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で、ぶっちゃけ筋肉ってどうやって増やすのさ?

コロナがきっかけで外出が不自由になってから、身体を動かすために自宅で筋トレやエクササイズを始めた人も多いだろう。

一方で、最近、スーパーやコンビニで、プロテインを強化したドリンクや食品を見かけることが増えたから、筋肉を増やす、または維持するためにこういった食品を一度は手にしたことがある人もいるのではなかろうか。

でも、筋肉を増やしたり、維持するためには、運動、栄養のどちらかひとつでは実はだめで、必ず運動と栄養をセットにしなければいけない…のだけど。

いわゆる筋肉ガチ勢(ex.おひたちさん)を除いて、その事実を知っている人が果たしてどれくらいいるのだろうか・・。

そんなわけで、つたない知識ではあるけれど、せっかくなら、ちゃんと皆にも目的を達成してもらいたいと思い、今からライトな筋トレ愛好家の皆様に向けて、筋肉の重要な栄養素であるプロテインについてのお話と効果的なプロテインの摂り方について説明したい。

1.そもそもプロテインって何?
これはさすがに知っているかもしれないが、巷でプロテインと言われているものの正体は、たんぱく質だ。

たんぱく質とは炭水化物、脂肪と並ぶ三大栄養素のひとつで、その一番の役割は、身体(臓器、筋肉、皮膚、毛髪など)の原料(building blockなんて言い方もする)になることである。つまり、プロテインというと筋肉だけをイメージするけど、実は身体全体の栄養素なのである。

僕らはこの筋肉を始めとする身体の原料になるプロテインを普段の食事から補給することで、自らの身体を維持している。言い換えると、毎日、プロテインを含む食品を取らないと、僕たちの身体はどんどんやせ細っていてしまうのだ。

2.じゃあプロテインを多く含む食品って何だろう? 

良質のプロテイン(たんぱく質)が豊富に含まれている食品の代表選手は

肉、魚、乳製品(チーズ)、大豆である。

ちなみにここで言う「良質」とは、吸収性に優れ、かつ吸収されたプロテインのほぼ100%が身体の原料として活用されるものを意味する。

そう、実は食べても全部が血となりに肉にならないプロテインもあるのだ。

その代表的なものは野菜、果物、穀物等のプロテインだ。これらのプロテインの身体の原料としての活用率は20~60%程度であり、そもそも食品中に含まれているプロテインの量も少ない。

だから、身体(筋肉)を維持したければ、やはり、朝昼晩の食事で、肉、魚、乳製品(チーズ)、大豆をしっかり食べよう。

あと、これは言ってもあまりぴんとこないと思うけど、身体を維持するために僕らが1日に摂るべきプロテイン(たんぱく質)の量は年齢や体格によって微妙に異なるけど、おおよそ50~80gと言われている。

3.運動後にサプリメントとして摂るプロテイン食品の種類

と言っても筋トレやエクササイズの前後にプロテイン源として血が滴り落ちるステーキを食べるのはよほど胃が丈夫な人じゃないと無理だろう。

なので、アスリートが摂りやすいようにいろんなタイプのプロテイン食品が発売されている。現在、主にスーパーやドラッグストアの店頭で見かけるタイプは以下の2種類である。

・粉末飲料タイプ

主にドラッグストアで売られている。大袋に入っていて、シェーカーに必要量を入れて溶かしてから飲むタイプ。昔から売られていて、コスパが高いのと、1回当たりのプロテインの量を自分が好きなように調整できるので、本格的に筋トレをしたい人向けだ。

・飲料タイプ

スーパーやコンビニで売られている。近年、急成長している商品群でもある。大きなプラキャップがついた特殊な紙容器(テトラトップ容器)に入った乳飲料タイプが主流になっている。1本あたりのプロテイン量は10g程度と少なめだが、豊富なフレーバーがあるのと手軽に飲めるので、いわゆるライトユーザー向けの商品と言える。

4.ホエイプロテインについて

ちなみに、上記の商品は形態は異なるが、どちらも入っているプロテインはホエイプロテインが主流である。

ホエイ(乳清ともいう)とは、プレーンヨーグルトを買うとたまに表面に溜まっている薄い白色の液体のことである。このホエイに含まれているプロテインなので、ホエイプロテインと呼ばれる。

ホエイはチーズの副産物でもある。チーズを作るときに大量のホエイが排出されるのだが、昔はこれを噴霧乾燥させて粉にしたものを豚のエサにしていた。

このエサを食べたブタがいわゆるホエー豚である。

で、それを今は人間が食べているという訳。つまり、ホエー豚ならぬホエー人。

市販されているプロテイン食品には実はホエイプロテイン以外にもカゼイン(チーズの主要なプロテイン)や大豆由来のものもあるが、プロテイン食品の市場はほぼホエイプロテインが独占していると言っても過言ではない。

それは物量が多い(チーズの生産量に比例)、製造コストが安い(もともと廃棄していたものだしね)という経済的な理由に加え、筋肉を増やすという機能面においてもホエイプロテインが優れているという事情がある。

そんなホエイプロテインの2大特長は以下の通り。

①吸収速度が速い

もともと水溶性なので、胃で滞留することなく、すぐにお腹に落ちるので、他のプロテインに比べて吸収速度が速い。だいたい摂取後1時間くらいで筋肉に届く。(今は諸説あるが)筋肉に栄養をだらだら与えるのではなくて、一度にドカンと与えた方が筋肉がその刺激で活性化し、筋肉の合成がより高まるという研究報告がある。つまり、吸収速度の速さ=筋肉を作りやすくする、という関係性が成り立つ。

②筋肉が作られやすくなる成分を多く含んでいる

プロテインとは、実は20種類のアミノ酸が無数にランダムに繋がったものである。ここでは詳しい説明は割愛するが、アスリート向けのアミノ酸サプリメントに入っているアミノ酸は、このプロテインを構成するアミノ酸の中から、特にユニークな働きを持つアミノ酸だけをピックアップしたものだと思ってもらってよい。

そして、その代表的なアミノ酸がBCAA(分岐鎖アミノ酸)だ。

このBCAAは自らがプロテインの原料になるだけでなく、筋肉(のプロテイン)が作られるときの司令塔になって、筋肉を作られやすくする働きがある。

そして、実はホエイプロテインにはこのBCAA(その中でも特にロイシンというアミノ酸)が多く含まれているのだ。

つまり、吸収速度が速い、BCAAを豊富に含むというこの2つの特長により、筋肉を効率的に作ることができるホエイプロテインは、まさにプロテイン界の優等生(出木杉くん)なのである。

図1
出木杉くんを証明するデータ/S.M.Phillips/Sports  Med(2014)44(Suppl 1):S71-S77


5.じゃあそのホエイプロテインをいつどのくらい飲めばいいの?

さていよいよ本題である。ここで皆さんに重要ななお知らせがある。

冒頭にも申し上げたが、

ただ筋トレをしていただけでは筋肉は増えません。

そして、

ただプロテイン飲料を飲んだだけでも筋肉は増えません。

で、おそらくこーゆー人はたくさんいるはずだから、これ読んでショックを受けている人もいるかもしれない。

そして、「そういえば、確かになかなか筋肉が増えた実感がないなぁ」なんて思っている人もいるかもしれない。

しかし、今から話す内容を実践すれば、少なくとも今までよりは筋肉が増えたような実感は得られるかもしれないので、ぜひ鼻の穴を、いや耳の穴をかっぽじてよく聞いてくださいね。

まずはじめに一番大事なことを言います。

それは、

運動と栄養がセットになって初めて筋肉は増えようとし始める

ということです。

ちなみにここで言う運動は、筋肉に刺激(負荷)を与えるような運動です。専門的にはレジスタンス運動と呼ばれるもので、散歩やウォーキングなどの有酸素運動に対して、無酸素運動とも呼ばれ、短期間で集中的に筋肉に負荷をかける運動です。ジムでの器具を使った筋トレとかウェイトリフティング、腹筋、腕立て伏せなんかのイメージですね。

ここでのポイントは鍛えたい、増やしたい筋肉にしっかりと負荷(物理的な刺激)を与えることです。

そうすると、何が起こるかというと、その刺激によって、筋肉中のプロテインが壊れ始めます。そうすると、筋肉を修復しようと、筋肉中のプロテインを作る力が高まります。

運動によって筋肉を作る力(MPSと言います)が高まれば、当然、筋肉が増えてもよさそうですが、実際はそうはなりません。それは同時に筋肉を壊す力(MPBと言います)も高まっているから、差し引きすると0か下手すればマイナスになるからですね。

つまり、数式にすると

MPS=MPB

なので、筋肉は増えない。

そこで登場するのが栄養、すなわちホエイプロテインです。ホエイプロテインは先ほど説明した通り、筋肉を増やしやすくするBCAAというアミノ酸をたくさん含んでいるので、それ自体にMPSを高める働きがあります。

そのため、運動後にホエイプロテインを摂取すると、筋肉を作る力が筋肉を壊す力を上回ります。すなわち

MPS>MPB

になるので、ここでようやく筋肉は増えようとし始めるのです。

図にするとこんな感じです。

図2
S.M.Phillips/Sports  Med(2014)44(Suppl 1):S71-S77

これを見ると、運動によるMPSの上昇は48時間持続するのが分かります。つまり、運動後48時間以内にホエイプロテインを摂る、それもできるだけ早いタイミングで摂る(この図を見る限り1~3時間後が良さそう)と筋肉を増やす運動の効果を最大限に活かせそうです。あと、ホエイプロテイン摂取だけのMPSを高める効果は運動のそれ以下なのも分かります(つまり、ホエイプロテインだけだと筋肉は増えない)

ちなみに運動後に摂取するホエイプロテインの有効量は20gです。世界中でこの手の研究はたくさん行われていますが、20gがスタンダードだからです。プロテイン食品には10g配合のものが多いですが、その場合は2本飲んでください。

ちなみに今回の場合、半分の量だから半分の効果が得られるというものではなくて、有効量を下回ると全く意味がなくなるので、ご注意下さい。

あとご高齢の方は筋肉が作られにくい体質なので、実はこれの倍量(40g)必要となりますが、健康リスク(腎臓への負担等)があるので、アミノ酸などを組み合わせたアプローチがお勧めです(詳しく知りたい方はご相談に乗ります)。

まとめです。

筋肉をしっかりと増やすための運動×栄養のアプローチ

それは

増やしたい部位の筋肉にしっかりと負荷のかかる運動を行ったうえで、運動後1~3時間以内に、ホエイプロテインを20gを摂取する。

というものです。これを半年くらい続ければ、何かしらの体感が得られるかもしれません。

というわけで、

皆さんの健闘を祈ります!

ちなみに私はまったくマッチョではなくて、だらしないBODYのアラフィフメタボ親父です。

ただ昔(今から8年位前)、この方法を実践してボディシェイプした実績はあります。




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