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砂漠の雪。

医者は私に言った。「僕のこといくつだと思ってるんですか?」「そうですね・・・40後半でしょうか?」「僕は50ですよ。」医者は私が診察室に入って突然言い出した。正直驚いた。でも嬉しかった。先生もやはり同じ気持ちだったんだと。いや、先生の方が好きでいてくれたんだと。
私達の付き合いは長い。私が19歳の時に父の胃癌がわかり先生が執刀医だった。その時からの付き合いになる。先生はその後開業医になった。私も若くから胃腸が弱く先生の病院に通った。また父も胃癌からかかりつけの病院として先生にお世話になっていた。父は何度も入退院を繰り返し、その度に私は先生に告知を受けていた。最後もまた胃癌になり先生が見つけて下さった。そして父のお葬式にも来て下さった。
現在はもう先生の病院には行ってない。先生とは約25年のお付き合いだった。凄く真面目でとても頭の良い人。先生は何故あんな事言ったのか、よく考える。でもあれは告白ですね。あの時「それでも構いません。」って言ってれば何か今頃変わってるかな?
この話は誰にも話した事ない話です。
雫月。

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