼ばれる怪物達は消滅させたそうです。」
麗奈「お婆ちゃんはともかくとして、そいつらは多分剥がす事だけしても他でまた同じ悪さするだろうし」
麗奈「除霊師さん、いい判断だったと思う。」
俺「そうですね…」
俺「そういえば、麗奈さんの”その力”って生まれつきなんですか?」
麗奈「そうだよ。私は生まれつき。」
麗奈「私の地元に”師匠”がいるんだけど、その人に色々教えてもらいながら自己流でやってる感じだね。」
俺「麗奈さんに師匠!?」
麗奈「そうだよ。しかもその師匠はめちゃくちゃ凄い人。」
麗奈「今回の神城さんの件も、実は師匠に相談しようか迷ってたんだよ。」
麗奈「けど多分師匠は、
”その件からは手を引け”って不動明王様と同じ事言ってくるだろうって私が感じたから、言えなかったの。」
そうだったのか...
この人は、そこまで考えてくれていたのか...
なっちゃん「私、神城さん達の事ちゃんと守れたかな。神社に帰って神様に怒られたらどうしよう...」
麗奈さんが通訳する
麗奈「なっちゃんが、神城さん達の事ちゃんと守れたかな?神様に怒られたらどうしよう...って心配してるよ。」
俺「めちゃくちゃ守ってもらえたよ。」
俺「俺や麗奈さん、母親にも傷一つ無かった訳だし!」
俺「神様にも、なっちゃんはボロボロになっても頑張って守ってくれましたって事、ちゃんと伝えとくから!」
なっちゃんはそれを聞いて安心していたという。
なんて優しい子なんだろう。
麗奈「まぁでも、なっちゃんがこれだけ
ボロボロだから、流石に神様も見ただけで分かると思うけどね...笑」
俺「それでも、自分はしっかり伝えさせてもらいますよ!」
なっちゃん「お兄ちゃん好きー!!」
麗奈「あっ!なっちゃんが神城さんの足に抱きついてるよww」
俺「可愛いかよ!よしよしよし〜」
───こうしてあっという間に時間が経ち
麗奈さんとの別れの時間が訪れる。
麗奈「じゃあ私、そろそろ寝るね」
麗奈「なっちゃんまたね〜!」
麗奈「神城さん、なっちゃんの事よろしくね。」
俺「了解です。任せてください!」
俺「麗奈さん、おやすみなさい。」
俺はこの日、ぐっすりと寝れた。
──そして、お礼参りの日まで時間が流れる。