掛り付け薬局

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現代の呪いについて

今回はSNSの普及により人間関係が広く浅くなった現代に広がる新しい形の呪いについて私の考えを共有していきます。 ・本格的な儀式を伴わずともの人の心を傷つければ呪いです。 例えば、明らかにおどろおどろしい藁人形に自身の名前が書かれており 5寸釘の刺さったものが自宅のポストに入っていたとします。 そのポストの持ち主はどのような気持ちになるでしょうか。 少なからず嬉しいや楽しいといった気持にはならず、怖いや辛いといったマイナスの気持ちになるはずです。 さらに言えばそこから近隣住人

    • 体験談A⑤

      夜、彼から時間をとれるか連絡がきた。 わざわざそんな確認をしてくるのが珍しいので身構えたが彼の事だから大した用事ではないだろう。 そんなことよりも昨夜の事だ。 二日連続で会社の先輩に泊まりに来てもらったので少しは心細さも紛れたが ここ最近自分の身に起こっていることを改めて考えると気持ちが悪すぎる。 ましてもう何年も隣の部屋に住んでいる男が何らかの方法で私を監視しているなんて… 先輩と対策方法を考えてはみたが相手がどうやって私の前に現れているのか分からないうえ、私と先輩では

      • 体験談A④

        件の海辺のレストランに到着して早速二人でテラス席に案内してもらった。 ランチメニューを適当に頼み、海を眺める。 「どの辺に見えたの?」 私は聞いた。 「あの辺です。」 彼女は岸から20メートルほどはなれ離れたところにある岩の隣あたりを指さした。 私には何も見えなかった。 「明日は彼氏仕事休み?」 「明日も仕事なんです。」 「じゃあ今日も泊っていいね?」 「もちろんです。 というか昨日の今日で怖いんでぜひ泊ってください。」 その後は料理に舌鼓を打ちながら談笑していた。 視

        • 体験談A③

          「さっきの男の人しょっちゅう夜にゴミ出ししてるんですよぉ」 そんな話をしながら彼女の部屋の中に入る。 「ふぅん、うるさくしたら怒られるかな」 「大丈夫だと思いますよ、もう何年も住んでますけどこの部屋角部屋ですし 今まで苦情とか来たことないんで」 確かに過去何度も彼女の家で騒いだことがあるが今まで苦情が来ていないのならば大丈夫なのだろう。 帰って早々彼女はシャワーを浴びたいというので家主に順番を譲った。 その間私は缶チューハイとおつまみを机に並べながらあたりを見回す。

          赤い女

          最初の記憶は階段を見上げた景色だった。 幼少期の私は階段下の短い廊下が涼しくて好きだったからだ。 エアコンの無い我家では冬以外はその廊下が何より居心地の良い場所だった。 そしてもう一つ大事な理由がある。 問題になっているのは階段の上にあるスペース。 小さな窓があるそこは所謂踊り場とでも言おうか、何にせよその空間は異様だった。 窓の向こう側は隣接した隣の家の壁が25センチ程離れた場所に建っているはずなのだが。 どうしても私にはそのすりガラスの向こう側に赤い服を着たロングヘアの

          短編 冬の蜜蜂

          その日ベランダでタバコを吸っていると足元に小さな生き物が降ってきた。 蜜蜂だ。 11月も終わりに差し掛かる頃、 今年はえらく寒くなるのが早かったので 蜜を集める途中寒さに耐えきれず飛ぶことができなくなったのだろう。 可哀想に そう思いながら私は手元のスマホで蜜蜂の飼い方を調べた。 調べども調べども個人で行う養蜂ついての記事ばかりだ 私が知りたいのはそんなことではない。 私が知りたかったのはたった一匹のミツバチを救う方法だった。 数十分に及ぶ検索も虚しく もしこのミ

          短編 冬の蜜蜂

          体験談A②

          運よく今日は週末である為、元々身軽な私はほろ酔い気分で彼女の家へと向かった。 なんとなく肌寒くなってきた9月、時々泊ることのある彼女の家には私専用の毛布がある。 帰りしなコンビニで酒とつまみを買い最近の楽しかったことに触れてみた、 今から待っているのが誰もいない彼女の自宅ではなく例の男の後ろ姿を眺める夜になるかもしれないからだ。 彼女の話と言えばもっぱら仲の良い彼氏との痴話か酒での失敗談だった。 分かっていたことだが私含め碌な女ではない。 近所迷惑な甲高い笑い声を響かせな

          体験談A①

          この物語はフィクションです。 職場の後輩にあたる女の子から聞いてほしい話があると言われ、近所の古びた喫茶店へランチへ出かけた。 ナポリタンを食べ終わり、煙草を吸いながら彼女は話し始めた。 「私ね、見ちゃったんです。海に沈んでいく人を。」 彼女の話では、彼氏と海辺のレストランに食事へ行った先でテラス席から海を眺めていたところ 海の中へゆっくりと進み沈んでゆく男性を見たのだそう。 それが、彼女がこれから語る出来事の始まりだったそうだ。 「はっきりと見えたわけじゃ無いん