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男子校にも吹奏楽部があるんだよ#6 ちょっとしたことでも注意されるとテンションはめっちゃ下がりますよね。

高井先輩にサックスパートの練習場所へ連れられて、練習場所のボロい部屋に着きました。後に知ることになるのですがこの部屋は他の音楽部がバンド練習をしている部屋でした。全部のパーツが揃ってなさそうな出来損ないのドラムセット、アンプがいくつか置いてあります。あとなぜか車のタイヤ。

こういうなぜか置いてあるものってどこにでもありますよね。
私の家の玄関にはなぜか絆創膏が貼ってあります。

部屋に着くと入口で高井先輩が大きな声でこんにちは!と言いました。それに対して部屋にいる先輩たちが会釈したり、"おう"と言ったりしています。私は無言で高井先輩についていきます。

高井「じゃ、そこ座って。楽器の組み立て方わかる?」
安西「はい。」
高井「この楽器使っていいから、組み立てられたら言って。」

この時私は楽器の組み立て方は分かっていませんでした。
ではなぜはいと言ったのか。それは"はい"以外の言葉を使いこなすことが私には難しかったからです。とは言えサックスのパーツはそんなに多くはありません。他の先輩の楽器の様子を見ながら組み立ててみます。

高井「できた?」
安西「はい。」
高井「これ逆だよ。」

サックスの吹き口を逆につけていました。
しかし私には逆だよの意味が分かりません。
焦った私は全く違うパーツを逆に回します。

高井「違う違う。こっち。」

そういって高井先輩が私の楽器を直しました。

高井「分からないことがあったら言うんだよ。」
安西「はい」

小学校時代にクラブ活動等をしておらず、
先輩後輩と言うものが初めての私にとっては、
これが初めて先輩から指摘をされた時です。
この文面でもわかるように大した指摘ではないのですが、非常に落ち込んだのを覚えています。

私が好きな誰かの言葉にこんなのがあります。

"人が耐えられる苦しみに自分が耐えられるとは限らない"

初めて先輩から指摘を受けたのは今思えば全然大したことではないのですが、当時の私にとっては本当にしんどいことでした。もう入部するのをやめようかと思いました。

そんなことがあったので、この日楽器を組み立てた後のことは覚えていません。注意された時から家に帰って何とか眠るまでこの時言われた、
"分からないことがあったら言うんだよ"が頭の中で何度も繰り返されるのでした。

まあこの後はこんなのとは比べ物にならない様な叱られ方を何度もされるのですがね、、、

先輩から叱られるのが嫌で入部するのをやめようかと思いましたが、
結局私は吹奏楽部に入部することになります。

もちろん吹奏楽部に入りたい、いや何かしらの部活に入りたいという思いはあったのですが、それ以上に、もし入部せずに顔を吹奏楽部に知られた状態で、先輩がいる学校にいることが非常に気まずいと想像したのです。

私は、人は気にしないことを気にしすぎてしまうところがあります。横断歩道では自分が渡りたいと思っていることがばれない様に、車が来たら、スマホを見たりして、"渡る気はないのでどうぞ行ってください"感を出したりします。この気持ちが分かる人は少ないでしょうね。自分に気を使われるのがすごく嫌なんですよね。関係あるようでない話をしてしまいました。

入部の話に戻りましょう。退部と違って入部の仕方は非常に簡単です。ミーティングで入部希望用紙が配られて、それにサインをして出すだけです。まるで新入社員の頃に訳も分からず入った保険の様です。入部届は顧問に直接提出します。

さ、ついに顧問の登場です。吹奏楽部の顧問と言えば、クセのかたまりの様な人が多いですよね。勝手なイメージです。読者の方で吹奏楽部の方いたら教えてくれたりしたら嬉しいです。まあ、うちの吹奏楽部の顧問はクセのかたまりです。喜怒哀楽を全力で表現し、子どものような理由で他の先生から叱られる、私の人生に大きな影響を及ぼした男。

男子校吹奏楽部顧問、横丸伸介。

では今日はこのへんで。次回はこの顧問の話でもしようと思います。


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