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【本111】『さみしい夜にはペンを持て』

著者:古賀史健 出版社:ポプラ社

学校でいじめにあったタコジローにヤドカリのおじさんは、日記を書くことの大切さや日記の書き方を丁寧に教えていきます。この本はそんな2人の心の通った会話で物語が進んでいきます。

初めは泡のようにモヤモヤした気持ちも「今の自分」を文章にすることで、かたちを持った「考え」に変えることができます。「思ったこと」と「考えたこと」は違うことだとおじさんは言います。思ったことは「感じたこと」、たとえば、感情のままに吐き出された憎しみや悲しみなど。でも、考えは違います、「答えをだすこと」なのです。考えることを意識することで、自分がどうするべきかを見つけることができるし、どうしてそんな気持ちになるのかを知る手掛かりを得ることができます。

それに、考えることはとても大切。おじさんはタコジローにこんなことを言います。

「考える習慣を持たなかったら、どうなると思う?」
「だれかが用意してくれた『わかりやすい答え』に飛びつくんだよ」

「生きる」って、わかりやすい他人の感情や時代の流れに乗るのではなく、もっと、自分だけのもの。考えることを諦めずに日々感じたことや経験したことを自分の言葉で綴っていくことで、自分だけの物語を積み上げることができるのです。そんな自分だけの物語を未来の自分が読む、あるいは、今の自分が過去の自分を読む。きっと嘘のない自分を知ることで自分のことがもっと好きになるかもしれません。この本はそんな自分との向き合い方を教えてくれる本なのです。


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