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『孤独を生きる』/齋藤孝

こんにちは、読む子です😆

突然ですが、

おひとり様って好きですか?

ちなみに私は一人っ子であることもあり、
焼肉、居酒屋、旅、カラオケ
を一人で楽しむことがままあります。

そんないわゆる"おひとり様行動"自体は、コロナ禍を経てかなり敷居が下がったように思います。
(具体的には一人OKの宿が増えたような気がします。)

でもふと、

「誰かと過ごす時間が多い方が社交的でいいのでは?」

と思ってしまう時もありませんか?
(私自身ちょっとそう思う時があるのでこの本を購入しています)

ノンノンノン😎

齋藤孝先生がそんな思いを「杞憂だ」とぶった斬ってくれる、
そんな本についてご紹介していきます😃

孤独の正体とは?

・「孤独」と「孤独感」

「孤独」というとネガティブなイメージが非常に強いです。
ですから本書ではまず

・孤独
・孤独「感」

この二つを区別していくことから始まります。

例えば、
「家族もいるのに、なんだか自分の居場所がない。」
これは本当に孤独という状態なのでしょうか?

全くの一人きりを孤独というのに比べ、
一人きりの気分であるこちらは「孤独感」にあたります。

つまり自分の状態そのものに悩んでいるのではなく、
「孤独感」という気持ちに苛まれている状態であるということです。

そしてこの「孤独感」という気持ちには、
思ったより多くの人が悩まされているらしいのです。
つまり非常に”あるある”な感情であるということ。

ふーん、自分だけじゃないらしいな。

”特別な痛み”ではなく、誰しもが経験のある感情であるということがハッキリすると、「孤独」という重々しい単語のコイツも、大したことない奴に見えてきましたね。

・「単独」のススメ

斉藤先生はここで、字から来るマイナスイメージを払拭するため言い換えを提案しています。

ズバリ単独です。

「単独登頂」とか「単独飛行」など、こちらはとても力強い印象があります。

なんかかっこいいよね!

”リア充”を目指さなくとも、「単独者の道」を歩けばいい。
そしてその一人の時間こそが、実は人を育ててくれる時間であったりするのです。

一人であるという自覚に基づいた意識であればそれはむしろ知性に属する、勇気・覚悟である。

『100分で名著:人生論ノート』/三木清

親友はいらない

ドキッとする文章です。
曲を聴いたって本を読んだってよく出会うこの親友という言葉。
「いらない」と言い切ってしまって良いのでしょうか。
ソワソワしますよね。

・深い付き合いは必要ない

「自分には莫逆(ばくげき)の友はいなかった」
これは長らく一万円札の代名詞であった福沢諭吉の言葉だそうです。
(莫逆の友:非常に親しい付き合いの友達)

恥ずかしながら私は福沢諭吉について掘り下げたことがなく、
そんなこと言うタイプなんだ!?
と驚きとともにシビれてしまい、取り急ぎ本を購入しました。
(すぐ買うね)

(痒いところに手が届くというか、斉藤先生が既に現代語訳されていてさすがすぎるなと感心してしまいました。)

ところが福沢諭吉は孤高の人として過ごしたわけではなく、社交自体はお上手だったみたいです。

彼が実践した人付き合いの基本は「淡交」とも言えるべきもの。

ベタベタとした付き合いはせず、多くの人との雑談を楽しみ、新しいことは億劫がらず面白がる。

お手本のような軽やかさです。

人付き合いについて、福沢諭吉は次のように述べています。

顔色容貌の活発愉快なるは、人の道義の一箇条にして、人間交際に於て最も大切なるものなり。
人の顔色は猶家の門戸の如し、広く人に交て客来を自由にせんには、先ず門戸を開て入口を洒掃し、兎に角に客附きを好くするこそ緊要なれ。

『学問のすすめ』

喜怒色に顕さずと云ふ一句。
「是れはドウモ金言だ」

『福翁自伝』

「笑顔で、穏やかに」
簡単なようで非常に難しいので、修行が必要な気もしますが、
福沢諭吉の爽やかな笑顔は直接見てみたかったです。

・喫茶店で話が二時間もたない相手とはつき合うな

こちらは斉藤先生が、漫画家・倉田真由美先生との共著で出版された
『喫茶店で2時間もたない男とはつきあうな!』
をもじったものだそう。

これは個人的に大賛成です。(恋愛も友情も。)

こちらのポイントとしては居酒屋はNG。
シラフで2時間話し合えるということが重要だそうです。

居酒屋ではお酒が入って頭がボヤけるおかげで、意味のない会話を延々続けることが可能なので、見極めにくいのです。

『孤独を生きる』66ページ

お酒を飲み始めると長くなってしまう私にとっては、この点は共感しかないのでなんだか笑ってしまいました😆

「本」こそが孤独の最高の解決策である

正直この結論、読書家は歓喜の雄叫びを上げるくらいの「待ってました」なフィナーレなのですが、非読書家の方はがっかりしたのではないでしょうか。

ちゃんと他の解決法も提案されています😃

とはいえ斉藤先生の
「本は単独者からの贈り物」
という言葉には大きく頷いてしまいます。

確かに我々が手にする書籍たちは、著者が孤独の時間を過ごすことで出来上がったものであるからです。

・孤独を愛する哲学者たちのお言葉

「単独者からの贈り物」として、改めて本について考えてみると、孤独を過ごした著者たちはまるで一様に「良き単独者たれ」とエールを送ってくれているかのように感じます。

日本の哲学者、三木清は著作で

すべての人間の悪は孤独であることができないところから生ずる。

『人生論ノート』

とまで言っていますし、
ドイツの哲学者、ショーペンハウアーなんて

全く自己自身のあり方に生きていて差し支えないのは、独りでいる間だけである。だから、孤独を愛さない者は、自由を愛さない者と言うべきだ。

『幸福について』

と言い切っています。
一人であることに対してあまりにも強気で、それを悩む気持ちなんてどこかへ行ってしまいそうですよね。

・孤独感に対するさまざまな対処

本こそが…!と言いつつ、ちゃんとその他の対処法の提案もされていると言うのが、実に丁寧だなぁと思ってしまいました。

以下羅列してみます。

  • ここぞと言うときの定番の歌を持つ

  • エンタメ掛け流しの"サブスクの湯"につかる

  • 人には見せない日記のすすめ

  • 気を晴らすように体を動かす

どれもシンプルですがあらゆる書籍でその効果は実証されています。
ギュギュッとまとめて持ってくるあたり、さすがです。

終わりに。

今でこそ「ひとり最高」と言い切る私ですが、
やはり友達が多い方がいいのではないか?
ということについてもっと悩んだ時期もありました。

とはいえ今は人生100年時代。
人との活発な交流や、
頻繁に出かけると言うことができなくなってきてからの方が、人生は長いです。

それなら内面の充実を図っておいた方がいいかもしれない。
そう思い始めていた矢先にグッと背中を押してくれる本でした。

そしてこちらの本、関連書籍がかなり多く紹介されていて私はブックガイドとしても楽しめました。
力強い単独者たちの本が知りたい!読みたい!
という方にもおすすめです😃


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