🥤ソーダ水の金魚鉢🥤

あたしのかわいい金魚さんたちは
プクプク
プクプク
大きく呼吸しながら
あたしの指にそっと口づけする
３匹いるまっ赤の金魚さんたちの中で一番懐いてる金魚ちゃんを
手のひらにのせると
パタパタ尾びれを叩きながら
あたしをじっと見つめるそのつぶらなビー玉みたいな目には
絶望の末路を察したのかわかんないけど
この子はあたしの薬指を
チュウチュウと吸い始める
それはまるで最後のチャンスにしがみつく命声のリアクションなんでけど
なんだかあたしには響かないみたい
金魚ちゃんは媚びてるみたいだけど
そんなのあたしはどうでもいいの
そんなことよりもね
金魚ちゃんが一生懸命
その細胞が生まれ変わるくらいに
上下運動を繰り返しながら
あたしに哀願してるのがらたまらなく
カオスなんだもん
大丈夫よ
金魚ちゃん…
あなたにはまだほんの少しだけ
未来が残されてる
そう…あなたには
まだもう少しの可能性があるのよ？
あたしは取り残された金魚たちが
お腹を見せて浮いてるのを
見つめながら
青いソーダ水の金魚鉢の中に手をつつこむと
クルクルと巻き混ぜる
そしてまさに未来ビジョンが確実にカウントダウンし始めてる
金魚ちゃんをそっと金魚鉢に戻した
さあ
あなたもみんなのところに帰りましょうね…
青いソーダ水で泳ぐ赤い金魚は
まるでさくらんぼみたいに
プクプク
浮いたり
沈んだり
しながら氷の壁をすり抜けると
数分後には
本当のさくらんぼになっちゃった…