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【怪物】無意識のフィルターに気づけるか。#映画感想文


メリークリスマス🎅🎄👏

6月半ばに映画館で観てからずーーーっと書く書く詐欺をしてました、映画「怪物」の感想文。やっと書きます、書き終えます。半年経ったという事実に驚愕よ。

今期放映のドラマ「いちばんすきな花」にも登場するこの男の子(黒川想矢)が「怪物」の主人公のひとり。ドラマのこのシーンもめっちゃじーんときた(書こうと思ってからずるずるしてたら最終回まで終わっちゃったよ)。

そもそもなんでこんなに感想文を後回しにしていたかというと、観終わった直後は腹落ちしきらなくて、感想が言語化できる状況じゃなかったのよね。独特の感覚だけがじわじわと残って、解釈が委ねられてる感じ。元々考察読むのは好きだけど、例に漏れず「怪物」の考察も見漁った。

「怪物 考察」で調べてトップに出てきたのが、シーメイトでライターのりょこさんが書かれた記事で、個人的にめっちゃ嬉しくなったし、丁寧な言語化のおかげで腑に落ちたので、皆さまもぜひ読んでみてください〜!


※ネタバレ含む可能性あり

さて、観終わった直後〜数週間の間に残したメモをもとに、感想文をつらつらと書いていこうかな。雑多だけど、リアルな気持ちを残しておく。

✍️メモ原文まま

物語の進み方、伏線回収が好み

映画にしろ小説やドラマにしろ、群像劇がめちゃくちゃ大好きなんですよ(突然)。わかりやすく主人公とモブみたいに分けられているよりも、それぞれの視点から語られる物語が複雑に絡み合って、伏線がじわじわと回収される様は、個人的にかなり癖(へき)だ。刺さる。求めてる。

「怪物」は、それがドンピシャだった。全員が主役級で、それぞれの細かな描写に意味を含ませて、解釈の幅を膨らませるのがうますぎる。気づいたら世界観にのめり込んでいた。

「怪物」とは結局なんだったのか

予告を観たときから「怪物がいる」と先入観で思い込んでいて、フィルターがかかった状態で映像を観始めてしまった。「怪物=悪人=黒幕」みたいなイメージを勝手に膨らませて、「怪物探し」をしていた。そして、登場人物の誰に対しても「怪物っぽい」と怪しむような疑いの目で見続けてしまった。ストーリーへの引きずり込み方は模範回答というか、監督や脚本家の思うツボというか、人間の心理をうまく操って沼に落としたと思う(めっちゃ褒めてる)。まんまと手のひらで転がされてしまった。

この思考そのものを「怪物」というメタファーを用いて伝えたかったのかなぁ。具体的にカテゴライズされた人物像ではなく、得体の知れない不気味なもの(個人的な感覚)を怪物とすることで、なにかしらのネガティブな思い込みの矛先にしたのかもしれない。実際の映画中で、怪物に該当する人物がいたというより、誰しもが本能的に怪物っぽい思考や心理は持ち合わせているんだなと感じた。大なり小なり自分の中に怪物を飼ってて、おそらく無意識の部分もあるはずで。でもその「無意識」の部分を形成するのは育ってきた環境だったり、関わる人から享受する価値観だったり、善悪では分けられない曖昧なものがたくさんあるよね。

人間の多面性、本人にしか分からない事実

人間の多面性も生々しく解像度高く描かれてるなあと思った。上記で、善悪では分けられないと書いたけど、正解不正解も一方的に決めつけることなんてできない。自分が見えている範囲のたった一面だけで、たった一言だけで、決めつけたり疑ったりすることがどれだけ危ういかヒシヒシと伝わった。

リアルな生活より何倍も俯瞰して観れる「映画」というフィクションの世界ですら、見えている情報だけで判断しがちなのに、いざ現実の自分はどれだけ偏見にまみれて憶測で決めつけて生きてるのだろうか。逆も然りで、制御して発している本音の中でどれだけ「わたし」がこういう人間だよねって思われてることか。「誰も本当のわたしのことなんて分からないくせに」と悲劇のヒロインごっこをするわけじゃないけど、やっぱり本人にしか分からんのよ。

自分の信じたいようにしかフィルターはかけられない

本人にしか分からない事実を、好き勝手な解釈で情報を繋ぎ合わせて、都合のいいようにしか見れなくなってることが多い気がする。SNSを含む雑多にあふれかえる情報社会へのメッセージかなあ〜とも思ったり(個人的には、社会問題をなんちゃら〜とかそんな大それたことを考えるタイプではないのだけども)。それにしても、SNSがいちばん分かりやすく情報の印象操作が大きいのかなって。発信する側の「伝えたいこと」歪んでない?

前職の営業時代に、「提案は見せ方次第だから」って口酸っぱく教えられてたんだけど、都合よくデータを切り取って、不都合な部分に目を向けさせないようにして、"伝え方"次第で相手を誘導する感じ。個人的にはめちゃくちゃ苦手だったなあ〜〜〜私みたいに仕事は仕事って割り切れない感情移入しまくり人間は、ほんっとに葛藤まみれでメンタル死。そういう面ではまじで向いてなかった。「営業としての私」が「本心の私」に嘘をつき続けてる訳だから、そりゃあしんどいよね(笑)。余談はさておき。

無意識的に自分が信じたいように、信じたいことだけを判断して汲み取ってると思うのよね。信じたくないものを悪と決めつけてるほうが楽だから、正義感が勝るから。自分がかけているフィルターが万人にとって正しいとは限らないし、そもそも正しさとは?って感じだし、このあたりは無限ループなので割愛。フィルターに気づくことがまず一歩なのかもね。あっ、もしかしたら違う見方もできるのかなって、決めつけずにフラットに生きたいね、むずかしいけども。

最後に、諸々の余談を

2,000文字超えてた!ありがとうございました!

余談ゾーンです。観終わったときに心にじと…って残る独特の感覚が「ベイビー・ブローカー」と似てたなあ〜って思ったんだけど、分かる方〜?

あと、いろいろ是枝監督の作品を調べてて、米津玄師の「カナリヤ」のMV監督!?って思ってびっくりと嬉しさで叫びかけた(笑)。個人的には米津玄師の曲の中でも大好きで、MVもめちゃくちゃ好きで、とにかく涙腺やられるしコロナ禍の切なさに胸が詰まりそうになるんだけど…。対談もMVもぜひぜひ観てください〜!!

最後は脱線しちゃったけど、ようやく映画「怪物」の感想文を書き終えた!!まだまだ咀嚼が足りないかもしれないし、心の中の怪物とも向き合っていきたいな〜。

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