たみや える

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記事一覧

文披31題に参加してみる②(2024.07.11〜07.20)

day11 『錬金術』  錬金術に精通すると噂高い魔女の家に忍び込む。魔女は台所にいた。こちらに背をむけ真剣に大鍋の中身をかき混ぜている。にしても暑い。それに、甘った…

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文披31題に参加してみる①(2024.07.01〜07.10)

 綺想編纂館(朧)様のTwitter企画に参加させていただきました。初めての参加でドキドキです。毎日設定されているお題について、他の方がどんなふうに書かれたのかなぁと見…

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2週間前
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140字小説続けてみる(2024.06.01〜06.30)

『レターセット』  文具店パートの私は苛ついていた。視線の先の高校生カップルが原因。彼女がレターセットを一生懸命選ぶのに彼は返事すらしない。  二人が店の外に出…

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3週間前
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300字を超えたもの〜1000字(2024.01〜05末まで)

『理想郷』  気づくと私は歩道に面したオープンカフェにいた。食べ放題なのだろうか? 友人と一緒にケーキやパフェを次々食べている。 「美味し〜い!」 「色々あるから…

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1か月前
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140字小説続けてみる(2024.05.01〜05.31)

 『私はまだ旦那様に会ったことがない』  とある資産家のお屋敷につとめることになった。仕事は番犬と屋敷の奥に住む可愛らしいお嬢様のお世話。驚くことにお嬢様は既婚…

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1か月前

300字小説も書いてみる(2024.01〜05末まで)

『(私の恋)』  (あ!)  平日夕方五時五五分。図書館。私は心の中で叫び声をあげ、書架の陰に隠れる。  YAコーナーの奥、テーブルの席に君は座っている。少し背を丸め、…

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1か月前
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140字小説にチャレンジする(2024.04.01〜04.30)

『将来有望』  うららかな日差しが照らす公園のベンチ。二人の母親が話している。 「うちの子、テストはいつも満点なの」 「羨ましい。うちの子なんて九十点ばかりよ」 『…

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2か月前
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140字小説にチャレンジする(2024.03.01〜03.31)

『名前を』  婚活パーティーの終盤、次々とカップルが成立してゆく。 「思い出すなぁ」  思わず言うと隣の男性が「何をです?」と聞く。 「はないちもんめの時、なかなか…

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2か月前
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140字小説にチャレンジする(2024.01.25〜02.29)

『かじかむ手』  久しぶりの忘年会。店を出ると湿った雪が降っていた。 「寒いね」「だね」  手袋はあえて忘れた。  歩き始めてもうすぐ百歩目。かじかんだ手をグーパー…

たみや える
3か月前
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文披31題に参加してみる②(2024.07.11〜07.20)

day11 『錬金術』  錬金術に精通すると噂高い魔女の家に忍び込む。魔女は台所にいた。こちらに背をむけ真剣に大鍋の中身をかき混ぜている。にしても暑い。それに、甘ったるい匂いがする。  様子を窺っていると、急に魔女が振り返った。 「そっちの生地で餡を包んで頂戴。言うこと聞かないと箒で引っ叩くよ!」  誰だ? 魔女が金を作っているなんて大法螺吹いたのは。  それからずっと手伝わされている。  饅頭の販売が、魔女の錬金術だった。  ちなみに、同様の手口で捕獲された魔女の僕が、俺

文披31題に参加してみる①(2024.07.01〜07.10)

 綺想編纂館(朧)様のTwitter企画に参加させていただきました。初めての参加でドキドキです。毎日設定されているお題について、他の方がどんなふうに書かれたのかなぁと見て回るのも楽しい! day1 夕涼み  タバコ辞めて。給料貰ったならちゃんと家に入れて。ガニ股は卒業してよ。全部正論なのに、言ったら喧嘩になった。  腹が立ったから近くの小さな公園に来た。一才になった娘を抱えて。  今年の最高気温を記録した今日の太陽を公園の土はまだ抱え込んでいた。履いてきたペラペラなビー

140字小説続けてみる(2024.06.01〜06.30)

『レターセット』  文具店パートの私は苛ついていた。視線の先の高校生カップルが原因。彼女がレターセットを一生懸命選ぶのに彼は返事すらしない。  二人が店の外に出る。  彼女は彼にレターセットの袋を渡し、歩道脇の車に乗り込む。車はあっという間に見えなくなる。引っ越し会社のトラックだった。  彼はまだそこにいる。 『うちの夫』  職場に、飼い猫飼い犬を連れての出勤がオッケイになった。そのことを告げてから夫の様子が変だ。  仕事から帰宅すると、夫がリビングのソファの上で

300字を超えたもの〜1000字(2024.01〜05末まで)

『理想郷』  気づくと私は歩道に面したオープンカフェにいた。食べ放題なのだろうか? 友人と一緒にケーキやパフェを次々食べている。 「美味し〜い!」 「色々あるから飽きないわよね」 「ここは良いわ! いくら食べても太らないもの」  友人の言葉に私はふと浮かんだ疑問を口にする。 「そういえばここ、どこ?」 「死ぬことも餓えることもない理想の世界よ」  すると、私にウインクした友人の顔が突然おぼろになった。 ……パチン。 「美味し〜い!」「色々あるから飽きないわよね」「ここは良いわ

140字小説続けてみる(2024.05.01〜05.31)

 『私はまだ旦那様に会ったことがない』  とある資産家のお屋敷につとめることになった。仕事は番犬と屋敷の奥に住む可愛らしいお嬢様のお世話。驚くことにお嬢様は既婚者なのだそう。まだ十代なのに。  それにしても旦那様に会わない。  同僚に聞くと、皆「会っているじゃない」と私を笑う。後で知った。  私の世話する犬が旦那様だと。 ✳︎  執事に言われた。 「旦那様の妾になってくれ」 「嫌です」 「お前がいないと旦那様が不機嫌になられる。困るのだ」  弱る私の足元、旦

300字小説も書いてみる(2024.01〜05末まで)

『(私の恋)』  (あ!)  平日夕方五時五五分。図書館。私は心の中で叫び声をあげ、書架の陰に隠れる。  YAコーナーの奥、テーブルの席に君は座っている。少し背を丸め、ノートに視線を落として。まつ毛、私より長いのでは? 左手は参考書のページを押さえ右手でシャーペンを回している。 (器用……、まるで魔法!)と、私は音を立てずに拍手する。  六時二〇分。他校の制服の女子が机の横に立つ。  彼女に気づいた君は顔を上げ口元を綻ばせた。  図書館から出ていく二人の背中を私は見送る。最後

140字小説にチャレンジする(2024.04.01〜04.30)

『将来有望』  うららかな日差しが照らす公園のベンチ。二人の母親が話している。 「うちの子、テストはいつも満点なの」 「羨ましい。うちの子なんて九十点ばかりよ」 『見栄を張り合うのは四月一日だけなんだよな』 『期待されているんだかいないんだか』  母親に抱かれる赤ん坊たちは目線を交わしている。 『欲しくなるもの』  二人で歩いている時だった。 「目にすると欲しくなるものってあるよね」 「例えば?」 「練り消しにスライム、あと紙石鹸でしょ」  俺の方なんかちっとも見ない。素っ

140字小説にチャレンジする(2024.03.01〜03.31)

『名前を』  婚活パーティーの終盤、次々とカップルが成立してゆく。 「思い出すなぁ」  思わず言うと隣の男性が「何をです?」と聞く。 「はないちもんめの時、なかなか呼ばれなくて」 「今日のパーティーは番号で呼ばれるので名前は呼ばれません」  むくれた私に彼が囁いた。 「なので、まず名前を教えてくれませんか」 『浮気の理由』 「おかえり。今日はギョーザだよ」 「俺の好物じゃん。サンキュ」  彼女が作るギョーザは肉とニンニクがぎっしりでまじ美味い。  自然、無言になり食べている

140字小説にチャレンジする(2024.01.25〜02.29)

『かじかむ手』  久しぶりの忘年会。店を出ると湿った雪が降っていた。 「寒いね」「だね」  手袋はあえて忘れた。  歩き始めてもうすぐ百歩目。かじかんだ手をグーパーする。  店の明かりに光る君の横顔は、あの子の背中をまっすぐ見ていた。  かわいそうな私の手は、君のポケットに入れてもらえそうにない。 『クリームソーダ』  雨から逃げるように入店した。クリームソーダのストローを咥えた私に「冬なのに寒くない?」と君は呆れた。 「大学生って面倒」「何で?」「二年になったら皆カレカノ