【ショートショート】まるで中身のない物語
「こらッ!」
船べりに浮かぶ真っ赤な太陽の光がファンデーションを突き抜けて、私の頬に射しこんでくる。ありとあらゆる生命の源を浴びた私の肌は、仲間意識を持ったのだろうか、小さな歓声を浴びていた。男たちの、無骨で熱い手に触れられているときよりも、もっとほっこりしたやさしい気分になれた。
どこかで声が聞こえた気がした。ああ、思い出した。これはうちの近所に住んでいたバクじいさんの怒鳴り声だ。
バクじいさんの家の庭にはブルーベリーがあった。それはカラスたちの猛攻を避けるために何重