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誰かにやってほしいビジネスアイデア②”おためしキッチン”

勝手にひらめく主婦よしえの「こんなのあったら面白そう」というビジネスアイデアを掲載します。面白そうだから誰かにやってほしい。いやもうあるかもしれない。責任は取れません。では第2話です。

第2話 おためしキッチン

息子、リクが塾の日は”おためしキッチン”に9時集合が恒例になっている。エミはぎりぎりまで職場にいて、8時までにスーパーに駆け込む。今日の特売は豚肉だから、生姜焼きにしよう。二人分の生姜焼き用の豚肉、ペリエ、仕事中につまむチョコレートをかごに投げ入れ、隣接された”よりみちキッチン”へ行く。入口にかごを置くと、電子パネルにかごの中身の料金が表示される。値段を確認し、追加で頼むみそ汁とごはん代を足しながらエミは自動ドアに手をかざし、中へ入る。清算は食後に行うのだ。

”お試しキッチン”は最近急激に増えているスーパー隣接型のレンタルキッチンだ。各メーカーのシステムキッチンが展示されており、実際に調理ができる。その場で食べられるようにテーブルとイスも配置されている。そのインテリアも大手量販店の家具から高級家具まで色んなタイプがある。

当日のみの利用だと割高なので、エミは月額会員に登録している。外食より安いかといえば微妙な所だが、気楽に最新のキッチンを使えるのは楽しい。

この時間はエミのように仕事帰りに家族と合流してメイン食材だけを調理してごはんやみそ汁を購入する利用者が多い。日中は個人の料理教室や、親子連れのランチ会などに使われているらしい。

開いているキッチン番号が出るのでそこへ行き、スマホをかざして入室する。

「ただいまー」エミの声に反応し

「お帰りなさい!お疲れ様でした」

キッチンに置かれた30センチほどの人型ロボットが声をかける。

「ごはんとみそ汁、キャベツの千切りを9時に中お願い」エミが言うとロボットは「ごはんとみそ汁、キャベツの千切りを9時ですね。お二人分でよいですか?」

「うん、2人分ね」答えながら食器棚からコップを出し、ペリエと一緒にテーブルに置く。かごの中身で何人分必要か自動判定してくれるが、時々一人で何人分も食べる人がいるので、毎回人数の確認がマストになったらしい。

食器を出し、時計を見て椅子に座った。この椅子、なかなかいいかも。テーブルは少し大きいけどデザインが好みだわ。ペリエを飲みながら、スマホでSNSやメールをチェックしていると

「ただいまー」息子リクが部屋に入ってきた。部屋番号は入った時点で登録された家族へ自動送信されているのだ。

「超はらへった!」どさっと椅子に座る息子。

「今日は生姜焼きよ!すぐできるからね」エミは立ち上がり、フライパンをコンロに置きながら「ごはんおねがーい」と人型ロボットに声をかけた。

「はい、今お出ししますね」間もなくごはんとみそ汁、サラダが運ばれてきた。生姜焼きがジュージューと焼けてきた。

「あ!ちょっとそれママの!」

エミがフライパン片手に叫ぶ。リクがわざとらしい顔で驚いてエミを見る。もぐもぐしている口元、手にはチョコレート。

「だってはらへった」繰り返す息子。

「まいっか。また買うわ」

エミは笑いながらお皿に生姜焼きをうつした。

片付けまでが料金に含まれているので、食べたら清算して帰る。お金に余裕があったら平日はいつもここでいいのに。エミはそう考えながら、椅子に座った。

解説

実際に利用できる展示場としてシステムキッチンやダイニングセットを使ってもらって、意見を集めたり購入を考えてもらうのが目的で始まったサービス。エミのように「もうひとつのリビング」としての利用客が増えてきた。

主婦の声「自宅のキッチンが汚れないで済むし、自宅に帰るより早い時間に家族で夕食を食べられる。最新のシステムキッチンが使えるのも嬉しい。最近は食器も種類が増えてきて、こないだおためしで使った食器が良かったから自宅用に購入しました」

学生の声「友達とお菓子作ったり、集まって勉強する時に使います。割り勘すればカフェより安いし好きなお菓子買ってきて食べられるから」

サラリーマンの声「スープにこだわってラーメンを作りたくて。自宅だと長時間キッチンを占領できないので週一で通っています」





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