勝負師のメンタリティを見た

久しぶりにプレイボールから試合終了まで通して野球を見ました。ソフトバンクと巨人の日本シリーズ第一戦です。

普段は仕事から帰ったら体力維持のためにスクワットをし、麦芽コーヒーとオイコス(高たんぱくのヨーグルト)を摂取します。次にパソコンを開き、読了した本のレビューかnoteの記事を書きます。それから本を読み、小説を書きます。あとはネットで社会情勢の記事を見て考えます。プロレスがある日は動画で気になる試合だけチェックします。

でも昨日はずっと野球を見ていました。途中「この時間で本を何ページ読めたか」「小説をどれだけ進められたか」と思わなくもなかったのですが、それでも観戦をやめませんでした。なぜか。ソフトバンクの試合から学べることが多かったから。

まず育成出身の盗塁王・周東選手の走り。彼は思い切りと勘の良さが武器の天才タイプでしょう。感性が興味深い。一番の彼が四球で出て盗塁で二塁へ進み、二番の中村選手がレフト前。シングルヒット一本、打者二人で一点。ヘミングウェイの短編みたいに無駄が削ぎ落とされていました。

あと印象深かったのは七回終了後。無失点で投げ抜いた先発・千賀投手の横に工藤監督が座り、いろいろ話し掛けたのです。熱心に身振り手振りを交えて。千賀投手も最初は「ええ」「はい」と緊張気味にひたすら耳を傾けていましたが、途中から自分も話し始めて。ピッチングフォームで気になる点があったのかもしれません。

ちなみに工藤監督、九回に五点差でマウンドに上がった森投手が不調で点を失うと、メモ帳に何か書いていました。三安打を放って大活躍した栗原選手がデスパイネのヒットでホームに生還できなかったときも、周囲は「まあリードしてるし」の雰囲気でしたが、監督だけはマスクの下で渋い表情を浮かべていました。

彼も現役時代は超一流の投手でした。日本シリーズで2年連続MVPを獲り、西武、ダイエー、巨人で日本一を経験した歴戦の勝負師。その厳しさを何度か垣間見ることができました。名選手が必ずしも名監督になるわけじゃないけど、選手としての経験や実績が言葉や行動に無形の説得力を与えることも確かなのです。

以前読んだ監督の著書に「常勝球団の西武から万年Bクラスのダイエーに移籍して、まず選手たちの意識の低さに驚いた」みたいなことが書かれていたのを思い出しました。西武が一時期ずっと低迷していたことも。立場がいつ入れ替わるかわからない勝負の怖さを人一倍知っているがゆえに、彼は「勝ってるからまあいいや」で終わらせないのでしょう。

工藤監督の本、また読みます。


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