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ポンコツストーリー7 ー『首のよく揺れる赤べこ』ー

前回までのあらすじ
黒海で消息を絶った英国大使。捜索を依頼されたジョンは、目撃情報を頼りにイスタンブールでの潜入調査を行う。市場でうっかり口にした白い粉。視界は明るくなり、聴覚も鋭くなり、何とも言えない高揚感に包まれるジョン。そこに、ついに秘密組織の手が。

【本編】
自由な校風のアート系の学校で、変わっていたのは生徒だけではない。当然、教師もかなりの変わり者ぞろいだ。
今回は、その一人を紹介したい。

私のこれまで書いた他の記事を読んだことのある奇特な読者ならお気づきだと思うが、私はお調子者だ。高校生になったとしても変わらない。なんなら、現在大人になって長く経つがいまだに変わっていない。やはり、お調子者である。

幼少期から相変わらずの調子であるし、学校の校風が自由になったので、これまで以上に心のタガが外れるであろうことは想像に難くない。

豆知識だが、どれだけ心のタガが外れていたかというと、2年生の時点で遅刻回数が3桁になるという偉業を達成した。幸い、学業に関しては偏りがあるものの、それほど成績は悪くなく、大学生のように単位を計算しつつ、特定の科目を落とさなければ及第点がもらえるレベルではあった。それくらいに、タガ(と頭のねじ)が外れている人物である。

授業中に何かをしでかした。もはや、毎日何かをしでかしていたので、その時も何をやらかしたのか記憶は全くない。日頃の蓄積もあったのであろう、先生は突然私に怒りをあらわにし、教務室に来るように言われた。残念ながら、私は怒られることにも慣れている人間だ。「ヤバい」という感情は全くない。「あーぁ」といった感情だ。めんどくさいのである。

今回、私を呼び出した先生、仮にヨシムラ先生としておこう。当時、すでに定年間際と思われるご高齢の先生だ。ヨシムラ先生は、首が左右に横揺れするという特徴を持っていた。授業中でも、話がノってくると首が左右に揺れ始める。教頭先生などと話していると首が左右に揺れ始める。何かをノートに書いている時も首が左右に揺れ始める。割とよく首が左右に揺れているのだ。揺れ方としては、日本の伝統玩具である赤べこを思い浮かべてほしい。そう、あんな感じだ。あの感じで横に揺れている事を想像して読み進めてほしい。

私が、ヨシムラ先生に呼ばれた時、彼は怒っており、顔もやや紅潮していた。当然、首も左右に揺れ始めていたが、今回は揺れる幅とスピードがいつもとやや異なる。私の観察では、首の横揺れは彼の心拍数と連動しているのではないかと思っている。怒りによって、心拍数が上がり、首の横揺れ幅とスピードがこれまで見た中でマックスに達していた。首が激しく横揺れする赤べこである。首がもげてしまうのではないかと心配になるが、そんな私の心配をよそに彼は私に言葉を発し続けている。

そもそも、私は人の話をあまり聞いていない。集中力がないのだ。いや、ないのではない。興味のない事に関しては集中力は機能停止する。その分、興味のある事であれば隣の人に話しかけられても気が付かないくらい集中することができる。

典型的なB型である。

話を戻そう。赤べこの話だ。いや、ヨシムラ先生の話だ。
彼は、とてもよく揺れる赤べこと化し、首を激しく左右に振っている。

いま、なんとなく思ったのだが、首を左右に激しく振るというのは中々奇妙な光景だ。ヘビメタのライブでは首を前後に激しく振ることが一般的だ。私も、某大御所ヘビメタバンドのライブに行ったことがあるが、みんな首を激しく前後に振る。左右に振る人はいない。想像してほしい、ヘビメタを聞きながら首を左右に激しく振っている様を。そして、首を左右に激しく振ってみるとお尻も激しく左右に揺れることに今気づいた。そうだ、試してみたのだ。いずれにしても、やはりそれは奇妙でしかない。

うむ、この話の飛び方…

典型的なB型である。

話を戻そう。ヨシムラ先生だ。興味のない話は、すべて右から左へ、いやそもそも右からも入っていないであろうレベルでスルーしているのだが、そんな彼の最後に発した一言だけは、激しい首の揺れ具合と共に今でもはっきり覚えている。

「この、ポンコツ!」

あぁ、小学生の記憶がよみがえる。
懐かしい響き。
小4の時、図工の先生に言われたあの言葉。(⇩記事参照)

「ポンコツ」

そんな余韻に浸りながら、激しく横揺れする赤べこから解放された。
何で怒られたのか、何を私に諭したのかまったく不明のままであるが、恩師に言われた心に残る一言というのはこの事だろう。

「ポンコツ」

そう、やはり私はポンコツなのである。
自分では、ポンコツという自覚なかったのだが、客観的に見て私を「ポンコツ」と評価する大人がこれで二人になった。
これは、いよいよ私はポンコツなのだろうという思いを強くした。

タンブラーでオレンジジュースを飲んでいたことを忘れて、うっかりそこにコーヒーを足してしまい、微妙なオレンジフレーバーのコーヒーを飲みながらそんなことをふと思い出した、昼下がり。

投稿が久しぶり過ぎて忘れていたが、どうやら文末に好きな映画の紹介をしていたようだ。
赤べこの映画も、首が激しく横に揺れるピエロに追いかけられるホラー映画も思いつかぬ…
最近、よく見ているアニメは「タイガーアンドバニー」である。
主人公の一人「虎徹」は、人の話を聞かないという設定で描かれることがある。
本当に憎めないキャラで、好きなアニメキャラの一人でもある。
つまり、人の話を聞かないということも多くの人から愛される要素の一つという事でよいな。よろしいな?

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