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「反・順当」のギャンブラー

US王座の挑戦権利証を4度防衛しているKENTA選手。もう「暫定王者」として認定すべきです。因縁浅からぬYoshi-Hashi選手と戦って欲しかった。最近の充実ぶりが素晴らしいので。

とはいえ、nWo&T2000世代の私にとって小島聡は特別な存在。彼は史上初、全日本プロレスの三冠ヘビー級王座と新日本プロレスのIWGPヘビー級王座を同時に保持したレスラーなのです。

内藤選手の二冠もすごいことですが、どちらも団体内タイトル。力道山ゆかりのインターナショナルヘビー級を含む三冠王座と2011年に創設されたばかりのインターコンチネンタル王座では築いてきた歴史の重みが違います。そして小島選手は元・ガス会社の営業マン。運動神経が特に優れているわけではなく、アマチュアスポーツの実績もありません。道場の叩き上げでそこまで上り詰めたのです。

2002年に新日本プロレスを退団し、全日本プロレスへ移籍。当時の新日本は「格闘技路線」の真っ只中でしたから、この決断は正解でした。あそこで留まっていたら、腕っぷしの強さよりも「気は優しくて力持ち」が売りの彼がトップスターに躍り出ることはなかったと思います。2010年には全日本を辞めて新日本へフリー参戦。団体外の選手として初のG1制覇を成し遂げました。

そう、小島選手ってハイリスクな選択を続ける中で実績を築いた人なのです。ただ漫然とキャリアを積むだけだったら、順当に落ちてとっくに引退していたはず。そもそもレスラーになれなかったかもしれない。でも覆すために節目節目で思い切った賭けをする。一か八かの勝負に出る。そして見事に結果を残して世間を見返す。それを繰り返してきたレスラーなのです。

今回も順当に行けば、99%KENTA選手が勝つでしょう。でも小島選手が2005年に天山選手との三冠&IWGPダブルタイトル戦に挑んだときも、大方の予想は「天山有利」か「時間切れ引き分け」でした。結果は59分45秒KO勝ち。97年のG1で格上のスティーブン・リーガルを倒したときの「順当に行けばリーガル? 順当に行ったらプロレスは面白くねえんだ!」という負けん気全開のコメントこそ彼の真骨頂なのです。

普段はのんびりしているけど、ここぞという局面になると「反・順当」力を遺憾なく発揮するギャンブラー。それが小島聡という男です。1月4日、期待しちゃうぞバカヤロー!!!

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