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フィリピン法人設立手順と内容


フィリピンにおける法人登記手続きの概要

は大まかに下記の通りです。

1.会社の目的と、それに応じたフィリピン資本と外国資本の比率を決定
2.株主、出資比率を決定
3.会社名を予約
4.銀行口座開設
5銀行に資本金を預け入れ
6.SECへ申請
7.認可待ち

〈法人を決める〉

フィリピンにおいて、法人の名称は、所在地・業種・規模を問わず、フィリピンの全法人との比較重複チェックが行われるのが特徴らしいです。
 同一あるいは酷似した社名は使用することが出来ません。なので、法人名を決定する際は候補を3つくらい出している方が良いです。私たちは1つ目でクリアできました。
 
また、社名の決定に際しては、いくつかのルールがあります。

・株式会社の場合、Corp.(Corporation)もしくはInc.(Incorporated)のどちらかで終わらなければなりません。たとえLtdという言葉で社名を終わらせたいと思っても、Ltd. Inc.となってしまいます。こちらになってしまうととてもダサい事になってしまうので、注意が必要ですね。笑

・Design, Engineering, Schoolなどの規制業種を想起させる単語は使用できません。(もちろん、フィリピン100%資本の会社であれば使用可能です)

・類似した社名がすでにある場合、先に登記した会社から承認を得ない限り、使用できません。類似しているかどうかは、SECの弁護士の判断によります。

役員(Director)の決定

役員に関するルールは下記の通りです。

1.役員は、最低1株を所有しなくていけない
2.フィリピン居住者じゃなくてもOK
3.役員の外国人比率が、外資の比率を超えてはいけない

取締役(Officer)の決定

フィリピンでは、役員会の承認のもと、社長(President)、秘書役(Corporate Secretary)、財務役(Treasurer)という、少なくとも3人の取締役を選出しなければいけません。

1.社長は役員の中から選出しなければいけない
2.秘書役、財務役はフィリピン人でなくてはならない
(※例えば独資100%などで進出する場合は現地パートナーなどいないと思うので、こちらも名義貸しで対応する必要があります。こちらも、私達は最初とても高い所にお願いしていましたが、特にやる事もない中で、費用を抑えられてしっかりと要件に沿った人をジョインして下さる会社様もご紹介させていただきます。)
3.秘書役と財務役は、一人が兼務することができる。
但し、社長と秘書の兼務、社長と財務役の兼務は不可。

秘書役、財務役とは

秘書役(=Corporate Secretary)の主な役割は、法人として正式な書類を作成するときに、「この書類に記載された内容は正しいことを証明します」という署名を行うことです。正義と公正さに基づいて、法人の重要書類を作成することが求められています。

 フィリピンでは、社長の署名というのは対外的にはそれほど重要視されません。社長が何かに署名をしても、「その人物は確かに我が社の社長であることを、この書記役である私が証明する」という書類を秘書役が作成しなくてはいけません。こういった、秘書役が作成する証明書を、SECRETARY CERITIFICATEと呼び、許認可申請、ビザ申請、電話回線の開設、銀行口座開設などあらゆる場面で要求されます。一般的に、「秘書役が重要である」、というのはこういった理由によるものらしいです。
 ※最初はこの「秘書役」にお願いする事はとても多いです。なので、サインをもらうのにめちゃくちゃ時間がかかるような人を任命するのは絶対に止めた方が良いです。ただでさえ、時間通りに進まないにも関わらずサインをもらうだけで、時間が掛かる人を任命するという事は更に、様々な事を遅延させる事になりますので、すぐにサインを貰える人にした方が絶対に良いです。

資本金額を決める

こちらは進出の形態や事業内容により異なると思いますので、やり方に関しては記載は控えておきます。

 フィリピンでは資本金に応じて、登記費用と印紙税が比例して大きくなります。フィリピンの会社などでは、資本金をなるべく小さくし、足りない運転資金は、親会社や株主個人から借り入れるやり方が一般的らしいです。

資本金を預け入れ

この辺りはそれぞれのやり方があると思いますので、割愛させていただきます。
 ただ、この資本金を預け入れた後にすぐに、その資本は使えません。
最初に資本金を預け入れる口座は特殊な口座となっております。(T.I.T.F.=ティーアイティーエフ口座と呼びます)
 日本の法人が出資するような場合は、日本の法人口座から、T.I.T.F口座に送金する必要が出てきます。
 

SECに提出

登記書類、残高証明書などが揃ったら、公証(=ノータライス)を経た後、SECに提出してもらいます。

公証は、署名を行った国で受けるのが原則となっており、日本で署名をしたのなら日本で公証をしなければなりません。フィリピンで署名をした場合は、フィリピンで公証を受けます。
公証=アポスティーユに関してはまた、別のどこかで記載出来ればしますが、日本のアポスティーユは高額、面倒です。。しかもフィリピンで書類を無くすかもしれないので、何部も必要です。と言われる事もしばしば。。
 私たちも日本のアポスティーユの費用だけでも相当な金額が必要となりました。日本では1部で済むものがフィリピンではなくすかもしれないとかいう理由で2部必要になる事も多いですので、お気をつけ下さい。
 
 
提出後は、SEC内の弁護士チェックにより、訂正・加筆指示が入ることがあります。訂正、加筆指示が入れば、その通りに訂正・加筆を行う必要が出てきます。
 受理されれば、支払いに進み、支払いが済めば、あとは待つだけです。
申請料で大きな額は、授権資本金額の0.2%相当の部分のみで、その他の費用はごく少額です。

登記が済んでも、何もできない。

そこから、7営業日ほど待つと、登記が完了します。
一般的に7営業日くらいと言われていますが、ここはフィリピンなので、目安が守られる事はほぼないです。遅くなる事はあっても早くなる事はないので、その辺の理解が必要です。

 なんとしかしフィリピンでは、事業を開始するための完全な許認可を100%とすると、登記が完了したというのは、そのうちのほんの10%か20%くらいが済んだにすぎないのです!!!
 
そこから、市役所、税務署、社会保障事務所、あるいは移民局などへの申請作業が延々と続くことになります。
 市役所のパーミットが登記完了後、1年経ってもとれない、というような話はたまに聞かれます。登記が完了したというのは、そういったローカル・パーミットへ進むための切符を手に入れただけに過ぎないんです。信じられないですよね。。。
 「会社設立が1ヶ月で完了する」と言われ、1ヶ月後に営業を開始できると思い込む人は多いですが、それは間違いです。私もこのように思っていた部分が大いにあります。市役所、税務署などなどの手続きもスムーズには進行しないのでとても大変です。パーミット関係はまた、別記事で記載しようと思いますが、本当に取得などに時間と労力と忍耐が必要です。このフィリピンでは日本と同じように事がスムーズに進む事なんてありません。

登記が済んだら真っ先に印紙税を払う!!

この辺りは、設立をお願いしている、コンサルタントなどの方にもしっかりと確認しましょう。設立のコンサルティングの中に含まれているか?の確認もとても重要なので、「絶対に!!」確認して下さいね。
 登記が完了したら、翌月の5日までに、受験資本金の0.5%(2019年現在、1%に変更されました)に相当する金額を、税務署に納めなくてはなりません。1日でも遅れれば、最高で45%のペナルティが課せられます。

銀行の本口座開設

 登記が降りたら、資本金を預け入れた銀行へ行き、本口座を開設します。
まだ、TITF口座に資本金が入ったままなので、これを閉鎖し、本口座を新しく開いて、そこへ資本金を移動する手続きとなります。
 お金を引き出す処理になるので、TITF口座の名義人の署名が必ず必要になります。
 この本口座が開設されて初めて、資金の移動などが出来るようになります。

次にやること

 上記にも記載しましたが、フィリピンでは法人登記が完了してできることといえば、賃貸契約くらいなものです。
 本格的な事業活動はまだ何も出来ません。
市役所に申請し、ビジネス・パーミットを取得しなければ、採用のための広告も打てないし、外国人の就労許可も取れません。
さらに税務署に登録をし、正式な請求書と領収証を印刷しなければ、請求書や領収証を発行することもできません。
数日で会社の登記が完了し、すぐに法人といての活動を開始できる日本とはまるで事情が異なります。
 まだまだ、やるべきことがありますので、ビジネスパーミットなどに関しては記事を書いていきたいと思います。
 
ここまで読んでくれた皆様ありがとうございます。中々フィリピンハードですね?!
 でも、とにかく何とか前に進めていく必要がありますし、確実に前進はしていきます。
 何事も諦めずに確実に理解しながら進めていくことが大切です。
この大変なプロセスを理解して、コンサルタントにお願いするのと、丸投げするのでは、「ナレッジ」が違います。実際の実務はお願いする方が、絶対に良いです。が、経営者になる方は絶対に理解した上で依頼するべきだと私は思います。では、今回の記事はこの辺で。


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