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ー拾話ー 拒否

──過去の真実を知ってから二日後──



ー2024年3月31日ー



3月の後半、月末になった。
4月中旬まではあと二週間程。




俺は幼い頃、アパートに住んでいた時に感じていた‪”‬髪の長い女性の気配‪”‬の事を思い出し、麗奈さんに聞いてみることにした。

麗奈さんの霊視では、‪実際にその女性の霊‪は
‪”‬間違いなくそのアパートにいた‪”‬‪という。
だが、母親に憑いているお婆さんの力が強くなり過ぎて
その‪”‬髪の長い女性‪”‬は逃げていってしまったとの事。



そして、見知らぬお婆さんが
‪俺と目が合った時
‪”‬‬驚いた顔をしてすぐに消えた‪”‬のは、

お婆さんが‪「しまった。‪”‬‬自分の存在‪”‬をこいつらに気づかれてはいけない‪。隠れなければ。」‬と思い、身を隠したのだという。






俺の幼い頃に感じていたものは気のせいでは無かったのか...
俺はこれまで全て気のせいだと思って生きてきた…











俺は以前に参加した「霊能コミュニティ」の
参加メンバーで、霊祓いを生業とした
‪”‬除霊師‪”‬をしていると言う男性に
今回の俺の母親の件について話をし、相談に乗ってもらった。



・自分の母親に悪霊が憑いていること。
・原因不明の病や脳梗塞、心臓の手術までして長年病に悩まされていたこと。
・自分の知り合い(麗奈さん)に4月の中旬にお祓いをお願いする事



全てを話した。



そして、その事を話すとその除霊師さんからお祓いの事に関して色々と教えてもらった。

‪”‬お祓い‪”‬とは、医者で言う所のいわゆる外科みたいなもので
霊的なものは取り除けるが、
それが原因でかかってしまった病が完治する訳ではないという。
その分野に関しては医者に頼るしかないと、そう言われた。






除霊師「…ですが神城さんのお母様に取り憑いている霊は恐らくかなり力をお持ちですね…」

除霊師「まぁ除霊であれば私も依頼さえして下されば可能なので、お困りの事があればいつでもご相談下さい。」






除霊屋さんは丁寧に返してくれた。






俺「色々とご丁寧に教えて頂き、ありがとうございます。

俺「また困った時、相談させて頂きます。」











麗奈さんのお祓いが終われば、母親の病もある程度は解決するだろう。
立て続けにかかっていた新しい病気にかかる可能性は低くなる。
あと少しで母親は救われる。
そう思っていた。











そんな矢先、麗奈さんからあるメッセージが届いた…










ー2024年4月1日ー



麗奈さんからとあるメッセージが届く。



麗奈「神城さん。ごめんなさい…..」

麗奈「今回の件に関しては‪、私が‪”‬祓えないレベル‪”‬にまで達してしまっていて…」

麗奈「不動明王様からこの件に関しては
‪”‬手を引け‪”‬って言われちゃった…..」

麗奈「何もできなくてごめんなさい。」









え...?











嘘だろ.….?
こんな凄い人が祓えないレベルなのか…..?
不動明王様から手を引けと言われた?




…..不動明王様と言えば
五大明王の中でも最強と位置付けられる神様として有名だということを聞いた事がある…



そんな強い神様すらも手を出せない、そんなレベルって事なのか?
話が飛びすぎてて分からない。






俺「まじか…...」

俺「ちなみに母親に憑いてる悪霊って
麗奈さんのレベル感的にどれくらいのレベルなんですか…..?」




麗奈「私の中のレベル感で言うと
霊のレベルが1〜100レベルまであったとして、
普通の浮遊霊が1〜5レベル
悪霊が大体15レベル〜くらいのレベル感で
この間祓った"友人さんの家にいた悪霊"は
15レベルくらい。」


麗奈「それで、私が祓えるのは50レベルあたりまでなんだけどね」

麗奈「神城さんのお母さんに憑いてるお婆さんの霊が私の中では80レベル以上はある」











…..は?











80レベル以上.....?

生きている人を
交通事故に合わせたり病気にさせたりする程の力をもった悪霊が15レベル.....!?












俺はこれからどうすればいい…?
どうすれば母親は救われる…?











麗奈「強いなんてレベルの話じゃないよ。
悪霊なんて次元を超えてる。」


麗奈「レベルが高いという事は、
それだけ‪”‬精神を縛って操る力‪”‬や、‪”‬物理的な干渉をする力‪”‬が強いってこと。」

麗奈「でも向こう(悪霊)も、」
麗奈「悪霊の‪”‬存在‪”‬に気づいて私達が何とか祓う方向で色々動いてるから…
それに気づいて暴れてるのが視える。
神城さんのお母さん、かなり危険な状態…」

麗奈「こんなレベルの奴が暴れまくったら何が起こるかなんて分からない!」


麗奈「別でお祓いするにしても、出来れば
‪”‬一週間以内‪”‬に何とかした方がいい。」






一週間以内...?




俺はそれを聞いて焦り、ネットや動画サイトを含め
有名な霊媒師を急いで探してみることにした。



だが、有名な人である程人気である事は間違いない。
人気であるという事は、その分予約も埋まっているという事だ。
有名な霊媒師の予約を取ろうと試みたが、とても今から一週間以内に来てくれるとは思えない。



地元で有力な霊媒師も探してはみたが、詐欺の可能性もある。
迂闊には手を出せない上に、もし繋がれたとしても一週間以内に来てくれるとも考えにくい。



そしてもし霊媒師と繋がれたとしても、
‪”‬麗奈さん程の実力を持った霊能者‪”‬が祓えないレベルの悪霊を祓える霊能者とも限らない...






麗奈「そういえば神城さんってこの前、
霊能関係のコミュニティに入ったって言ってたよね?」

麗奈「そこに除霊師さんいるんじゃなかった?」

麗奈「その人に聞いてみた方がいいかも。」






…確かにそうだ。あの人がいた!
最近、俺の母親に憑いている悪霊の件に関して少し相談に乗ってもらった事もある。
あの除霊師さんにお願いすれば話も早い。






...だが、俺にとってはその除霊師さんが本物であるかどうか信憑性が低い。

霊能コミュニティの中では、お祓いに関してはコミュニティのメンバーからもかなり信頼されているようだったが...
‪”‬集団詐欺‪”‬の可能性もある。






俺は…麗奈さんに頼るしか無かった






俺「麗奈さん、その除霊師さん本物かどうか自分、分からないので…
もし良ければその除霊師さんが本当に力がある人かどうか視て頂けませんか?」


麗奈「うん。いいよ。」





麗奈さんは快く返事をしてくれた。






そして






麗奈「神城さん、この人なら絶対大丈夫。絶対に祓える。」

麗奈「私の事を信じて。」




俺には…この人しか信用できる人がいない。
この人が‪”‬絶対大丈夫だ‪”‬というのであれば信じるしかない。
母親に‪”‬何かが‪”‬あってからでは遅い…




それに何より...時間もない。




俺は霊能コミュニティで知り合った除霊師さんに依頼をする事を決意した。



⇒(次話)ー拾壱話ー   恐怖

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