今/私/ここ 今、この瞬間との接触
呪いは過去にあり 憂いは未来にある。
だから、今を生きることに集中することが最良の選択となる。
ACT療法のコアプロセスの一つ、「今、この瞬間との接触」について綴っていきます。
オープンな反応スタイルでも説明した脱フュージョンとアクセプタンス。この二つでも実は「今、この瞬間との接触」が強く関係しています。
脱フュージョンとアクセプタンスも現実を見つめて受容していくからです。
今、この瞬間との接触とはマインドフルネスのことを指します。
今、この瞬間との接触とは
・自分の思考に埋没せず、現実を認識すること
・今の体験に意識を向けて感じること
何が起こっているか。「現実」をきちんと見ていくことでより有意義な選択をすることが出来るようになり、より効果的に価値に基づいた人生を送ることが出来るようになることが目的です。
うつ病の人は過去のことに捕らわれて延々とその過去の出来事に想いを馳せることでいつまでも憂鬱な気分を引きずってしまう傾向にあります。(このことを反すうと呼びます)未来への不安を延々と考えてしまうこともあります。
また、発達障害の症状を持っている人は注意力を焦点づけるスキルが不足している状態であることが多いです。
一部のことに注意が集中し、今必要としてることや全体をみる注意力が不足しているのです。
余談ですが、うつ病の人が本を読めないというのは本を読んでいるときも反すうしてしまい、本の内容が頭に入らずページを戻さなくてはならなくなるからです。
このように過去への捕らわれ、未来への不安から今この瞬間を感じることが出来ない心理的非柔軟性「概念としての過去や未来への捕らわれ、少ない自己知識」が最良の選択をする邪魔をしてしまうのです。
チョコレート瞑想
では今、この瞬間に接触するためにはどうすればいいのでしょうか。その一つの訓練となるチョコレート瞑想というものを紹介したいと思います。
1 チョコレートを用意します。
2 チョコレートを眺め、質感や色をみてください。
3 チョコレートを触り、感触も確かめてみてください。
4 口に入れて、噛まずに舌でじっくりと味わってください。どんな味がするでしょうか。
5 最後にゆっくりと味わってください。
いつもと違った味に気づいたりしたのではないでしょうか。何気なく食べるのではなく、チョコレートの形や質感、味に注意を集めて集中することが目的となります。
呼吸瞑想
これはアクセプタンスの項目でも説明しましたが呼吸に意識を向けることで注意力を鍛える訓練です。
瞑想と聞くとスピリチュアルなの?と思う人もいると思いますが、瞑想は注意力を鍛える訓練です。そのことで様々な恩恵を受けることになりますが当然デメリットもあると言われています。未だ、デメリットに関しては研究しきれていないところもありますが。恩恵の部分が大きいのは確かです。
ポイントとなるのはどの項目にも言えることですがACTの目的は人生の質を上げることにあります。
どんなときでもアクセプタンスしたり脱フュージョンをするのではなく、
例えば、映画やドラマなどを観ているときにはアクセプタンスや脱フュージョンしているととてもつまらなかなってしまうというようなことのように
或いは、お化け屋敷では冷静に現実を見ていると「あ、あそこに仕掛けがあるな」とか「ここでお化けが脅してくるパターンなのか」とか
全く面白くないと思います。
なのでどんな時でもするというものではなく、よりよく生きるための有意義な選択が出来なくなっているとき。価値に基づいた行動が取れなくなっているときに行うことで最大限の効果を発揮します。
また、「今/私/ここ」と「文脈としての自己」は集合した反応スタイルと呼ばれています。
集合した反応スタイルは「オープンな反応スタイル」と「従事したスタイル(価値と行動)」の蝶番のような役割を果たします。
まとめ
今、この瞬間の接触とは今に注意を向けることで脱フュージョンやアクセプタンスを促していく視点のことになります。
今、この瞬間に意識を向けて人生において有益な選択を出来るようにしていく。
思考に縛られたり、感情に振り回されずに。
そのために瞑想スキルを使用して注意力を鍛えて、必要なときに脱フュージョンやアクセプタンスをしていく。現実をきちんと客観的に見られる力をつけていくことが目的となります。
考えすぎて疲れてしまったとき、或いは感情に振り回されてしまったとき、是非瞑想を活用してみてくださいね。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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