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からっぽのたぶん【詩】

好きとか嫌いとかではなくての話。ゆずのからっぽという曲がある。おそらくどこにでもいたように、わたしの田舎にもゆずを歌いたい2人がいた。りんご飴を割りながら芝生の上で勝手に歌っていたあの歌の中に「たぶん」っていうとこがあって。でも、その「たぶん」の「たぶん」はどのくらい「たぶん」なもんなんだか、なんで絶対って言い切れないのかって、わたしは2人に聞けないまま東京に来た。だって2人は本当に歌っているだけだったから。はて、なんでだろう。夏がだんだん近づくと不意に、「たぶん」のところから口ずさむのは。彼らの「たぶん」を思い出す。彼らの名前だって知らないのに。そうやって昔の話を引っ張り出すのは、3合の米を洗った水にだんだんわたしの顔が映ったから。




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