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ー拾伍話ー お礼参り


ー2024年4月23日ー



なっちゃんを連れて、お礼参りをする日を迎えた。






俺「なっちゃん、今日でお別れだね〜。」

俺「なっちゃん、神社に戻ったらまたこれから色んな人助けていくんだろうけど、俺の事ずっと覚えてくれてたら嬉しいな。」



俺「別れるのちょっと寂しいけど、俺が寿命迎えたら、その時はまた一緒に話そう。」

俺「またいつでも俺の家に遊びにおいで。また麗奈さんとも三人で話そう。」




俺はなっちゃんに話しかける。
返事は俺には聞こえないが
なっちゃんは快く返事をしてくれているだろう。そう思った。




俺は準備を終え、家を出た。
新幹線の乗り継ぎでも片道5時間はかかる。




俺「なっちゃん、俺からはぐれないようにね。」





向かっている途中、俺はなっちゃんに時折声をかけていた。




そして電車から新幹線に乗り換え、朱天神社がある地域まで向かう。





俺「何日か前に朱天神社付近の天気予報見た時は、晴れのち曇りだったから、多分曇りだろうなぁ」

俺「まぁ雨が降ってなければ何でもいいかw」






新幹線と電車を乗り継ぎ終わった後
俺はタクシーに乗り換える。
ここからはタクシーで朱天神社まで向かう。







俺はタクシーの運転手と軽く雑談をしながら朱天神社に向かっていた。






そこで、‪”‬不思議な出来事‪”‬が起こっていた事が分かった。






運転手「お客さん、朱天神社行かれるんですね〜」


俺「はい。そうなんですよ。」



運転手「いや〜やっぱ道混んでるなぁ」

運転手「なんせ今日から朱天神社の‪”‬春祭り‪”‬ってイベントがやってますからね。」



俺「…え!?今日からですか!?」




運転手「そうですよ。いつも、去年おととしは五月から‪”‬春祭り‪”‬を開催していたんですが、今年はどうも早くからイベントを始めたみたいで。」






今日から朱天神社でイベント...?
知らなかった。俺は今回、イベントの開催日を狙って来た訳じゃない。
たまたま仕事の都合で今日が一番都合が良かったから来れただけだ。

今月は、今日以外の日はとても来れなかっただろう。






俺は驚きを隠せなかった…
偶然にも程がある。






──そしてタクシーが駐車場で止まり
ついに朱天神社に到着した。



タクシーから降りて周りを見た時、俺は感動を覚えた。





鮮やかに広がる花々と神々しい景色。
そして何より、気持ちいいくらいの‪”‬快晴‪”‬だった。






時刻は昼頃。天気予報では‪”‬曇りのはず‪”‬だったが…


朱天神社には
太陽の光を浴びた暖かく心地の良いそよ風が吹いていた。






俺「もしかしたら神様が俺となっちゃんの事を歓迎してくれてるのかな...」






俺は鮮やかな花々を見回った後、階段を登って‪”‬本殿‪”‬へ向かった。




本殿周りは、大勢の人達が参拝していた。
参拝し終えた人が階段を降りて行ったら
また大勢人が入り込んでくるようなイメージだ。




拝殿前で並ぶ事数分が経ち、俺の順番がまわってきた。





俺は拝殿前に手を合わせた。

俺(神様、お久しぶりです。
神様や神社の使いの方々、そしてなっちゃんのお陰で自分の周りの人間が誰一人傷つく事無く
無事お祓いまで終えることができました。


…なっちゃんは、自分がボロボロになっても必死になって自分達を守ってくれました。
麗奈さんよりお話は伺っております。
自分達家族を救って下さり、本当にありがとうございました。)


なっちゃんとの約束通りに伝えた。






そして俺は、なっちゃんに声をかけた。


俺「なっちゃん、しばらく会えなくなるだろうし、一緒に写真を撮ろう。」






俺は最後になっちゃんと写真を撮ることにした。
姿は見えないが、一緒に映ってくれるだけでも嬉しいと思ったからだ。



なっちゃんは俺にとって、初めてできた
頼もしい妹のような存在だった。
だから俺も少し寂しかった…






俺は近くにいた神主さんに声をかけた。




俺「すいません、記念撮影したいので、三枚くらい撮って頂けませんか?」



神主「はい。いいですよ」




俺は神主さんに自分のスマホを渡した。











その時だ。











拝殿前にいたたくさんの参拝者の流れが止まり
拝殿前に一人も居なくなったのだ。



これには流石に驚いた...






神主さん「はい。撮りますよ〜」
神主さん「はい、チーズ」






俺は三枚写真を撮ってもらった。
写真を確認したが、やはり俺の背景には参拝者が誰一人としていない。
俺の背景にあるのは本殿のみだ。

偶然かもしれないが、この日は本当に不思議な事が連続で起こった。






俺「神主さん、撮影ありがとうございました。」

俺は神主さんにお礼を伝えた。






俺「なっちゃん、元気でね。また来るよ。」




鳥居をくぐる前にそう伝え
俺は朱天神社を後にした。











──片道5時間をかけ、俺はようやく家に到着した。



俺は麗奈さんに
今日朱天神社で神主さんに撮ってもらった写真を送り
今日起きた不思議な出来事全てを話した。






麗奈「…..朱天神社の神様、神城さん達の事歓迎してくれてたみたいだね。」

麗奈「なっちゃん、神城さんの隣でピースしてる。可愛い。」



麗奈「..…でもなっちゃん少し寂しそう。」

麗奈「神城さんと別れるの寂しくて涙こらえてるけど、無理して笑顔つくってる感じだよ。」






俺は嬉しかった…






俺「そうだったんだ...」

俺「なっちゃんも寂しがってくれてたんだ...」






麗奈「あとこの写真、朱天神社の‪”‬神様‪”‬が本殿の真ん中に座ってて」

麗奈「神城さんの両サイドに、なっちゃん以外の‪”‬神の使いの子達‪”‬が皆で並んでお辞儀してるよ。」


麗奈「なっちゃんおかえりなさい。成長したね。お疲れ様。って。」




俺「そっか...」

俺「なっちゃん、俺達を守る事が初任務だったんだよなぁ。」




麗奈「そうだね。なっちゃんもゆっくり休めると思うよ。」

麗奈「神城さんと関われて良かったよ。」




俺「いえ、それはこちらの台詞です。本当に色々とありがとうございました…」






───こうして、俺の三ヶ月間に及ぶ不思議で奇妙な体験が幕を下りた───











俺はこの三ヶ月間、不思議で奇妙な体験を
いくつも経験した。
俺はこれらの出来事が本当かどうか、提出できる証拠も無ければ証明もできない。


死後の世界や神様、霊の存在を証明して欲しい
と言われても
現代の科学でも追いつけていない分野なので
俺には証明なんてものは出来ない。


だが俺が幼少期に視てきたものや
この三ヶ月間の体験は

‪”‬俺の中‪”‬では全て現実に起こった事であり
‪”‬俺の中‪”‬では幽霊も神様も存在していた。



神様を信じろとか、神様を信じれば如何なる人も必ず救われるとかそうゆう事を言いたいんじゃない。



俺達が…
なっちゃんという‪”‬神の使いの子‪”‬に救われた。
神様達に救われた。
この出来事は俺の中では紛れもない事実である。



そして、この出来事を多くの人に伝えていかなければならない。
‪”‬こうゆう事‪‪”‬が実際に現実に起こるのだということを。
そう思ったから、俺はこの奇妙で不思議な体験を多くの人達に共有していきたいと思った。






‪”‬彼ら‪”‬(霊)は人なのだ。

生きている俺達と同じように
他人に悪い事をして自分だけ得をしようとする輩もいれば
生前に世の中の理不尽さに巻き込まれ、世の中を憎み、他人にその怒りをぶつけようとする人もいれば
孤独に苛まれ苦しんでいる人達もいる。
他人の幸せを願い、助けようとする人もいる。






科学やネット社会が進歩していく反面、放置されている霊園や廃神社も数を増やしていると聞く。
神や仏の話は今後、多くの人達に忘れ去られていくかもしれない。
俺がこの物語を語った所でこの流れを止められないのかもしれない。




幽霊を視たことのない人にこの話をした所で、理解してもらえない人の方が多いのかもしれない。




だが俺は
人類が電話機を発明したように
人類が空を飛んだように
人類が地球が丸いという事を証明したように


このスピリチュアルの世界をいずれ科学でも証明され

死後、意識と魂だけが残り苦しんでいる‪人達や
一般人からは理解されず、苦しんでいる霊能者達が救われる未来がやって来る事を俺は信じている。



───そして俺は忘れてはいけない。
強大な怪物に勇敢にも立ち向かった一人の少女の事を。






終わり。


ー最後にー⇒

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