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【本122】『世界から猫が消えたなら』

著者:川村元気 出版社:小学館

さらさらと読めるけど、大切なことがいっぱい書いてあって、2回読み直しました。主人公の率直な気持ちが書き連ねてあってぐっときました。きっとこれからも何度か読み直すと思います。

余命わずかな30歳の主人公。自分の寿命を1日のばすことと引き換えに、何かをこの世から消すという悪魔がやってきます。悪魔が提示するものは主人公の人生に寄り添っているものばかり。とはいえ、主人公は最初それほど深くは考えておらず、本当に消えてしまってから、自分とそのものの関わりについて回想をはじめていきます。

「目の前のことに追われれば追われるほど、本当に大切なことをする時間は失われていく。」

母を亡くし、父とは何年も会っていない。一緒に暮らすのは猫のキャベツだけ。母さんが何を大切にしていたか、父はどんな気持ちだったのか。ものが消えていくたびに、少しずつ、主人公は気づいていきます。

最後に「猫」を消すことができなかった主人公。生きるとは、何かをもらう、あるいは、奪っていくものなのかもしれません。逆に言うと、誰かの愛や差し出す手によって、人は生かされているのかもしれません。自分の人生が何によって生かされているのか、じっくりと考えてみたくなりました。


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