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一読の夢~短編小説集~

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ジャンル問わず、全短編をまとめたものです。 更新は不定期。小説を読みたい方はぜひ読んでみてください。
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2024年7月の記事一覧

紙ヒコーキは谷を越えて

 七月三十日と書いた紙ヒコーキを明日に向かって投げた。  草が伸び放題で手入れされていな…

水瀬 文祐
2か月前
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渦を奏でる

 坂道を下って、かたつむりの殻のように渦を巻いた道を抜ける。  そうするとトンネルがあっ…

水瀬 文祐
2か月前
119

青い街

 地面の下には水が埋まっていて、その底には街がある。  水底の街は青く輝いていて、そこに…

水瀬 文祐
2か月前
104

祭囃子

 雨の音にまじって祭囃子の音が聞こえる。  布団から起き上がり、窓を開けるとその先には黒…

水瀬 文祐
2か月前
119

ピリオド

 こん、こん、とキッチンに卵をぶつけて片手で開き割り、フライパンの中に落とす。  油がち…

水瀬 文祐
2か月前
119

息の魚

 黒髪の女性から切符を受け取り、改札ばさみでぱちり、と切り込みを入れて返す。  今日の乗…

水瀬 文祐
2か月前
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件の如し(第10話)

■これまでの話はこちら■本編10、クダン 「随分と余裕ね、クダン探偵」  アキはルームミラー越しにクダンを眺める。クダンは縛られたままだというのに、微笑みを浮かべて座っていた。その目に怯えも、体に震えも見られない。虚勢ではない。何かある、とアキは分析する。その何かが、自分たちに致命傷を与えないかどうか、見極める必要がある。そう考えて、アキは「クロダ、運転を代わりなさい」と路肩に車を停めて運転席から飛び降りる。  アキは後部座席に乗り込んでクダンの隣に座り、クロダがハンドルを握

件の如し(第9話)

■これまでの話はこちら■本編 9、ラピス?  台車を押しながら薄暗い通路を歩く。かつ、か…

水瀬 文祐
2か月前
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件の如し(第8話)

■これまでの話はこちら■本編8、アキとクロダ  クロダは車の中で目を覚ました。  車は止ま…

水瀬 文祐
2か月前
117

件の如し(第7話)

■これまでの話はこちら■本編7、ガーネット  随分時間がかかってしまった、と冷たい夜風を…

水瀬 文祐
2か月前
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件の如し(第6話)

■これまでの話はこちら■本編6、アキとクロダ  人の体臭と、生ごみが腐った臭い、それから…

水瀬 文祐
2か月前
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件の如し(第5話)

■これまでの話はこちら■本編5、カクタス  人通りのない暗い裏路地にある、テナントもろく…

水瀬 文祐
2か月前
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件の如し(第4話)

■これまでの話はこちら■本編4、クダン  スマートフォンのアラームで目を覚ますと、時刻表…

水瀬 文祐
2か月前
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件の如し(第3話)

■これまでの話はこちら■本編3、アキとクロダ  夜明けの街を二人の女が歩いている。 ビルとビルの合間にある細い路地ともつかない道を見つけると、その半ばまで入って周囲を見渡している。どうやら何かを探しているようだった。 「クロダ、ツェーザルは一体どこに行ってしまったのかしら」  一人の女が路地から大通りに戻ってきて、そこで待っている小柄な白コートの女に嘆息混じりに言った。  女は中肉中背で、着ているものは何の変哲もないブラウスにジーンズ、ミディアムヘアの髪を黒いリボンで纏めてい