現代詩手帖2024年5月号選外佳作(峯澤典子,山田亮太選) pile 栫伸太郎 日が、樹が伸びるように 押すようにのぼり ひかりを差しむけ、分岐させこじあけ 空に無数の見え…
現代詩手帖2024年3月号選外佳作(峯澤典子選) than 栫伸太郎 小田原城の水濠の 隅に 浮かんだ桜の花びらが流れつき かたまっていた そこを一羽の鴨が横切る 水濠の…
現代詩手帖2024年2月号選外佳作(山田亮太選) tread 栫伸太郎 風がこわれていると お前はいう こわれたまま素早く横切っていく 夜の 広いアスファルトの上を、 両端か…
現代詩手帖2024年1月号選外佳作(峯澤典子選) tilt栫伸太郎 黒くなった土を、はじめ足元に やがて少しずつ広くなる眼下に収めながら まだあたらしい靴で 濡れたジャング…
『ユリイカ』2023年9月号佳作(大崎清夏選) 七月の見えない点景 栫伸太郎 七月の 窓の外に 空気がある 窓の中にも 空気がある 暗くなってきたので 窓を開ける 外の方…
現代詩手帖2023年7月号選外佳作(山田亮太選) 円いやみ 栫伸太郎 水平線、 ぼ 僕は誰に も たどり着く ことが出来ないあな たを 回り続けるこ としか出来 ない…
現代詩手帖2023年5月号選外佳作(小笠原鳥類選) 歯列イール 栫伸太郎 頭を左右にちゅうくらいに振りながら いづれかの椎骨とまっすぐな散歩にでかける 三倍体の僕の部…
2022年度の南日本文学賞受賞作、詩15篇「雨雨」を公開いたします。 (noteの文面では元の書式が一部反映できなかった部分があるため(特に「泡にかんするー」と「天空と…
栫伸太郎
2024年4月30日 23:38
現代詩手帖2024年5月号選外佳作(峯澤典子,山田亮太選)pile栫伸太郎日が、樹が伸びるように 押すようにのぼりひかりを差しむけ、分岐させこじあけ空に無数の見えない傷をつけるその線状の色からにじみだした手として冬は ぎざぎざにやってくる、鳴き声をあげて、その軌道の肌理(と勾配、鋸歯状に波打ってかたまった布団の上で黒くなって目を覚ました、縮こまった鼻が詰まっている僕の体
2024年2月28日 13:24
現代詩手帖2024年3月号選外佳作(峯澤典子選)than栫伸太郎小田原城の水濠の 隅に浮かんだ桜の花びらが流れつきかたまっていたそこを一羽の鴨が横切る 水濠の隅から中心へ三角形にたまった桜の花びらをまっぷたつに わってつうと進んでいく佇むもろい桜色の中央に深いみどりの線がひかれ 残されていくそのときに 君にあいされているとわかった城の中は水溜りがおおくてきっとそ
2024年2月8日 23:11
現代詩手帖2024年2月号選外佳作(山田亮太選)tread栫伸太郎風がこわれているとお前はいうこわれたまま素早く横切っていく 夜の広いアスファルトの上を、両端から引っ張られるように道も、空気も平たい川は鉛筆の芯のように淋しくくろく零されたようにひちひちと歩く お前が今ここにいないということを、私は理解できているのだろうか雲がやけに明るく空にも起伏や勾配があるとい
2023年12月29日 18:03
現代詩手帖2024年1月号選外佳作(峯澤典子選)tilt栫伸太郎黒くなった土を、はじめ足元にやがて少しずつ広くなる眼下に収めながらまだあたらしい靴で濡れたジャングルジムをのぼるブルーグレイの ふりつもった 弱いちいさな火薬の山のような早朝の空気を 植物や遊具や地面に少しずつなでつけるような たくさんの 遠い窓が見える、 見られる場所にいるベランダや鉢植えに 囲まれて
2023年9月8日 16:29
『ユリイカ』2023年9月号佳作(大崎清夏選)七月の見えない点景栫伸太郎七月の窓の外に空気がある窓の中にも空気がある暗くなってきたので窓を開ける外の方が涼しいので窓を開けておく部屋はすぐには涼しくならない時間がかかる部屋の温度は時間に守られている僕の体の温度も時間に守られている時間をかけてこの部屋の温度の一部は 僕の体がつくり僕の体の温度
2023年7月1日 15:13
現代詩手帖2023年7月号選外佳作(山田亮太選)円いやみ栫伸太郎水平線、 ぼ 僕は誰に も たどり着くことが出来ないあな たを 回り続けることしか出来 ない僕 はシャツを もらえない個だい くつもシャツを吐き 出してきた紅葉 を強要するように気圧が侵 略し てくる 僕は絶対的に一つだ僕は何 よりも巨きい 何よ りもくらい一 つの歯一 つの舌 僕は伸びる伸び続ける僕 は乱
2023年5月14日 12:03
現代詩手帖2023年5月号選外佳作(小笠原鳥類選)歯列イール栫伸太郎頭を左右にちゅうくらいに振りながらいづれかの椎骨とまっすぐな散歩にでかける三倍体の僕の部屋には三倍体の(側切歯状の)じゃがいもみたいな何かがオニヒトデの中身を抓るように放射状に増殖し続けている あるいは自らの側扁な虹彩の中身を運びこみ 続けている、米の鱗のようなクエ、ミゾゴイその他蟠った車道外側
2023年5月9日 20:37
2022年度の南日本文学賞受賞作、詩15篇「雨雨」を公開いたします。(noteの文面では元の書式が一部反映できなかった部分があるため(特に「泡にかんするー」と「天空とその模写」)、PDFでの閲覧をお勧めしています。)75.1風は草むらの中に口髭をたくわえたその猫たちは尻尾を立てて歩き去る乱れた毛皮を連れて私たちよりも地面に近く風を目に映して 風は進み風はその後を追う