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むずかしい平凡 自句自解 第一章「むずかしい平凡」

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拙句集「むずかしい平凡」の自解を行っています。もしよければ俳句を楽しみつつ、お付き合いください。
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#雪

42 雪のち雪東北の田の深眠り

 句集「むずかしい平凡」自解その42。

 夏は青田が広がる東北の地。

 けれども冬は見渡す限りの雪原。

 豪雪地帯というのは、ほんとうに一日中晴れることがない。というか、ひどいときには一週間青空を見ないこともある。「雪のち雪」とは、妻子が福島から豪雪地帯へ自主避難し、初めての冬を体験したときの実感。

 そして、東北という地が、この間に深く眠って、いずれ訪れる春を、じっと耐えながら待っている

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41 雪に刺さって雪映すのみカーブミラー

41 雪に刺さって雪映すのみカーブミラー

 句集「むずかしい平凡」自解その41。

 雪国で見た光景。深く雪が降り積もり、すべては真っ白の世界。

 そんなときに車で運転するのはほんとうに注意が必要。どこでどんな危険が待ち伏せているか。

 ふと見ると、カーブミラー。雪に埋もれている。というか、なんだか雪に刺さっているようだ。そして、肝心の車などはほとんど通らないから、映っているの雪の世界だけ。カーブミラーの奥深くまで雪世界がしみ込んでい

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39 雪つむ木々書体も文体も肉体

39 雪つむ木々書体も文体も肉体

 句集「むずかしい平凡」自解その39。

 雪が降っている。

 木々に雪が降り積もっている。

 それを見ながら、書体とか、文体とか、そういう文字とか言葉に関するスタイルというものが、いかにその人間のもつ肉体と深くかかわっているか。

 そんなことを考えている。

 と、読んでもらえれば作者としてはうれしいわけですが。

 木々に雪が降り積もっているのを見て、書体とか文体とか、そんなことを考えて

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