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本気の夢を叶えるために

書評行きます!

「決めて断つ」(ワニ文庫) ベストセラーズ 2015年出版
黒田博樹著

(以下、読書メーターに書いたレビュー)

名著。人生には数学みたいに明確な正解がない。だから何を選んでも「あちらにしておけば良かった」と揺れるときがある。そんな後悔は時間の無駄。大切なのは悩み抜いた上で決断すること。そして決断したら、それが正しかったと思えるように生きていくこと。未知への挑戦は誰でも怖い。怖いから勉強して努力する。ひとつずつ課題をクリアして小さな自信と成果を足していく。長期契約で楽をして落ちていくのが怖くて1年契約で今に集中した著者。その積み重ねで成功をつかんだ野球人生からヒントと後押しをたくさん頂いた。没頭とアベレージと継続だ。

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ドジャースからヤンキースへ移籍した頃に単行本が刊行されました。この文庫が出たのはカープに復帰した2015年で、その辺りの事情が加筆されています。

私事ですが、少し前にずっと勤めていた書店を辞めました。色々と思うところがあって、契約の更新を辞退したのです。後悔はしていません。でもこのご時世で、しかも決して若くない、これといった特技も資格も持たない身分で職を辞めるのは無謀な決断だったのではないか? 何度も自問自答しました。実際次の職場がなかなか見つからず、精神的に苦しい日々が続きました。何度も面接を受けてやっと某書店に採用してもらったのですが、そうなればなったで「本当にここで良かったのか?」「もう少し慎重に判断すべきだったんじゃないか?」と迷いました。要はビビッていたんですね。怖い。面倒臭い。若い頃はそうでもなかったのですが、歳をとるにつれて新しい環境に適応するのがしんどくなっていくものなんですね、人間というのは。

これ以上ないタイミングでこの本に出会いました。
単行本は以前に読んでいたのですが、やはり自分の置かれた状況が変わると感想も大きく変わります。決めて断つ。このタイトルに込められた著者のメッセージ。それは「この決断が正しいかどうかはわからない。だからこそ、それを自分自身の努力で正解にしようとしなければならない」「何かを決めるには何かを断つ覚悟が必要」のふたつだと思います。

私が職場を変えたいちばんの理由は、小説を書く時間をもっと確保するためでした。そこを重視したから、なかなか採用されなかったんだと思います。小説家になるという夢にもっと貪欲に取り組みたい。仕事を言い訳にしたくない。書店員も嫌いではないのですが、それ一本で生きて行こうとはどうしても思えないのです。正直ここ数年は夢に向かって中途半端に努力しているだけでどこか満足している自分がいたのですが、そうじゃなくて昔みたいに本気で目指そう、本当に叶えるための努力をしようと決めたのです。実際本気でやらないと楽しくないですよね。好きでやっているはずの創作が、なぜか「書かなきゃいけないなあ」とノルマをこなす感覚になっているときがありました。その原因を突き詰めた結果、職場と働き方を変えるという結論に至ったのです。

この決断が正しかったのか間違っていたのか。それは誰にもわかりません。でも私にはこの決断を「正しかった」ことにする責任があります。キングコングの西野さんも仰っていましたが「過去は変えられる」のです。なぜなら夢が実現すれば、今までの苦しかった過去は全てそのために必要なものだったという記憶で上書きされるから。ここまで少しずつ時をかけて積み重ねてきたものを否定したくない。だったら、何としても夢を実現させるしかないんです。

いつか著者に会ってお礼を言いたいです。「あなたの本に出会ったおかげで小説家になることができました」と。努力を続ける理由がまたひとつできました。

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