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一読の夢~短編小説集~

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ジャンル問わず、全短編をまとめたものです。 更新は不定期。小説を読みたい方はぜひ読んでみてください。
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#小説

紙ヒコーキは谷を越えて

 七月三十日と書いた紙ヒコーキを明日に向かって投げた。  草が伸び放題で手入れされていな…

水瀬 文祐
20時間前
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渦を奏でる

 坂道を下って、かたつむりの殻のように渦を巻いた道を抜ける。  そうするとトンネルがあっ…

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青い街

 地面の下には水が埋まっていて、その底には街がある。  水底の街は青く輝いていて、そこに…

95

祭囃子

 雨の音にまじって祭囃子の音が聞こえる。  布団から起き上がり、窓を開けるとその先には黒…

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ピリオド

 こん、こん、とキッチンに卵をぶつけて片手で開き割り、フライパンの中に落とす。  油がち…

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息の魚

 黒髪の女性から切符を受け取り、改札ばさみでぱちり、と切り込みを入れて返す。  今日の乗…

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件の如し(第10話)

■これまでの話はこちら■本編10、クダン 「随分と余裕ね、クダン探偵」  アキはルームミラー越しにクダンを眺める。クダンは縛られたままだというのに、微笑みを浮かべて座っていた。その目に怯えも、体に震えも見られない。虚勢ではない。何かある、とアキは分析する。その何かが、自分たちに致命傷を与えないかどうか、見極める必要がある。そう考えて、アキは「クロダ、運転を代わりなさい」と路肩に車を停めて運転席から飛び降りる。  アキは後部座席に乗り込んでクダンの隣に座り、クロダがハンドルを握

件の如し(第9話)

■これまでの話はこちら■本編 9、ラピス?  台車を押しながら薄暗い通路を歩く。かつ、か…

水瀬 文祐
2週間前
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件の如し(第8話)

■これまでの話はこちら■本編8、アキとクロダ  クロダは車の中で目を覚ました。  車は止ま…

水瀬 文祐
2週間前
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件の如し(第7話)

■これまでの話はこちら■本編7、ガーネット  随分時間がかかってしまった、と冷たい夜風を…

水瀬 文祐
2週間前
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件の如し(第6話)

■これまでの話はこちら■本編6、アキとクロダ  人の体臭と、生ごみが腐った臭い、それから…

水瀬 文祐
2週間前
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件の如し(第5話)

■これまでの話はこちら■本編5、カクタス  人通りのない暗い裏路地にある、テナントもろく…

水瀬 文祐
2週間前
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件の如し(第4話)

■これまでの話はこちら■本編4、クダン  スマートフォンのアラームで目を覚ますと、時刻表…

水瀬 文祐
2週間前
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件の如し(第3話)

■これまでの話はこちら■本編3、アキとクロダ  夜明けの街を二人の女が歩いている。 ビルとビルの合間にある細い路地ともつかない道を見つけると、その半ばまで入って周囲を見渡している。どうやら何かを探しているようだった。 「クロダ、ツェーザルは一体どこに行ってしまったのかしら」  一人の女が路地から大通りに戻ってきて、そこで待っている小柄な白コートの女に嘆息混じりに言った。  女は中肉中背で、着ているものは何の変哲もないブラウスにジーンズ、ミディアムヘアの髪を黒いリボンで纏めてい