Responsible Tourismって何?

レスポンシブルツーリズム、日本語に訳すと「責任ある観光」となりますが、誰が何に責任を持つのか?まだ定義は確立していないと言われていますが、簡単に言うと、観光という行為によって、旅行者を受け入れる地域に、社会的、環境的、経済的な悪影響を与えないようにすることを指します。

「観光」と聞くと、何を思い浮かべますか?
頑張って働いて手に入れた有休で、綺麗な海のある場所でおいしい海鮮!とか、週末に有名な観光地に行って写真を撮る!とか。せっかくの休みだし、働いてもらったお金を使うんだから、満足のいく時間にしたいですよね。私も、友達とワイワイどこかに出かけるのは楽しいので、好きです。

ただ、多くの人が有名な観光地に行って、映える写真を撮ってインスタに載せ、それだけで帰るというこの一連のプロセスに、私はずっとどこかモヤモヤしていました。

Photo: スペインバルセロナの住民が観光客のせいで町が壊されていると訴えている。

普通に観光ってその地域に経済的利益を促すから、いいことやん!と単純に考えるとそう思うと思うんですが、実際このバルセロナの写真のように、世界各地で旅行者の(無意識的な)無責任な行動や、過度な旅行者の増加によって悲鳴を上げている地域がたくさんあります。

事例を3つほど。
●イタリアのベネチア。ベネチアは古代の街で一度は訪れてみたいと思うかもしれませんが、実際は、overtourism(その地域が受け入れられる以上の旅行者が押し寄せること)で有名な場所。もう周知かもしれないですが。

Photo: イタリア ベネチア (Source: Telegraph)
https://www.google.co.jp/amp/s/www.telegraph.co.uk/news/2017/11/08/giant-cruise-ships-diverted-away-venices-historic-centre-catch/amp/

私はこんな生活を想像できないです。自分の住む街にこれほど大きい船が1日に何度も来て、街には地元の八百屋さんやスーパーがほとんどなくお土産屋さんばかり。保育園もほとんどなく、子供を持つ多くの家族は引越さざるを得なくなり、また実際ここに住もうとしても、Airbnbや宿泊施設のためなら部屋を貸してくれるが、普通に住むためには地元の人でさえ部屋を貸してくれないそう。「tourists帰れ!」と言いたくなる気持ちもわかります。

●日本にも少し似た地域が。北海道函館市「観光客にとっては行ってみたい場所でも、住民にとっては住みたくない場所」だと。

Photo: 函館市の夜景 (Source: NHK)
https://www.google.co.jp/amp/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20191203/amp/k10012200041000.html

こちらでは、まだベネチアほどひどくないですが、年々増える観光客に対応するため、そして観光による利益を最大化するため、市の財源は観光関連予算に多くが割り当てられている。そのため子どもの医療費が近隣地域に比べて非常に高く、多くの子育て世代は隣の街に引っ越して人口減少しているそう。

●エチオピアのとある村 (授業で扱ったドキュメンタリーより)
そこでは、ある旅行会社が町から車で数時間ほど離れた小さな村に観光客を送り込んでいる。観光客の目的は、村の女性たちが自ら下唇を切ってその間に陶器のような皿を入れ、民族衣装を着ているの珍しい姿の写真を撮ること。村の人たちからすると、「観光客が来るとお金を稼げるから、彼らがやってくる日だけ民族衣装を着て化粧をする。」でもその衣装も化粧も観光客に「魅せる」ためのもので、彼らの伝統的な文化の一部ではない。観光客は容赦なく彼らの家を除き、人と人との関係ではなくモノを買うかのように、彼らの写真を撮ってお金を払う。そして彼らの文化や生活を知ることもなく、1時間ほどで写真だけ撮って帰る。

これら事例の共通の問題点をひと言で言うと、旅行者や旅行会社、観光に関わるステークホルダーたちの思うがままの行動、利益を求める行動のせいで、そこに住む人たちの生活そのものが変わってしまっているということ。現時点でいくら経済効果があろうと、将来的にその地域に住む人たちがいなくなれば、その文化が無くなれば、町や村として成り立たなくなります。

今までこれ以外にもさまざまな事例を学んできて、現時点で私たちがどうすれば”responsible traveler”になれるのか?を以下にまとめました。

・訪問する地域のことを調べ、言語を数個覚えて、その文化への理解を持ってから旅立つ!
・訪れる場所、そこに住む方々に「お邪魔させてもらっている」という感覚を持つ。
・チェーン店や外資系のお店ではなく、地元の人たちがやっている店を選ぶ。
・ゴミの分別や、リサイクルの方法もその地域に合わせてしっかり行う。
・水筒を持参して、ペットボトルや缶はなるべく使わない。
・特にホームステイをするときは、水や電気などのエネルギー使用量に配慮する(もちろんホテルもですが)
・その地域の人たちの写真を撮りたいときは、必ず尋ね、何のために撮るのかまで伝えられるとベスト。
・存分にその地域を楽しむ!!そしてどんな発見、ストーリーがあったのか家族や友人に伝えたくなるような旅にする!

実際こうすることで、より深くその場所の文化や生活そのものを知り、楽しめるというメリットもあります。

もちろんこれだけで解決する問題ではないし、私も完璧なresponsible travelerではありません。ただ、私の恩師であり尊敬する方が言っていました。「観光」とは、その地域の「光」を「観る」ことだと。「光」の部分を支えていくのは、主に地元の人たちであり、また旅行関係の会社や自治体、そしてそこへ訪れる私たちも含まれているということ。自分が旅行者だと、それを受け入れる地域の人たちの立場に立って考えるって難しいかもしれないですが、「もし、私がそこに住んでたら」という少しの想像力がきっと大事なんだろうなと思います。

授業では、「旅行者」よりも「企業」や「ステークホルダー」の立場から分析したり考えたりすることが多いのですが、今回は「旅行者」にフォーカスしました。また旅行会社が顧客にどうこのresponsibilityを促すかというのはまた一つ大きな課題です。企業の視点で学んだこともまたここに書けたらと思います。

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イギリスの大学院で、Responsible Tourism Managementを勉強しています。ここで学んだこと、発見したこと、考えたことを1つのカタチとして残しています。
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