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ゆる創作

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ゆるいフィクション書いてます。この世から数分逃げたい時ぜひに
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#創作大賞2023

道化の夏休み

道化の夏休み

夏休みも半ばにさしかかり、
友達と遊ぶこともなかった僕は、
祖父母の家の庭で夥しい数の蟻の群れを眺めていた。

滴る汗が砂利の上に滲みを作り出し、
水玉模様の土を蟻が横切る姿を注視する訳でもなく、ただ眺めていた。

コイツらは何を考えているんだろう。
死んだ羽虫の亡骸を重たそうに抱えて列を成す蟻の気持ちを僕はわからずにいた。
蟻は飽きもせずに運搬を続けている。
 

脇に咲く薔薇の棘に目をやり、指

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陽炎

陽炎

蝉の声が頭の中で重なり合い、
綺麗な思い出も、忘れたい過去も
全てをぐちゃぐちゃにかき混ぜる。

川沿いのベンチに腰掛けながら、
煙を燻らすことに一生懸命な警備員を視界の端に捉える。

彼はきっと、お昼休憩の1時間をいつもこうやって過ごしているのだろう。
心の中で応援しながら、僕も一生懸命煙草を吸っている。

今朝、祖父が死んだ。囲碁の好きな人だった。
縁側でいつもラジオを聴きながら盤上を眺めてい

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ハルシネーション・ラブ

ハルシネーション・ラブ

 アスファルトが焼けている。揺ら揺らと熱気を帯びたその平面は、視界の下部を滲ませる。
あと数日で17歳を迎える僕の憂鬱を嘲笑うかのような、圧倒的な灼熱。

17度目の誕生日ともなると、流石に数えるのも面倒になってくる。これからも何度も繰り返すことになると思うと甚だうんざりしてくる。

 世の中には反出生主義、と言う言葉があるらしい。
難しいことはよく分からないが、兎に角人生には苦しい事が付きものな

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蜂の子

蜂の子

朝目覚めると、昨日までの悪天候が嘘かのような晴天に見舞われ、
風に仰がれたカーテンが顔を撫でるのを鬱陶しく手で払った。

ベランダに出て煙草でも喫もうかしらと、
服を着て喫煙具を引っ掴んだ。

床に置いてある灰皿の横に座し、のそのそとライターで咥えた煙草に火を付ける。

一口目を肺に入れ込まずに、ふかす。
煙がもわっと風に攫われ、僕の鼻先に立ち上る。

ぷかぷかと煙を燻らせていると、僕の視界の端に

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春猫

春猫

一つ、欠伸をした。

こんな晴れた日は思索に耽るなどの馬鹿げたことはよしておいて、何とはなしに道を歩くに限る。

桜の散る遊歩道をふらふら歩いていると、紋白蝶が視界の端に映り込む。彼もまた、なにも考えてはいなさそうだ。

暫く歩くと、出店などが出ている少し広い道に出た。

血を吸い上げた様な鮮やかな桃色に人々は魅了されているようだ。人集りの隙間を縫う様にして歩く。誰も私を見向きはしないが、それが私

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